姫、深海域とその先
「資格をいただけたのは嬉しいのですが、色々と分かっていないことが多すぎて素直に喜べないのですが・・・」
「そうそう、俺も聞きたいことがある。」
「やっぱり、そうなるよね・・・?
僕に答えられることなら、答えてあげよう。」
アキラさんが困ったように言っている。
何かしら聞かれるのは覚悟していたのだろう。
なら聞くべきことは聞いておかねば。
「まず、この先の深部、深海域には何があるのですか?
何故入るのに資格が必要なのですか?
そして、渡しやレッカの御子と呼ばれる理由はなんなのですか!?」
「え、ちょっとまて!?お前それを知らされずにここまで着て試練の儀を受けたのかよ!?」
「レッカ、お前は少し静かにしておれ、話がこじれる。」
グランヴェルに頭を押さえられ、レッカが静かになる。
「詳しくは説明してなかったね・・・
本来なら、さっさと資格をもらっても直接見て聞いて欲しかったんだけど、そうも言ってられなくなったか。」
「流石にあんな目にあって、意識を失った時に冥府だなんだ言われたら不信に思いますわ。」
「え・・・」
多分、冥府と言う言葉に反応したのだろう。
アキラさんの顔が驚きと恐怖のようなものに染まっていった。
「ちょっとまってくれないかい!?
冥府の事は説明してなかったねよね!?意識を失っている時に何を見たんだい!!」
「い、いえ、何も見れませんでしたわ・・・ただ声がして・・・」
肩を掴まれ、アキラさんが迫ってくる。
「その声は女性だったのかい!?」
「女性・・・だったと思い・・・ますわ・・・
くっ、アキラさん、痛いですわ・・・」
細い腕からは分からない程の力で私の肩を掴み力を入れてくる。
防御をしていたが、それを上回る程の力だ。
指は肩に食い込んでいる・・・
「アキラさん、落ち着いて下さい。
彼女と決まったわけではありません。」
「ああ・・・、そうだね。
ごめんエリー、少し気が動転してしまったようだ。」
「い、いえ、問題ありませんわ・・・」
自分では確認できないが、肩は跡になっているだろう。
血は出ていないが、後で確認しておこう。
しかし、アキラさんが取り乱すのは珍しい。
あの時の女性はアキラさんを知っていたようだが、今は聞かないでおこう。
話が進まなくなる。
「それで、この先に何があるかだったね。」
「はい。」
「この先には深海域と呼ばれる世界が拡がっているが、目的にはその奥にある遺跡なんだ。
その遺跡はある場所と繋がっていて、副次的に別の場所とも繋がっているんだ。」
「それが、冥府ですのね・・・」
「そう、そして本来は神の住まう場所への入り口になるんだ。」
神、あの時の裁きの龍が言っていた存在。
ジジイも神と会話をしたと言っていた。
これから神に会ってこいと言うことか・・・
「察しが良くて助かるよ。
君にはこの領域の神に会ってもらうことになる。
そのために資格が必要だったんだ。」
「そうだったんですのね・・・
で、私はその神と会って何をすれば何をすればよろしいんですの?」
「さあ?」
この場に居た全員が転けた。
「大体の流れは理解して動いているが、今回はドラゴニスからの指示になるからね、僕も予想しか出来ていないんだ。」
「一気に頼りなくなりましたね・・・」