七話
七話目になります
今話は短いです
神田誠 主人公
前田智 同僚で同い年
山田繁人 同僚で五つ上の先輩
大竹一哉 同僚で先輩。おまじないを勧めた人
その後の事は、あまり覚えてない。
気づいたらいつの間にか寝ていたらしく、起きた時には朝になっていた。
実家からどのようにして帰ったのか、コンビニに寄ったのか、家に着いてからはどうしたのか、ご飯を食べたのか、何時に寝たのか・・・・・・。
正直、どうでもいい。
知ったところで何も意味はない。
実家に行った時の服装のままだったため、黒のスウェットに着替えた。
今日は何をすることもなく、ずっと家でぼーっと座り込んでいた。
テレビも見ず、雑誌も見ず、家事もせず、腹が空いてはカップラーメンを食べ、またひたすらぼーっとする。
もうすぐ年が明けるというのに、とても無駄な時間を過ごしていると思えるだろう。
しかし、今の俺にはそんなことを考える余裕すらなかった。
母親の言ったあの言葉・・・・・・表情をフラッシュバックのように思い出しては、また体が震え始めてしまう。
怖い・・・・・・怖いと、体が伝えているようだった。
その翌日、そのまた翌日も俺は同じ調子だった。
十二月三十一日の夜。
電気も点けず、月の光が差し込むおかげで辛うじて物が見える薄暗い部屋の中で、俺は窓際に背中を預けて相変わらずぼーっと座り込んでいた。
その時、足元にある携帯電話の着信音が鳴って光だす。
「ッ⁉」
俺は驚き、体が緊張しているのがわかった。
着信音に怯えてしまうほど俺は精神的に病んでしまっていた。
「・・・・・・」
無心で画面を見ると、山田さんからだった。
俺は、はっと我に返り、慌てて電話に出る。
「はい!もしもし!」
「おっ!神田くん、元気がいいな。何かいいことでもあったのかい?」
「・・・・・・」
「あれ?もしもーし」
「あ?ああ、いえ、そこまでいい事は・・・・・・なかったです・・・・・・。それより、どうしたんですか?」
「ああ、あのな、明日の初詣だろ。一緒に行かないか?前田も行くって言っているし、三人で行こうぜ」
「もちろんいいですよ。行きましょう」
ここ最近、何もしてないせいか、無償に行きたくなった。
「あと、買った宝くじが当たってないか、一緒に確かめようぜ」
「ああ・・・・・・はい。良いですよ」
「まあ、そう簡単に当たらないと思うけどな。ははは!」
「絶対外れてますって。確かめるまでもないですよ」
「買った本人がそうネガティブになるなって。じゃあ、朝九時に神田の家に来るよ。お前の家からが近いしな」
「わかりました。じゃあ、また明日」
「おう、じゃあお休み」
「あ、はい、お休みなさい」
そして電話を切った。
「・・・・・・はあ」
俺は適当に携帯を投げ、布団に寝転んだ。
仰向けになり、天井と向き合う。
「当たるわけねぇだろ・・・・・・ったく、俺はそれどころじゃねえんだよ」
別に山田さんが悪いとかそんなつもりではないのに、心の中にあるモヤモヤを吐き出したい一心でつい愚痴ってしまった。
「はぁ・・・・・・ふぅ」
深呼吸をする。
「よし、悪い事は考えず、今日はさっさと寝よ」
俺はそのまま目を閉じた。
そこまで疲れていないはずなのに、不思議とすぐ眠りについた。
ありがとうございました。
次話もお楽しみにm(__)m




