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魔王、装備を得る

 「ひーまーだー」


 地獄の大量召喚はもう一昨日のこと。切りの良い数字までいったので、ノワールはやめたのだ。

 装備も召喚し、足りなくなった建物を増やした頃にはノワールの口はろくに回らなくなっていた。幸い、多少噛んでも魔法は発動するから良かったのだが、流石に疲れたノワールは、城の大きい風呂でゆっくりして、眠ったのだ。

 次の日。つまり昨日は、グラウとヴィオレに魔法を教わった。教わると言っても、ノワールは1回ですべて発動させてしまい、結局は魔法の名前を覚えるだけの作業になってしまった。

 本来ならば、適性やしっかりしたイメージなどが必要なため、1回ですべてできるというのはとんでもないことだ。それをヴィオレに聞いたノワールは、「俺ってもしかしたら魔法の才能あるかも」とテンションをあげたのだった。

 そして今日。特にすることが思いつかないので、散歩でもすることにした。


 「ダメです」


 ネーロの発言だ。他の幹部も1人を除いて頷いている。

 ノワールが幹部を集めて、そこら辺を散歩してくると伝えた結果だ。


 「なぜに」


 「危険です。ノワール様にもしものことがあったら……」


 「だからホアンを連れていくって」


 「ホアンの実力を疑う訳では無いですが、1人ではどうしても無理があります。なので幹部全員で」

 「それじゃ息が詰まる」


 ネーロの言葉をノワールが遮る。強行してもいいのだろうが、こういうところで配下に不満をもたせると、裏切りの可能性がある。とノワールは妥協案を思いつく。


 「『超位装備作成』で、俺の装備を作る。ついでに幹部全員の分も」


 「……それなら、出てきた装備によりますが……」


 「『超位装備作成』」


 早速と言った感じで魔法を唱える。いつも通り光が集まってきた。

 一昨日に感覚なのだが、込められる魔力は本来の3倍程度だとわかった。だから今回も込められるだけ込めようとした。しかし、ノワールの予想を越え、どんどんと魔力を吸われる。ノワールは『超位装備作成』がどれだけ魔力を消費するのかわからないが、『上位部屋作成』や『超級配下召喚』から考えて、約20倍は消費しているように感じた。

 やがて光が収まっていった。そこにあったのは


 「ネックレス?」


 誰かが呟いた。そこにあったのは7つのネックレスだ。ノワールは7つだったから沢山魔力を消費したのだと1人納得していた。しかし、今まで1つの魔法で沢山のものができた事はなかった。

 ノワールは適当に、これで1つのシリーズかなんかだろう。と考えて納得した。

 そんなことよりも、とノワールはおもむろにネックレスに手を伸ばし首にかけた。

 すると、ネックレスから黒い靄の様なものが現れノワールの体を覆う。


 「ノワール様!」


 慌ててノワールの元へ向かおうとする幹部達を手で制し、ノワールは靄が消えるのを待つ。思いのほか靄はすぐに消えた。現れたノワールはさっきまでとは違う姿になっていた。

 黒く禍々しい鎧を纏っている。その鎧の篭手部分は、他のところよりも一層黒く、鋭い爪がついていた。

 そしてその鎧が持つ能力を知ったノワールは思わず笑っていた。


 「ノ、ノワール様? ご無事ですか?」


 急に笑い出したノワールが心配になったらしいグラウが問う。


 「いや、悪い。この装備さえあればどんな敵も怖くない、と思ってな」


 そこで一呼吸置き、幹部達全員に言う。


 「お前らもそのネックレスをつけるといい」


 ノワールの言葉で、ネックレスに手を伸ばした幹部たち。

 まずはグラウ。ネックレスをかけた途端に、光が発生し、その光がグラウの燕尾服の上で波打ったかと思えば、右手と右目で何かを形作る。

 光が消えた時には右手には豪華な装飾のついた灰色のマスケット銃が、右目にはモノクルが出来ていた。


 「燕尾服を光が波打ったのは何だったんだ?」


 ノワールがグラウに聞く。


 「どうやら、燕尾服の防御力を大幅に上げられたようです」


 「武器の能力は実戦で見せて貰おう」


 「ハッ」


 次はロッソだ。光が消えた時には、手に持ち手がくるりと曲がったステッキを持っていた。グラウと同じように光がスーツを通って行ったため、服の強化もされているだろう。

 ネーロも同じように、ゴスロリに光が波打ち、手には大剣があった。

 ヴィオレもパンツスーツに光が波打ち、手にはシンプルな拳銃を持っていた。片手につき1つずつだ。

 ホアンは皆とは違い光が服に波打つ事はなかった。しかし、最上級妖精であるホアンは、物理攻撃完全無効と、最上級魔法抵抗があるため、防御力を上げる必要はない。ホアンの手には、ホアンの身長と同じくらいの斧があった。

 ヴェルデもホアンと同じく、光は通らなかった。手には儀式にでも使いそうな細剣があった。


 「ヴェルデは防御力上昇なかったのか?」


 「はい、どうやらこの剣の能力に関係して、必要ないみたいです」


 ホアンとは違い、物理攻撃も普通に受けてしまうヴェルデだが、本人が大丈夫だというならいいだろう。とノワールは考えないことにした。


 「装備もできたし、散歩行っていい?」


 「そうですね。問題ないでしょう。ホアン、しっかりとお守りするのよ」


 「わかってるよー」


 □ □ □


 

 ノワールがホアンと共に、『飛翔』を使って城周辺を回っていたら、小さな村らしきところを発見した。

 しかし様子がおかしい。やけに静かなのだ。

 下に降りて、村に入ってみることにする。


 「これは……」


 そこにあったのは、大量の死体。軽くノワールは蹴った。ノワールもそこまで詳しくないが、体がそこまで固まってないところを見るに死んでから時間はそんなにたってないようだ。

 

 「野盗か?」


 それもしっくりこない。こんな何もなさそうな村をわざわざ襲うだろうか? しかし野盗に関する知識なんてほとんどないノワールは、野盗とは小さい村でも襲うことがある。と覚えた。何もなさそうな村だからこそ襲われたのかもしれないし、と小さく呟き一応生き残りを探す。いれば、ここで何があったのかを知れると思ったからだ。

 

 「『生命感知』」


 付近にある生命を探すことが出来る。虫などの生物の反応は無視し、もう少し大きいものの生命を探す。

 崩れた家の中から、生命の反応だ。近づいて瓦礫をどかして、掘りあげる。そこには、大人の女性の遺体の下敷きになった、13歳くらいの女の子がいた。死にそうだったので、回復魔法をかけてやり、意識のない女の子を城へ連れて帰る。

 この子の目が覚めてから話を聞くことにしたノワールだった。

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