姫、冒険者に
長い長い説教が終わった・・・
かれこれ二時間は喋っていたと思う。
「いや~、長い説教だったね。」
「ええ、何処かの誰かの石器ょを聞き続けていたら私の説教もおのずと長くなっていましたよ、こんなところだけは似たくありませんでしたよ。」
「全く、誰に似たんだろうね?」
「貴方ですよ、貴方に!!」
ん?二人は長い付き合いなのだろうか?
それ以前、サブマスよりもアキラさんの方が若い気がするのだが?
「ああ、僕はクレインよりも年上だよ?
彼は38歳で僕は64歳。これでも竜人だから人より若く見えるのさ。」
「勝手に人の年齢をばらさないで下さい。」
「え、ええぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」
あまりの年齢に声をあげてしまう。
竜人の年齢や成長のしたかたは分からないから仕方が無いが、サブマスは二十代中盤だと思い込んでいたのだ。
いや、銀髪でだまされていたとは言え若作り過ぎるだろう!?
「そんなに驚かれると、別の意味でショックを受けるのですが。
私のは、とある血筋の影響で老けにくくなっているだけです。
体力や身体能力は年相応ですのでモンダイハありません。」
「奥さん、旦那が若すぎて娘と並ばれると歳の差カップルにしか見えなくなってきて淋しいっていってたよ?」
「だから、何で貴方は人の家の事情を知っているんですか!?」
娘もいたのか・・・
知らないこと沢山である。
「さて、話がそれましたが、本題です。
本日より貴女には冒険者としてのカツドウガ許可されます。」
「え?」
「先日の件で戦力を無駄にしていると他の冒険者から苦情が入りましてね、不本意ではありますが貴女を冒険者として登録擦ることになりました。」
ついに、ついに、冒険者になれるときがきた!!
これで私は真の自由を手にいれることが出来るのだ!
「ですが、一つ問題がありまして。」
「問題ですの?」
「本来、冒険者になれるのは15歳の成人になってから。陛下にも確認はとりましたが貴女は14歳でしたよね?」
「はい、次の春で15になりますわ。」
「冒険者達も未成年に無理矢理冒険者になれと言うのは酷だと思ったようで、貴女が15歳になるまで待ってもらうことになりました。
おめでとう御座います、15になれば晴れて冒険者ですね。」
「そんな話、聞いていませんわぁぁぁぁ!!」
やっぱりこの人、性格悪い。
この笑顔からすると他の人達も丸め込まれたのであろう・・・
「ええ、言ってませんので。
それまでの間は、ここで働いてもらいます。
一応、私がこの町での保護者となりますので。」
更に追い討ちまで・・・
こんな保護者嫌だ・・・
ゆっくりと膝から崩れ落ちる。
「項垂れないで下さい。まだ話は終わっていませんよ?」
まだ続くのか!?
私のライフはもうゼロよ!!
「大狼の討伐報酬の話です。」
「はい、喜んでお聞きしますわ。」
「立ち直りが早くて助かります。
まず、正規の冒険者ではない貴女が他の冒険者の討伐対象を倒してしまったので、本来の報酬をお渡しすることが出来ません。
この場合、本来の報酬から一部を本来討伐するはずであった冒険者に払わなければなりません。
これは、本職である冒険者に対して途中まで働いて、最後だけ他人に仕事を奪われ、報酬を持っていかれたらたまったものではありません。
なので、ギルドではそういった場合冒険者や他の目撃者の話を元に冒険者へ払う金額を決めさせて頂いてます。」
「はあ、それ仕方が無いと思いますわ。
私は割り込んだだけですし。」
「理解が早くて助かりますね、本当に。
本来ならば三割から四割と言われていますが、冒険者達からは顔面蒼白にして一割で良いと意見が上がりました。それでは冒険者達の生活が苦しくなり、今回武器が壊れたり防具の修復で入り用になるのは目に見えていましたので、二割にさせて頂きました。」
冒険者さん達、一割は低すぎると思うのだが・・・
もう少し自分の生活を考えてもらいたい。
「その金額報酬がこちらになります。
金額にして80枚です。」
金貨の入っているであろう袋が机の上に置かれる。
思い音が心を弾ませてくれる。
して、何故に二つの袋があるのであろうか?
「こちらの袋に各40枚入っています。貴女はまだ未成年ですので、あまり大金は持たせたくないのが保護者としての意見です。なので、半分は私が責任を持って預からせて頂きます。
安心してください、成人になればお渡ししますので。」
そんな、酷い!?
大金をぶら下げてお預けなんて!?
再び私は膝から崩れ落ちるのであった・・・
それを見ていたアキラさんはカラカラと笑っていた。




