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姫、そして逃げる

只今全力で逃走中

あの男は一体何を考えついるのだ!?

白昼堂々と初対面の乙女に対してこ・・・コココ・・・告白するなんて!?

非常識にも程がある!!

いや、私は動揺なんてしていない。

顔が妙に熱いような気もするが、気のせいだ。


そうだ、こんなときこそ前世の知識だ!

きっと何かしらの対処法があるはず!


・・・


少女漫画ぁぁぁぁぉぁぉぁぁぁぁぁぁ!!

その後で受け入れて幸せになってるんじゃないよぉぉぉぉぉ!?

男の方が成功しちゃってるパターンがホトンドジャン。

壁ドンや舐めキスで強引に攻められて胸キュンとか無いから。

髪にイモケンピ着けもしなければ、ドキドキして心に法隆寺が建ったりしないから。


いかん、落ち着け、私は淑女だ乙女である前に淑女でなければいけないのだ。


よし、落ち着いた。


「ようやく止まってくれたな、エレ・・・」


後ろにいたので全力で殴り飛ばしました。

彼にも不意打ちだったのであろう、よく綺麗に放物線を描いて遠くまで飛んでいった。

その前に、私の本名を言いそうになってなかったか!?

ゴブリンくらいなら首から上が無くなる威力で殴ったが、死んでなければ良いのだが・・・


「王子~!?」

「王子が飛んでいった!動けるものは急ぎ救出に向かえ!」

「人ってあんなに飛ぶんだ・・・」


後ろから走ってきた緑色した兵士たちが慌てている。

あの距離からなら私の顔は見えて居ない大隊長はずだ・・・

三十六計逃げるが勝ち。

私は逃げ出した。


・・・


「いや~、それは災難だったね。」


騒ぎが収まるまで町から出ていようと思い、近くの森にまで来たらアキラさんが居た。

虫の息で倒れているルークとパティさんも。

今日の出来事を話したら思いっきり笑われ今に至る。


「事実は小説よりも奇なり、本当に面白いね。」

「私にとっては笑い事ではありませんわ!」

「いやいや、ごめんごめん。

まあ、悪いことではないと思うよ?一度その王子さ様と話してみたら良いじゃないか。」

「そうなんですが、何か嫌な予感がするんですよねあの王子・・・」

「何か嫌なあるのかい?」

「どうも、昔の私を知っている可能性がありまして・・・」

「んん~・・・そこら辺の話になると僕じゃなくクレインの領域になってしまうね。保護者の断りなく入り込める話じゃないし、僕は国の政に関われない誓約があるからね。」

「妙な誓約ですわね?」

「これでも発言力だけは高くてね、困ってしまうよ。」


「ところで、アキラさん。貴方は転生者なんですか?」


ふと、疑問に思っていた事を聞いてみる。


「難しい質問だね。答えはイエスでありノーでもある。

こっちじゃ邪神戦争の初期の話とかは細かく伝わってなかったのかな?」

「簡単な物語しか聞いたことありませんね?」

「確認のため話してもらえるかな?どのくらいまで伝わっているかで説明する内容が変わってくるし。」

「かしこまりましたわ。」

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