姫、宣戦布告をされる
「よし、これで仕事は終わり!
賢者様、今回はどのくらいこっちに居るの?」
さっきまでの丁寧なしゃべり方は何処へ行ったのか、レッカはアキラさんに砕けたしゃべり方で話しかけていた。
周りの三人も仮面を取り、アキラさんへ群がっていく。
「こらこら四人とも、お客さんの前なのだから少しは抑えなさい。
それに、僕は族長が戻ってき次第深海域へと向かうよ。」
「え~また深海に行くのかよ、そろそろ俺もつれてってくれよ~」
「族長からの許可が出ればね。」
群がる青年達をアキラさんがあしらっていく。
「悪いね、この子達にはなつかれてしまっていてね。
何かと構って欲しい年頃なんだ。」
「いえ、それは構いませんが・・・」
「賢者様、この女は?」
「この子は今回のお客様で、この子を深海域へ連れていくのが目的なんだ。」
「へぇ~・・・」
その言葉と共に、レッカが私を睨み付けてくる。
どうやら、アキラさんが私を連れてきたのが不満の様だ。
おおかた、アキラさんを取られると思っているのだろう。
私は全く興味が無いが。
もし、ありえない事だが、乙女ゲーみたいなことになったら私は口から砂糖を滝のように吐き出して全力で逃げ出す自信がある。
「賢者様」
「なんだい?」
「コイツが深海にまで行くのなら、試練の儀はやるんだろ?
やるなら俺にやらせてくれないか?」
「構わないけど、最終的に相手を決めるのは族長か君のお父さんだ。
二人に頼んでみるんだね?」
「・・・わかった。」
レッカはまた睨むと、すぐさま集落の奥へと箸って行った。
試練と相手、その言葉だけで大体の予想がつく。
レッカの使っていたウゴキハ直に見てみたいので歓迎であるが、そんなにアキラさんが好きなのだろうか?
「彼はね、僕が名前を付けてあげたんだ。
それを知ってから親のように慕ってきてくれてね、兄のように接してくれて居るんだが・・・
集落の若者ではトップを争う実力と族長の孫って言うのもあって、少々わがままに育ってしまってね。」
「そうなんですか。」
「おや?興味なさげだね?
男の僕から見ても、美形且つ可愛い容姿だと思うんだけどね?」
「興味ありませんわ。
むしろ、戦ってみたいと主っていますわ。」
「14歳の女の子とは思えない発言が入りました!
クレイン!!しっかりしないと保護者さんよ!!このままだとガンバルティア王家名物の嫁の貰い手が居ない娘になっちゃうよ!?」
「無理です、諦めてください。
あの御方の孫って言う時点で諦めてください。」
「保護者が諦めてるよコレ!!」
こうなるとアキラさんはしばらく止まらない・・・
そのうちサブマスが殴って強制的に止めるまで待とう。
「あ、あの・・・」
私が止めても良いのだが、止めた後でテンションが上がってしまうので、更にめんどくさくなる。
「あのーーー!!」
「うわぁっ!?な、何かしら!?」
「あの、私、賢者様のお客様のご案内で参りましたノンノと申します・・・」
「お客様、あぁ私ですのね?」
「は、はい・・・」
今まで出会ったことが無いタイプの女の子が出てきた。
いや、屋敷の中に独りくらい居たかもしれないが、基本三人のメイドが付きっきりだったからなぁ・・・
背は私よりも一回り小さく、頭には丸い耳が飛び出している。
顔も丸顔だが、太っているわけではなく、幼さから来る?可愛らしい丸さだ。
「やあノンノ、御勤め御苦労様。」
「お、お帰りなさいませ賢者様。」
「僕は自分の部屋に行くから特に何かする必要はないよ。
このクレインは僕の部屋で泊らせるから、食事と寝具だけ用意してもらえるかな?」
「か、かしこまりました。」
「彼女は流石に男二人の部屋に寝かせるわけにはいかないから、客室が空いてたらあんないしてもらっていいかな?」
「は、はい。」
おどおどしているが、大丈夫なのだろうか?
いや、こういう子が意外としっかりとした仕事をこなしてくれるのだろう。
「え、えっと・・・」
「自己紹介がまだでしたわね、私の名前はエリー、イチオウ冒険者をしているわ。
よろしくねノンノ。」
「は、はい!よろしくお願いしますエリーさん。
お部屋へ案内しますので、こちらへ・・・」
ピコピコと音がなりそうな足取りで案内を開始するノンノ。
チャイロノワンピースを着ているが、お尻からシッポを出しているのが見える。
この尻尾も丸い。
なんか、抱き締めたくなる可愛さをかもしだしてある。