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姫、狩りをしてみる

はい、エリーです。

今、私は地面の上に正座をしています・・・

何故かと言いますと・・・


少し時間は遡る。


依頼開始日に町の入り口で業者達と合流し神樹の森へと旅立った。

片道二日間ほどなのだが、帰りは馬車一杯の木材を引いて来るのでもっとかかると予想されている。

現地でも数日間は滞在してるので持ち物も増えてくる。


問題なのが食料だ。

冒険者は依頼を受けた10人と助っ人として追加で5人ほど増えた。

業者にいたっては20人と馬車が5台。

馬車の内、2台には大量の食料が積まれている。


しかし、それでも足りなくなると予想されているのだ。

なので、道すがら食べれそうな物は冒険者だけでなく、業者の人達も手を合わせて採集している。

意外に食べられる草花は多いので、私も参考にさせてもらっている。


最大の問題は肉だ。

基本、持ち歩きに適したものはソーセージやベーコンなどに加工したものが多い。

それはそれで美味しいのだが、如何せん冒険者達は肉が大好きなのだ。

無論、私も大好きだ!

いくら多く積んでも無くなる可能性も出てくるし、加工食品ではなく新鮮なお肉が食べたい時もある。

ならばやることは決まっている。


「町から少し離れたので、野生動物が見えるようになってきた。

これより周りにモンスターがいないときの狩りを解禁するぞ!!」

「「おおぉーーーー!!!」」


冒険者、業者共に大はしゃぎである。

何故か賢者もはしゃいでいる・・・

せっかくなので私もはしゃいでいる。


移動しながらなので、大きな物は狙わないようにと言われ、基本は野うさぎや鳥、蛇、小型の動物を狙うように言われた。

野生の牛や猪なども居るが、処理に時間がかかりすぎるので今回は狙わないそうだ。


軽装の冒険者達が度々列を抜けては何かしら採ったり、捕ってきている。

ルークなんかは蛇を結構な数を捕まえてきているようだ。

そんな楽しそうなもの、私だってやってみたい。


そうこうして一日目の野営地へと到着。

私も自分の寝床となると簡易テントを組み立てて食事の手伝いに向かう。

普通はシートと毛布だけで十分なのだが、全員から女性はテントを使えと怒られてしまった。


寸胴の鍋を借りてパティさんに火を点けてもらいスープを作り始める。

話に聞くと、私が一番料理が出来るとか・・・

ギルドで食事を作っているのは何度も見られているので問題は無いのだが、数人は女性が居たはずだよね?なんかおかしくない?


スープの仕込みが終わり、あとは煮込むだけなので手が空いた頃、それは現れたのだ。

ぴょんぴょんと少し離れたところにいる野うさぎが。


周りは誰も気がついてないのか、捕ろうとしていない。


「パティさん、パティさん。」

「どうしたのエリーちゃん?」

「あれ!あのうさぎって狩ってもいいんでしょうか!?」

「うさぎ?んん・・・?よく気がついたね、あの距離だと専門家じゃないと気がつかないよ?」

「私、皆さんが道中狩りをしているのをみてやってみたかったんですけど、行ってきて良いですかね?」

「いいんじゃないのかな?鍋はもう大丈夫なんだよね?」

「はい、あとは味が染み込むまで煮込むだけです。」

「うん、それくらいなら私でも出来るから、行っておいで。」

「はい!」


確認をして私はウキウキしながら野うさぎのもとへと歩いていった。

両手に買ったばかりの斧を持って。


近づくにつれて段々と野うさぎの警戒心が高まってきている。

こちらには気がついているのだろう。

即行で逃げられる自信があるのか、後ろ足で立ちこちらを見ている。


ならば、ここが好機!!

そんなことを心で叫びながら、私は野うさぎに飛びかかり、斧を叩き落とした。


周囲に衝撃音が低く響き、隠れていた動物達は逃げ去り、木々から鳥達が飛び立っていく。

ワタシの足元にはクレーターが出来ていた。

そこに野うさぎは居なかった。


後ろには野うさぎの臓物であろうものが顔に当たっているパティさんが憤怒のひょうじょうで立っていたのだ・・・

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