姫、討伐を見守る
地面に落ちた衝撃で手放した意識が強制的に戻ってきた。
試してみたいとはいったものの無茶をするものじゃない。
全身に痛みが走ってるし、耳鳴りもしているし、目がぼやけている。
上半身だけを起こすと猪が痙攣しながら倒れていた。
まだ生きているようだ。
今はみんなが取り付いて体の軟らかい場所から攻撃をしている。
あとは何とかなりそうなので、ここで見学していよう。
「おや、君は行かないのかい?」
「ええ、さっきの一撃で足が限界ですわ。
あとは皆様が倒して終うのを見学させていただきます。」
「もう一体は終わってるから、ゆっくり休むといいよ。」
「ところで、一体何を食べてらっしゃいますの?」
話しかけてきたアキラさんに聞いてみた。
先程から美味しそうな匂いがしていてお腹がすいてきたのだ。
後ろにいたアキラさんを見れば、木で作った大きめの串にほどよく焼けた肉が刺さっている。
「もう一匹は魔術で倒したからね。皮や毛も燃えちゃって骨と牙とかしか素材にならないから肉を焼いちゃってるんだ。」
「それは美味しそうですわね?私にもいただけます?」
「量はあるからすぐにはなくならないけど、ちょっと待っていてね。」
肉を取りに行ってくれるようだ。
目の前では今も猪を倒さんと肉や皮を切っている。
もう終わりそうだ。
最後は大きな斧で胸の奥へ入れて猪は絶命した。
「はい、持ってきたよ。」
「ありがとうございますわ。」
「終わったねぇ~・・・まさかこんな短時間でジャイアントブルーボアをしとめてしまうとは。
予想以上だよ。」
肉を受けとりかぶりつく。
予想以上に柔らかい。
臭みはあるが、そこまで強いわけではなく、豚に近い味がして美味しい。
「そんなに強いモンスターでしたの?」
「森の中じゃ浅瀬付近では上位に入る強さだよ?
毛皮は強くてしなやかで、刃を通しにくい。基本は魔術で倒すものだしね。
魔術で倒してない毛皮は防具として人気があるね。
食べるとしても、臭みはあるけど、肉そのものは上質だし、ちゃんと処理すれば臭みは消えて高級食材の一つになる。」
「そんなモンスターだったんですのね。」
「魔術で燃やしちゃうと毛皮は使い物にならないから、その場で食べてしまえって考えだから気にしなくていいよ。」
「捨てるにはもったいないですものね。」
肉を食べながらみんなが喜んでいるのを見ている。
今回は三匹中二匹が魔術を使わないで倒せたので珍しいようだ。
一部の人達は素材の回収と肉の処理に入っている。
勉強になる。
酒は少ないが大量の肉が手に入り軽いお祭り騒ぎになっている。
私も今日は動けそうにないので食事に専念することにした。
肉ばかりだと太りそうで怖いな・・・




