姫、非公式の謁見
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「こちらが応接間だ、中で陛下がお待ちになられている。
そこの少年、死にたくなければおとなしくしていることだ。」
落ち着いたお兄様たちに連れられ、応接間までたどり着いた。
一番暴走しそうなレッカに対して注意を含めていあつをしてきたが、レッカでも応接間から漂って来ている威圧感を前にしては何かをするのは難しだろう。
この威圧感はお祖父様のものだろう。
私に会いに来ていただいた時には一切感じることが出来なかった空気だ。
「非公式な場になるから礼などは必要ない。
だが、一国の王を前にしていることだけは忘れるな。」
「分かっているさ、僕達だって初対面じゃないからね、彼の気性を理解はしているつもりさ。」
「それが不安だと言うのだ。」
コンコンと軽くノックをして扉が開かれる。
更に強い威圧感がドアの隙間から流れ込んでくる。
「陛下、バルトランド卿と賢者をお連れいたしました。」
「ああ、ようやく来たのだな。
よくぞ戻ったクレイン、久しぶりだな賢者よ、その腐ったら根性は変わらんようだな。」
「君こそ、年老いた割りに元気過ぎるんじゃないかい?
一時期、最愛の孫娘を失い茫然自失で一気にボケたって聞いたけど?」
「抜かせ、ワシはまだ現役だ。」
応接間には「応接」するための机がなく、幾つかの椅子のみが並べられており、人の姿は一番奥の椅子に一人だけが座っていた。
声は紛れもなくお祖父様だが、顔のシワは増え、白髪も増えてしまっている。
しかし、それからは老いを感じられないほどの生命力を体から放っている。
表情は険しく、怒りの勘定が部屋を支配している。
その怒りは全てアキラさんへと向かっていた。
「アベル、カイン、ご苦労だった。
下がるが・・・いや、お前達も残る気だな?」
「はい、陛下。最愛の妹との再開なのです、父上と母上には申し訳ありませんが同席者させていただきます。」
「ああ、残らせてもらうぜ陛下。」
「まったく、だれに似たのか言い出したら聞かんのは困りものだな。」
お兄様達と向かい合ったお祖父様は、私の知っているお祖父様の顔になっていた。
しかし、威圧感は緩めることはない。
再度、アキラさんを見た瞬間にそれは起きた。
机がない時点で気が付くべきだった。
この部屋が対話をおこなう場所ではないことを。
さほど広くはないが、人が動くことに十分な広さであること。
机は初手から攻め落とすに邪魔なだけであることを・・・
「相変わらず、手が早いね白髪鬼君?」
「貴様こそ、見切れるようになったではないか臆病者。」
抜剣し、刹那の速さでアキラさんの首を狙い切りつけるお祖父様と、杖で辛うじて刃を止めるアキラさんが居た。