姫、皿洗いをする。
借金返済をするため私の生活が始まった。
なぜだ、華々しい冒険者生活はどこに!?
特に目的は無かったがこれは何が違う気がする・・・
部屋は違う場所に移されたがギルドで住み込みで働くことになった。
借金は前に言われた通り銀貨24枚。
この世界の通貨は錫貨、銅貨、銀貨、金貨、白金貨で構成されている。
錫貨は「すずか」と呼ばれるが、普段は「すず」と略されている。
前世のおおよその価値観から円に直せば、錫貨が1円、銅貨が10円、銀貨が千円、金貨が10万円、白金貨は一億円に相当する。
まあ、物価の変動により価値は大きく変わるようなのであまりあてには出来ない。
不思議なことに時間や距離等の単位、食べ物や物の名前に関しては前世の知識と同じものが沢山ある。
調べてみれば、この世界には昔から異世界から世界の危機の度に国が勇者召喚等を行ってきたらしい。
らしいと言うのは、私の居たガンバルティアには勇者召喚の儀式が無く、試した事もなかったらしい。
しかし、ここからはるか遠くの大陸の反対側の国では20年以上前に勇者召喚を行い、当時人類の脅威とされていた魔王を討ち取ったと言う記録もある。
正しく異世界召喚の醍醐味である。
私は前世の記憶ではなく知識があるだけなのでロマンがいまいち分かっていなかった。
そんなことを考えていながら、雑務である皿洗いを続ける。
生まれてこのかた皿洗いなどした事が無かったので逆に楽しくもある。
皿さえ割らなければ・・・
まさか皿がこんなにも脆いとは思わなかった。
汚れが落ちないと思い魔力を込めで拭いた瞬間に真っ二つに割れたのだ。
これには指導役で紹介されたオークのアンゼリカさんも口を大きく開けていた。
皿を割った場合、給料から天引きされるとのこと。
住み込みで1日銅貨50枚、皿1枚悪と銅貨1枚分の天引きになる。
既に10枚以上は割っていると思う。
「本当に、ままなりませんわね・・・」
そう言いながらエプロンドレスを着せられて皿を洗い続ける。
あ、また割れた。
力加減を覚えなければ・・・




