姫、修行開始
正直後悔している。
修行と言うのだから技や歩法なんかを教えてもらえるのかと思っていた。
実際は予想以上に酷いものだった・・・
「まだ意識はあるんじゃろう?はよたてい。」
「意識はあっても、内臓をぐちゃぐちゃにされた直ぐ後にはたてませんわ・・・」
「まだ十回くらい死んだ程度じゃ、精神の中であることを喜ぶんじゃの。
意識が飛んでもすぐに戻ってこれるし、体は即回復する。
心さえ折れなければ存分に戦えるぞい。」
「その心すら折れそうなのですが・・・」
ゆっくりと立ち上がった瞬間に、腹部に衝撃が走る。
間合いを詰められ、鳩尾に寸勁。
お腹の中の内臓が悲鳴を上げるより早く破裂し掻き回される。
「その言葉が出ている内は折れんし、壊れもせんよ。
どうせ壊れるなら狂戦士の方に狂え。」
容赦がない・・・
最初は死なない程度の技を使われていたが、それらを捌けるようになってからは問答無用の即死に繋がる技を出してきた。
中には攻撃を喰らった反対側が破裂し、からだに穴が開いたり、頭が吹き飛ばされたりしたものまであった・・・
「覚えが良くないが、地道に裏から体を鍛えさせていたかいがあったのう。
打ちのめしがいがある。」
駄目だ、この前世最悪過ぎる・・・
意識が途切れ・・・
「ほれ、回復したんならおきんか。」
蹴り飛ばされて意識が繋ぎ止められる。
この悪夢から逃げることは出来ないものか・・・
「目覚めるには、ワシとの修行が終わった後じゃな。
なに、精神の中だから外との時間は別じゃ。
存分に強くなりなさい。」
体より早く、精神が死ぬのではないかと覚悟を決めるのであった。