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おとなりダーリン。  作者: 坂戸樹水
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 懐かしい。久し振りの学生ノリ。そぉいや、オレもこんなんだった。

然も、結構モテてたんだよ、意外にも。

そんなコトを思い出しつつ、オレはヘラヘラ愛想笑いで以って初対面の群れの中に混じる。

グルっと見回しても、覚えのある顔は無いから一安心。

今日も張り切ってリーマンを貫いてこぉ。


(合コンってか、飲み会って言える人数だな。

一声で こんだけのメンツ揃えられるって、ユーヤ君の人望?)


 空いている席に適当に座ったもんだからユーヤ君と離れちまったけど、この環境を客観的に見るコトが出来る。

ユーヤ君が同級生からもセンパイからも可愛がられてるってのは一目瞭然で。

忙しなくチヤホヤチヤホヤされちゃってまぁ、

オレも そんくらい馴れ馴れしくオサワリしてぇや!


 ユーヤ君は絡みを振り払うと、5本指を揃えてオレに向ける。


「えっと、コチラ! 俺のお隣に住んでる、石神……」

「石神亮太郎でーす」

「え? ――ぁ、そ、そう、石神亮太郎サン!

引越し手伝ってくれたり、ヘッドホン貸してくれたり、スゲェ親切なんだよ!

俺、めちゃ助けられてるんで、皆、余り頭が高くなんないように気をつけてくれな!」

「いやいや。ただの近所のオッサンなんで、適当でイイですから」


 将来有望な皆サンに拍手して貰うとか、オレの方が頭が高いっつの。

オレが深々と頭を下げると、流石ユーヤ君の仲間達ってだけあって、アレコレ気を回してくれる。


「由也が世話んなってるってなら、俺らも全力でコビっとかなきゃな!」

「今後とも、世間知らずな由也を宜しくお願いします!」


 体育会系なノリでヤローからビールを注がれる。

出来れば女の子がイんだけどね、でも こんな賑やかな席は久し振りだから まぁイっか。


「ガッコでもユーヤ君は世間知らず?」

「ええ、そりゃもぉ! アイツ、坊チャンだから」

「知ってます? 中都重工ってCMしてたりもする会社の御曹司なんですよ」

「えぇ!? 良く分からんけど、何か精密機械 作って、世界に羽ばたいてる会社だよねぇ!?」

「ハハハ! そうです、そうです!」


 はぁ~~一流企業のぉ~~へぇ~~スゲェなぁオイ!!


(ホンモノのお坊チャン。世間に馴染めず空回りってか)


 オレはユーヤ君を見る。

酒は飲めないらしく、ソフトドリンクで乾杯してる。

ユーヤ君の周りに蔓延ってるのは、男も女もユーヤ君狙いみたいだ。


 って、男……?

やっぱり雑ざってんのかぁ~~あ~~も~~否定できねぇよ~~頑張れぇ若者~~


(多分、同級生だろう王子様顔のイケメン君は、

『この際 男でもイイや』でユーヤ君に片想いしちゃってるワケね?

女の子にも引けを取らずに絡むサマは、オレからすりゃ勇者だよ)


 オレは無理。男は無理。だって、女の子が好きだから。

いっくら顔も体も好みだからって、男の遺伝子を受容するコトは出来ない。



(出来ない。――多分)



 拒絶しきれないのは、やっぱりユーヤ君がカワイイからだ。

20人近くなるだろう、そのメンバーの中で半数は女子だってのに、その中にブン投げても1等賞にカワイイからだ。


 女の子の素晴らしさを堪能しに来たってのに、目はユーヤ君に向かってしまう。

取り敢えず、ビール一気飲み。アルコールに助けて貰うっきゃない。

威勢良くコップを空にすると、ソレにテンション上げた女の子が お酌に走って来る。ありがてぇ!!


「石神サン、どぉぞ!」

「石神サン、サラダ食べません?」

「石神サン、から揚げは? モツ煮は?」

「ちょっと、後輩チャン達ぃ、社会人は社会人同士で飲ませてくれなぁい?」


 おぉおぉ、女子が群がって来たーー!

遅ればせながらにオレのハーレムが完成だよ!

年下女子はカワイイけど、やっぱOGの安定感は捨てがたいね。

オレはOGとグラスをかわす。


「ねぇ、石神サンは幾つなの?」

「25。そちらは?」

「私、26。1個オバサンだぁ」

「「「アタシ達ハタチでーす!」」」


 何かキャバクラみてぇだ。行ったコトねぇけど。


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