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姫、依頼説明を受ける

10人の冒険者がサブマスの事務室に呼び出されていた。

私以外はベテランと若いが実力のあるもの達が集められているようで、かなり浮いている状況だ。

私を入れる意味はあるのだろうか?

ルークとパティさんが居るのは助かった。

歳が近そうなのが、この二人しか居ないのだ・・・


「はい、皆さん揃いましたね。ここに集まってもらった人達は、先日個別に連絡した指定依頼の説明をするためです。

他にも業者の方々も居ますが、そちらは別途顔合わせの場を設けさせていただきます。」


サブマスが喋り始めると、皆の空気が変わった。

一気に張り詰めた空気になり、殺気に近い物まで混じっているような感覚に襲われる。


「これから皆さんには、業者の方達と神樹の森へと行っていただきます。」


一部の人達が驚きの声を上げた。


「ちょっと待ってくれ、俺達は資材の調達と運搬、それと護衛って聞いたんだが、悪魔の森に入れって言うのか?」

「いえ、目的は神樹の森の木材で、森の外苑にある木々を一部伐採と運んでもらう業者の護衛になります。

なので、深層はもちろん中間層にも近づきません。」

「なんだ、驚かせないでくれよ。

死んでこいって命令されると思ったぜ。」


頭にバンダナを巻いたベテラン冒険者が安堵のため息をついている。

神樹の森は広く深い森で大陸を横断する規模で存在している。

ゆっくりではあるがその範囲を広げ続けているのだ。

その中は大きく分けて三つに分類されている。

外側の今もなお広がるも地面が確認出来る浅瀬、巨大樹が生い茂り、根っこにより地面が見えなくなる中間層、巨大樹が空を覆い尽くし光さえも届かず、龍帝山脈の麓に存在する深層。

浅瀬は普通の森と大きな違いは無いが、生息しているモンスターが普通よりも強く、並の冒険者では入ることが躊躇われる場所だ。

中間層は獣人達と魔獣、神獣が住む世界で無断で立ち入れば即座に獣人達に捕らえられるか、獣達の餌食となる。ベテランや町のトップクラスの冒険者でも、自ら入ろうとはしない。

深層は闇に包まれており、その内容が分かっていない。

中間層に住む獣人達でも入ることを拒み、中にはドラゴンが住んでいる、悪魔が住んでいる、冥界への扉があるとか言われている。

お祖父様も、入ったことがあるが、あまりの威圧感に直ぐに出てきたそうだ。

先に進んだことがあると言われているのは20年前の邪神戦争を終わらせたと言う勇者のパーティーとそのクラン、竜王と呼ばれるドラゴンの王様、最後に今もサブマスの隣でニコニコしている神樹の森の賢者と呼ばれるアキラさんだ。

勇者の関係者はほとんどが龍帝山脈の反対側にある帝国で要職に就いているため話を聞くことが出来ないし、一部箝口令が敷かれてる。

お祖父様は論外だ。

ドラゴンは人間を相手にしないので、私の周りで深層の内容を知っているのは目の前のアキラさんだけだ。


今は行っても死ぬだけなので、行こうとは思わないが興味はわいてくる。


「流石に中間層まではいかせられませんね。

この中では帰ってこられるのはピカレスクさんだけでしょうし。

業者を連れていく時点で全滅は確定ですよ。」

「そ、そうだよな・・・」

「なので、皆さんには浅瀬で木材を調達している業者の護衛が主な依頼になります。

中間層の獣人達には賢者様が対応していただけるので襲われる心配はありません。」


「おぉ!!」と驚きと喜び、安心感で皆が声を出した。


「それは頼もしい!」

「ですが、稀に中間層から出てくる魔獣などは話が通じませんので、皆さんで対処してもらうことになります。まあ、賢者様も居ますので問題ないかとおもいます。」

「驚かすなよサブマス。」

「そして、皆さんも気になっているとは思いますが、今回は新人教育のためエリーさんを同行させてもらいます。

戦闘の実力は皆さんが直接見ているので問題ないかとおもいます。

まあ、冒険者として野営などの知識が無いのでそこら辺の教育になりますね。」


その後もサブマスが淡々と依頼内容の説明をしていた。

リーダーを決め、外で業者と顔合わせをして、今日は解散となった。

明日の昼には出発するとのことで、皆準備のために自分の拠点に戻っていった。

ちなみに、リーダーは先程のバンダナを巻いた人で決まった。

名前はモンジさんと言うらしい。


明日から本当の冒険者としての世界が始まる。

楽しみだ。

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