姫、バレる
目覚めるとギルドの自室だった。
大狼に止めを刺してから魔力切れで倒れてしまったようだ。
魔力が無くなるまで全力で戦ってしまう。
致命的過ぎる欠点かもしれない・・・
何とかして自分の魔力量を把握しないと、人が居ないところで倒れでもしたらそれこそ殺されかねない。
今回も誰かが着替えさせてくれたようで血塗れの服では無くなっていた。
前回と違い、筋肉痛等も感じられない。
外が騒がしいので私服として貰った服に着替えてギルドの方へ出ていくことにした。
「いやぁ~、流石はピカレスクの旦那だ!あの大狼を一刀両断とはね!あんなものは旦那にしか出来ねぇよ。」
「今回はルークがやってくれたよな、あのガキだったのが跳んでもなく成長してくれたもんだ!
あの音に気を取られて大狼のいちげき食らっちまったよ。」
「いやいや、今回のダークホースはエリーちゃんだったろぅ?」
「あぁ、あれは本当に驚いたわ、ルークが前から言ってたけど戯言じゃなかったんだな・・・」
「大狼をほぼソロで討伐なんてBクラス超えてるんじゃねぇか?」
無事に大狼は倒されたようで、ギルドの酒場スペースは賑わっているようだ。
私の話しも聞こえてくる。
「エリーさん、起きられたのですね?」
「あ、はい、御心配をおかけして申し訳ありません。今は何ともありませんわ。」
私に気が付いたサブマスが声をかけてくる。
周りの皆は何かよそよそしい。
「全く、見学するように伝えてから姿が消えたと思ったら戦場にまで出て、大狼を討伐してしまうとは・・・貴女の体の事を考えて下さい。」
「えっ、あぁ・・・はい、き、気を付けますわ!」
何かサブマスの様子がおかしい。
私への対応が以前とは少し違う?前は丁寧であったが何処かで判断に困る扱いだったのだが、敬われているような、以前以上に心配されている。
「その行動力は血なのですかね・・・?
昔聞いた貴女のお祖父様そっくりですよ。」
「え!?サブマスはお祖父様を知っていましたの?」
「ええ、先日に直接御会いしてきました。なので貴女の素性も、この町に居ることも報告させて頂きました。大変喜んでおられましたよ?」
「お祖父様に直接って、貴方本当に何者ですの!?」
「言い忘れてましたが、私は貴女の遠い親戚になりますよ?向こうで確認するまでは確証はありませんでしたがね。」
にこやかな顔で言ってくれる。
なんて事だ、国から出たのに同じ血筋が居て、お祖父様に繋がっているとは・・・
王家に知れたら墓所から誰にも気がつかれずに逃げ出した意味がが無いではないか!?
「私は貴女の御守り役になるので、今後ともよらしくお願いします。」
眼鏡を直しながらサブマスが伝えてくる。
監視役が出来てしまった・・・
いや、考えてみたら別にかまわないのでは?
既に姫としては死んだものにされているのだ、流石のお祖父様も私を連れ戻したり、騎士を送り込んだりはしないだろう。
こんな町に隣国の騎士が来たら国際問題になるはずだ。
「あと、大狼の件で話がありますので後で私の部屋に来てください。」
うへぇ・・・




