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おとなりダーリン。  作者: 坂戸樹水
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(オレだぁ!! やっぱりオレだぁ!!)


 こうして改まって聴かされると恥ずかしぃんですけど!!

シャラララ~~な曲、男が書いてるって恥ずかしぃんですけど!!



「……ブ、ブッチャケ、何処が そのぉ……イイのかな? コレの……」



 自分の作品 貶す日が来る何てさぁ、

運命のイタズラ妖精サン、見つけたら羽 引きちぎって2度と飛べなくしてやるわ。

そんな残虐な仕打ちを企てるオレに、ユーヤ君は握り拳を作って力説する。


「な、何て事を言うんですか!? その耳かっぽじって良く聴いてくださいよ!

良いですか、この流れるような主旋律!

ボーカルが残念ってだけで、メロディーは秀逸ですよ! 特にキーボード!

邪魔せず、ソレでいてしっかりと曲を支えてます。広がりを感じるでしょ!?

一見シャラララってますけど、内容は緻密で繊細な上に成り立っているんです!

オフボーカルサウンドが無いのが本当に残念です!

このアイドルのプロデューサー、どうかしてますよ!

この曲をカップリング扱いにする何て!」


 ユーヤ君は口をへの字にして怒ってる。


(怒った顔もカワイイねぇ。

って、オレの曲をそこまで聴き込んでくれるリスナー、

全宇宙 探してもキミくらいだと思うよ。うん。スゲぇ)



「嬉しい……」



 あぁ!! つい口から本音が!!

オレは慌てて言い直す。


「ぅ、、嬉しいだろぉねぇ、その作曲家!

そんなに絶賛されてるとは、知る由もなーい。アハハハハ!」

「はぁ、そう何ですよ……

石神先生はM大出身だって事くらいで、プロフィールも公開されてないし、

俺、弟子入りしたくてM大に入ったのに……」

「えぇ!?」

「コネ……って言うんですか?

そうゆうのを作って利用すれば良いって父が教えてくれたんですけどね、

そう簡単に作れるものじゃないんですね、コネ……」


 キミの お父サン、何かスゲェなぁ!



「あぁ、会いたいなぁ、石神先生に……

どんな人なんだろう? きっと素敵な人に違いない……」



 ダメだぁぁぁぁ!!

オレは非情になってリーマン貫かなくちゃぁぁぁぁ!!

だって、コイツの中の石神センセイ、もみ上げカールしてて、瞳は銀河系になってんもん! ヒラヒラの襟の服とか着てるもん! 上下ジャージじゃないもん!


(オレなんかが、目出度い若者の夢を襲撃しちゃダメだってば……)


「ュ、ユーヤ君はユーヤ君の才能を伸ばすんに頑張ったらイイんだよ。絶対に。

きっと、何処かで そのセンセイは見守ってくれてるからっ、」

「そうですよね。俺が有名になって、引っ張り出せば良いんですもんね!」

「引っ張り……」

「父も、野望を成就させる為なら、多少の悪知恵は必要だって言ってましたから!

俺、頑張ります!」

「……」



 怖、怖ぁあぁあぁあぁ!!



 真っ当じゃねぇだろ、中都重工!!

息子に世の中のネジ曲がった仕組みを教えるなよ!

【命に優しい空間を――】って、CMで唱えてるお題目は何なのさ!!



(腹の底から願うわ、この子が有名にならんコトを……)



 耳にはシャラララ……

家に帰れば、シャラララった曲 作らなきゃイケナイんだよね、オレ。




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