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おとなりダーリン。  作者: 坂戸樹水
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「騒がしくして すみません。今日、隣に越して来ました、中都ナカトと申します」

「ぇ、ぁ、ど、どぉも! 隣に住んでおります、石神ですっ、」

「もうじき引越しも終わりますので、」

「いやいや! 別に! お気になさらず、ごゆっくりどーぞ!

何なら手伝ってもイイし、何ちゃってアハハハ!」



(可愛いけりゃ許す。ソレが男です。オレは鬼畜男子です。あ。オッサンです)



 オレが調子のイイコトを言えば、美少女・中都サンは一層 笑みを深くする。

何かな天使かなキミはぁ!!


「本当ですか!?

家具は業者サンに配置して貰えるから良いけど、他にも重たい物はあるし、

どうしようかと思ってたんですよね、手伝って貰えるなら大助かりです!」

「ぁ、え?」

「お隣サンが親切な人で良かったぁ!」

「あぁ、えぇ、お手伝い、ハイ。喜んで……」


(マジで? 本気? オレの方は本気にされてもシメシメだけど、イイの?

隣に住んでるってだけで、安全な男って確証はねぇですよ?)


 中都サンはまるで妖精のようにクルリンと踵を返し、任務を全て終えた引越し業者に深々と頭を下げる。

礼儀正しい中都サンにヘラ~っと笑って手を振り返す業者の連中と来たら、オレと同じく下心満載。


「じゃ、石神サン、お願いします!」

「ぁ、はい! はいはい!」


 『どうぞ』と招かれ、初の隣室へ。

部屋の間取りは殆ど同じ。家具もシッカリ配置されちゃいるが……

シックなダークカラー。ロココ調? まぁ、そんな感じのブルジョワ系?


(場違いに高価な家具だコト)


で。もっと意外な物を発見。



「ピアノ!?」



 やったら嵩張るグランドタイプのデジピアノ!!

コレ、めちゃくちゃ高いヤツじゃん! オレが欲しかったヤツじゃーん!


 中都サンは終始 笑顔で頷く。


「趣味でピアノを弾いてるんです」

「ソ、ソレにしても立派なモンを お持ちでぇ」

「父が引っ越し祝いにとくれたんです」

「ス、スゲェお父サンでぇ」


 娘の引っ越し祝いに……って、金銭感覚どーなっちゃってますか?

このボロアパにコレは無いでょぉ。

どーせなら、デザイナーズマンションとか買ってやったら どーですか。


 そうこうオレが狼狽している中、中都サンはサッサと荷造を解く。

手伝いに来たんだから、ボサっとしてちゃイカンよな。


「オレは何しましょ?」

「えっとぉ……その、本って書いてある段ボールをお願い出来ますか?

中の物を本棚に並べて欲しいんです。順番は適当で良いので」

「はいはい、分かりました」


 【本】と書かれた段ボールは2つ。

棚にブチ込んで良しなら、さっさと やっつけちゃいましょ。

で、段ボールの中から取り出した本は、全て音楽書籍。


(ぅわ。たっけぇハード本ばっか!

つか、この子、クラシックでもやってるのか?

オレが学生時代に愛読した音楽理論の本とか満載だぁ)


「もしかしてぇ、音大生か何かですか?」

「ええ。まぁ、」

「へぇ! 新入生?」

「いいえ。2年です。ハタチになったので、社会勉強に1人暮らしをしたくて」

「へぇ。エライねぇ。つか、こっから1番近い音大ってぇとぉM大だけど?」

「大当たり。M音大のピアノ科に通ってます」

「へぇ!」


(ソレってオレの後輩ってコトじゃーん! 運命、運命!)



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