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魔王、配下を沢山呼び出す

 「はーい。この中で料理ができる人ー」


 「はい。簡単な料理ならできます」


 そう手を挙げたのは、ゴスロリが可愛らしいネーロだ。正直意外だったノワールは、思わずおおと声が漏れる。


 「悪魔は食事を必要としませんからな」


 「私も生さえ食べていればほかは特に……」


 「妖精も基本的にはいらないんだよねー」


 「果物だけ食べれば料理しなくてもいいし……」


 それぞれ、料理のできない理由を口に出す。


 「あれ、ヴァンパイアって飯食うの?」


 「いえ、基本的には必要ないのですが、ただ娯楽の一種として嗜むこともありますので」


 「悪魔は?」


 「悪魔も同じです。食べれない事はないですね」


 「私もそうだよ!」


 「じゃあ、サキュバス」


 「同じですね」


 「という事はみんな食べれるっちゃ食べれる、と」


 ノワール達は厨房を手分けして探す。これだけ広ければどこかにあるだろうという考えだ。最悪あのマンションの1室のキッチンを使おう、と決めながらひたすら探す。


 「ノワール様!ありました!」


 「おお!よくやったぞ!」


 ふわふわと近付いてくるホアン。また期待した目をしている。こんな目をされたら撫でざるを得ないと、ノワールは頭を優しく撫でる。


 「えへへー」


 「キィィィィッ」


 なんか恐ろしい声が聞こえた、と思わず振り返ると、白いハンカチを噛み締め涙を流さんばかりに悔しがっている(?)ロッソがいた。何に悔しがっているのかはよくわからないが、このまま奇声をあげ続けられたらたまったもんじゃない。


 「……どうした?」


 「いえ。私も頑張りますので」


 「お、おう」


 声をかけた途端にピシッと格好を直したロッソの、答えともなってない答えを聞いたノワールは、もうこれは考えない方が良さそうだと結論付け、ホアンに厨房へと連れて行ってもらう。


 「しまった。忘れてたな」


 すっかり食材のことを忘れていたノワールは、どうしようか考え始める。正直お腹が空いたわけじゃなく何も食べてないから何か食べようと思っただけなのだ。もう食べなくてもいいかな。と思い始めた時、ロッソがピッと手を挙げた


 「なんだ?」


 「私は魔力を使い、ものを生み出す能力があります。それで食材を出せば良いかと」


 「おお、助かるぞロッソ」


 「…………」


 「どうしたよ」


 ノワールは期待した目を向けてくるロッソに問う。この目、どこかで……。と、ホアンと似たキラキラ具合を見て、(ああ、こいつも撫でなきゃいけないのか)と、少しだけテンションの下がったノワールだった。


 □ □ □


 ノワールがロッソをなでている光景は、ノワール精神衛生上カットとさせてもらう。まさに誰得な光景だった、とだけ言っておく。

 自身も軽く料理ができるノワールはネーロと並び、食材を切り始める。自分より上手にできる人がいれば頼もうと思って、料理ができないか聞いたのだが、みんなで食べることになったため、ネーロを手伝おうと思ったのだ。

 ネーロの手際に既視感を覚えながら、どこか懐かしい気持ちをノワールは感じた。前にこんなことがあったような。しかし記憶にはない。また抜けている部分か、と溜息をつく。


 「あ、あの何か至らぬ点がありましたでしょうか……?」


 「ん? ああ、ネーロに溜息をついたわけじゃない」


 「そうですか」


 ホッと安堵の息を漏らすネーロ。胸に手を当てながらだ。

 料理を作り終えた。運ぶのを手伝って貰い、厨房をあとにする。

 できた料理は簡単な家庭料理だ。それなのにやけに美味しく感じてしまう。配下達と談笑しながらの食事は、ノワールの心に安らぎを与えた。



 □ □ □



 食事も食休みも終わったあとで、本のある部屋へ行く。ここに来た理由は、ここがどこなのかをしっかりと把握する必要があると考えたのだ。


 「グラウ。天井に貫通系の攻撃を放て」


 「御意」


 言われた通りに、天井に穴を開けるグラウ。穴はだいたいノワールの腕の長さと同じくらいの直径だ。グラウの放ったレーザーの様な攻撃の威力は凄まじいようで、そこだけ切り取られたようになっている。

 そして穴の中をのぞき込む。青空は少し遠くに見えた。


 「すると、ここは地下だったか」


 「そのようです」


 一旦上に出たいな。と思ったノワールは方法がないか、配下達に聞く。


 「でしたら、『飛翔』と魔力を込めて言ってみてください」


 ヴィオレの言う通りにする。すると、体がゆっくりと浮かび上がった。自由に制御できるようで、複雑な動きもできる。そのまま穴から上を目指す。

 どうやらここは草原のようだ。目の届く範囲には草しかない。ならば、とノワールはいう。


 「まずはここから支配を始めていこう」


 「「御心のままに」」


 ☆ ☆ ☆



 昨日は草原に城を建てた。『上位部屋作成』を繰り返したのだ。ある程度はイメージに沿ってくれるみたいで、結構簡単にできた。城はグラウが開けた穴の上に乗るように作った。いざという時の逃げ道にもなるようにだ。

 その後、魔力に余裕はあったが、一応一旦寝たのだ。

 今日は屋敷の使用人と、悪魔や魔物を作り出すことにする。


 「『上級亜人召喚』×20」


 亜人というのが何を指すのかよくわからないが、人とつくくらいだから人形だろうと思い、呼び出すことにしたのだ。

 出てきたのは様々な動物の耳が生えた女性達だ。獣人とでも言うのだろうか。彼女ら皆ただならぬ威圧感をだしており、細い体だがそれなりに強いとわかる。


 「『上位装備作成』×20」


 今度は装備を作る。イメージしたのはメイド服。それもメイド喫茶などにあるような類のだ。ノワールはフリルでフリフリな感じの服は結構好きなのだ。


 「君たちには、この城の管理を頼む。励んでくれ」


 「「御心のままに」」


 「じゃあ、この城の中に入って、部屋の位置とか確認してきて。終わったら掃除。それも終わったら俺のところまで来てね」


 「「御意」」


 さて指示もだした。ノワールが次にしようとした事は悪魔を大量に呼び出すことだ。

 

 「『中級悪魔召喚』×200」


 流石に口が疲れたノワールは一旦休憩することにする。悪魔ならば食事も不要らしいので、いくら呼んでもいいかな、と思ったのだ。彼らはグラウ専属の部隊とする。またあとでもっと呼ぶつもりだが、それもグラウの部下だ。

 一応『上位部屋作成』で、悪魔達の宿舎を建てる。睡眠も必要ないそうだが、拠点は必要だろう。4階建てのものだ。どうやら、城の様にワンフロアワンフロアを豪華にするのではなく、多少粗雑に作ろうとすると、数階建てのものも作れるみたいだ。

 大量の悪魔を呼んだあとは、魔物だ。少し強めの魔物が欲しいので、言葉に込める魔力を増やす。悪魔を呼んだ時に気づいたのだが、込める魔力量によって多少個体差が出るようなのだ。

 

 「『上級魔物召喚』『上級魔物召喚』」


 2体呼ぶ。出てきたのは、俺の知っているものより2回り程大きな虎と狼だ。2体とも体毛は白い。虎はホワイトタイガーだったらしい。

 この魔物達はヴェルデのものだ。聞いたところに寄ると、魔物を使役するのが得意らしいのだ。

 そんな感じで、最初に呼び出した6人ーー幹部とでも呼ぼうかーーにはそれぞれ直属の隊をつけることにする。グラウには悪魔隊。ロッソには少数精鋭の遊撃隊。ネーロには能力で作ってもらう吸血鬼隊。ヴェルデはさっき呼んだ2体をはじめとする魔物隊。ヴィオレには情報収集に長けたものを集めた諜報部隊。ホアンは俺の癒しになる癒し部隊(所属はホアンとアンジュのみ)。

 まだそれぞれの隊は完成していないが、ネーロとロッソ以外の隊が完成したら近くの国を襲おうと思う。ネーロの部隊は人を襲わなきゃできないし、ロッソは優秀なものを入れて行くため、完成はない。

 どうせすぐ終わるだろう。ノワールはそう思った。配下を呼ぶのなんて、少し口が疲れるだけで魔力の消費は微々たるものだ。しかし呼び出した全員分の装備を生み出さなきゃ行けないことを思い出し、少しやる気を失うのだった。

 アンジュはノワールに忘れられたため、頑張って穴から外に出ていき、1匹で付近の動物を狩り、食事を済ませています。

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