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姫、挫折を知る

「魔力の流れは体のなかで感じますね・・・」


今、アキラさんが私の肩の辺りから魔力を流し、私の中の魔力を調べている。

魔術が使えない事を不思議に思い、調べてもらったいるのだ。


「魔力の量は常人の数倍はあることは分かっているんですが、はっきり言って訳が分かりませんね。

魔力の流れはしっかりしていて、体内を流れるバイパス、魔力の管のようなものは頑丈にできている。

その流れは体の構造を把握した上で身体強化に特化した作りになってます。

その為に、体から余分な魔力を逃がさないように常に循環させられ、一切外部に漏れないようですね・・・

ここまで完璧だと、逆に感心してしまいますね。」

「それって、つまり、どういうことなんです・・・?」

「簡単に言いますと、魔力が外に出せないので基本的な魔術は一切使えません。

身体強化しか出来ない体です。」

「え、でもそれなら魔力切れとかは!?」

「多分、防御系や治癒系の身体強化で消費された分でしょうね。

体を酷使するので、其の分神経や筋肉を防御系で損傷を防ぎ、傷付いたら即治癒と言う感じで。」


酷い話を聞いた。

昔からメイドや孝子に「おかしいですね?」「私の顔は教えが不完全なのか!?」「大丈夫、次はいけますよ!」とか言われていたけど、元々使うことすら出来ないとは・・・

大魔術とか使いたい人世だった・・・


「まあ、身体強化は極めたくても極められない人が沢山居ますので、ある意味羨ましい才能だと思いますよ?」


いらん気遣いありがとう・・・

こう、前世の知識みたいにカッコ良く魔術とか決めてみたかった・・・


「賢者様、野菜とか薬草採ってきたぜ・・・って、エリーさんは何で倒れてるんだ?」

「世界の無情さを知っただけなんで、そっとしてあげて欲しいよ。」

「良くわからねぇけど?わかりました。」

「大丈夫よエリーちゃん、ドンな理不尽でも乗り越えられるわ!頑張ろう!」

「はい・・・」


生粋の魔術師に慰められるとはいえ・・・

いいんだ、私には物理がある!

極めれば同時に三発の斬撃を飛ばすことだって出来るはずなんだ!

一撃で相手の体内の気の流れを狂わせ、全身から血を噴き出させることも可能なんだい!!

私、物理を極める!!


「立ち直ったね?さ、ご飯にしよう。」

「はい、頂きますわ・・・」


無情にもご飯は美味しかったです。

悲しみで何を食べたかは覚えていませんでしたが・・・


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