パティ、ルークを引きずる
ルークが大狼を仕留めた!
これはギルドへの貢献度が高くなるよ!
後衛の魔法攻撃を耐えきってハウリングボイスが来たときは御仕舞いだって思ったけど、そこはルークがカッコ良く決めてくれた。
もう、着地してから大狼の体が弾けたところなんか惚れ直しちゃいそう!
一匹目のグループは体勢を立て直しての必要がある場所に向かって移動を開始している。
わたし?わたしは体力を使いきったルークを引きずって西門の退避スペースに移動中。
ルークは足が早いし、スタミナもあるんだけど、最後の槍投げを使うとか倒れちゃうの。
前に来た凄い賢者様が「その必殺技に全魔力を消費しているんだね。」って言ってた。
ルークは魔力少ないから仕方ないんだって。
本人は「俺の全力を注いでるのさ!名付けて『全力槍』!え?カッコ悪い?ひっでぇな!」とか言ってるけど毎回介護する身にもなってよね。
あ、言い忘れたけどわたしはパティ。
ルークと組んでる魔術師よ。
観ずと火の二属性持ちなんだけど、燃費が悪くて今日は攻撃魔術が使えなくなってしまったのでルークを置いたらわたしの退避スペース行き。
でも、ルークが大狼の一匹に止めを刺したから今回は報酬が期待できるので良し!
美味しい御飯が食べられるわ!
そんなことを考えていたら激しい突風が吹き荒れたの。
菜にかと思って風の行く先を見たらてこずっていた二番目に大きな大狼に人間大の何かが直撃してた。
何あれ!?大砲とかこの町には無かったはずなんだけど?良く見るとに大とかじゃなくて人間じゃない!!
しかも、ギルドのエリーちゃん!?
何でこんなところに要るの!?
そんな疑問を考える間も無くエリーちゃんはかたてに持った鉈で大狼の方目を潰してしまった。
あそこにはBランク以上の人ばかりが集まって苦戦ししていたのに簡単に大狼に傷を負わせているの。
更にわたしじゃ持てそうもない両刃の斧を軽々と持って大狼に大きな傷をつけてる・・・
前にルークが言っていた「アイツは異常だ。あんな化物見たことがない!パティ、アイツには気を付けろよ!」って強く言われてたけど分かる気がする。
体はわたしよりも小さいのに両刃の斧を振り回し投げ飛ばすほどの力、大狼の攻撃をかわせる瞬発力。
わたしも身体強化は出来るが、あんな身体強化は見たことがないし、あんな使い方をしたらすぐに魔力切れで倒れちゃう・・・
それに、大狼の血を撒き散らながら笑っているの・・・
背中に飛び乗ってからの大狼の悲痛な叫び。
大狼のあんな声聞いたことがない・・・
思わず耳を塞いじゃう。
倒さなきゃいけない相手だけど、こんな肥は聞きたくないよ!
叫び声が聞こえなくなると、槍の刺さった大狼が倒れていた。
エリーちゃんは剣を持って立っていた。
ゆっくりとその剣を空に掲げると周りの皆が大声を上げて喜んでいた。
残りの中型の一匹は既に倒されてみたい。
最後はピカレスクさんの一匹・・・
もう一度エリーちゃんの方を見るとエリーちゃんが倒れていた。
わたしは近づこうにも近づけなかった。
足が震えているの。今はただエリーちゃんを怖いと思ってしまったの。
何処かの貴族の御嬢様のようでお人形みたいなエリーちゃん。
刺繍をしているときなんかは綺麗と思っちゃうほど可愛いのに、今は怖くて近づけなかったの・・・




