姫、ドン引かれる
サブマスが事務室に戻っていくと周囲から視線を浴びていることに気が付いた。
ギルド職員も冒険者達も私を見ていた。
「えっと、何か御座いましたか?」
「いや、なんでもないよ!」
「そう、ただエリーちゃんが無事で良かったなってね!」
妙に含みがあるような返され方をしている・・・
一体なんなのであろうか?
良く分からないが受付の方に向かう。
「おはようございますヘンリエッタさん。
遅れてしまい申し訳ありませんでした。
なにやらサブマスに呼ばれているようなので、それが終わりましたら業務に入りますわね。」
「本当に、無事で良かったわ。冒険者志望とは言え貴方無謀すぎるわよ?実力を隠したいたのも分かったけど冷や冷やさせないでちょうだい!」
心配させてしまったようで軽く小突かれる。
仕事には厳しいが優しい人だ。
「あと、丸一日眠っていたんだから今日は休みなさい。
これは先輩としての命令よ。」
「はぁい・・・」
1日非番になってしまった。
この時間を有効活用して依頼品をおわらせてしまおう。
先ずはサブマスの話を聞かねばならないのか・・・
億劫だ・・・
そんなことを考えながら事務室に戻ろうと歩いていると誰かにぶつかってしまった。
相手は冒険者で私よりも大きいので必然的に私が転ぶ形になってしまった。
「ごめんよ、余所見してな。立てるか・・・いっ!?」
「いえ、こちらこそかんがえごとをしていたもので、申し訳ありませんわ。」
手を差し出してきた冒険者の手が震えている。
良く見ればヘンリーさんのチームにいるピエールさんであった。
しかし、私の顔を見るなり顔を青くし汗が垂れてきている。
人とは一瞬でこんなにも汗を出すのかと感心する程の汗だ。
病気か何かでは?
「あの、ピエールさん?大丈夫ですか?
何やら大量に汗をかいていられるようですが?」
そう言って、笑顔で手を出した瞬間にそれは起こった。
「ひぃぃぃ!!御免なさいゴメンナサイ!、何でもないんです!
こ、殺さないでくださぁぁぁぁい!!」
私の手を見るなり叫びギルドから走って出ていってしまったのだ。
一体何が起こっているのだろうか?
本当に何かの病気にかかってしまったのだろうか?
「嬢ちゃん、すまないな。
アイツに悪気はないんだがあの一件以来嬢ちゃんの戦い方に恐怖しちまってな・・・
アイツには言っておくから、許してやってくれないか?」
「はあ、よく分かりませんがお大事にどうぞ?」
「嬢には敵わないなぁ。」
そう言ってヘンリーさんが謝りながらピエールさんを追いかけて出ていった。
何本当になんなのだろうか?
モヤモヤさせながら事務室へと入って行くのであった。




