7.次の敵
本日二話目!
今は学校の帰り。
氷雨はいつもの日常を過ごしていたのだが、授業中はココネが暇すぎて、何回も頭の中から声を掛けられた。例えば、こんな話をしたのだった。
『ねーねー』
(静かにしろ。勉強に集中出来ねぇよ)
『氷雨って、難しいことをやっているんだ……わかんないよぅ……』
(やはり、ココネはまだ小学生辺りの歳ってわけか)
魔界でも同じ内容の勉強をしているか疑問だが、見た目も合わせて小学生程度の歳だと氷雨は思っていた。だがーーーー
『しょうがくせい?よくわからないけど、私は14歳だよ?』
(14歳!?俺と3つしか違わねえか!?)
まさか、氷雨の歳と3つしか離れておらず、中学生の歳と同じだった。
(だが、身体は小さいよな……)
『むっ、いつかナイスボディになるんだから!!ぷるんぷるんだよっ!!』
(何故、胸の話になるんだよ……、身長の話だ!!)
的はずれのことを言うココネに呆れる氷雨。ココネはこんな子だったっけ?始めは落ち着いたイメージがあったけど、今は残念キャラみたいになっている。
まぁいいか、と話を続ける。
(で、14歳という事はまだ子供の部類に入るのか?)
『うー、まだ学校に通っている時点では、子供になっているけど…………』
(成る程、学校を卒業したら、大人だと認められるってわけか?)
人間と悪魔の基準が違うだけで、大人になる時期は決まっているようだ。人間は18歳になったら、大人になったということが多いが、悪魔はココネが言う学校を卒業したら大人と認められる。
『学校は16歳になったら、卒業するのー』
(へぇ)
『だけど、私はこの戦いに参加しているから、学校へ行く権利は免除されているの。だから、私は事実上では、卒業扱いになっているの!!私は大人なのっ!!』
(やはり、お前はまだ子供だな)
免除されているからって、卒業扱いするのは無理がある。なら、16歳になったら大人になると考えた方がいいだろうと判断した。
ココネが何か言っているが、無視して授業に集中したのだった。
「そういえば、お前は荷物を持たずにこの世界に来たのか?倒れていた時、周りに何も落ちていなかったが……」
もう河原辺りに着いて、周りには人はいなかったからココネを影から出したのだ。
「初めから何も持ってきてないよ。というか、持って行けなかったのよ」
「うわっ、身体一つだけで来たのか…………。良く生きてこれたな?」
「うん…………、食べ物もないから建物に忍び込んで取ったり、他の悪魔に出会っても戦えなかったから、逃げ回るしか出来なかったもん……」
ココネは氷雨の腹に抱きつき、顔を擦り込んでいた。氷雨はその寂しさを理解したのか、引き剥がさずに頭を撫でていた。
「え、えへへ、今は、氷雨がいるから…………」
「そうか」
しばらくこのまま、好きにさせていたらーーーー
「む?」
向こうから大きな声が聞こえた。1人の女性が泣きながら騒いで走っているのが見えた。まるで、何かに襲われて助けを求めているように見えた。向こうはこっちに気付かずに向こうへ消えていった。
「何かがあったのか?」
「多分そうみたいね。どうするの?」
ココネがジーとこっちを見ていた。自分は氷雨に従うと言うような視線だった。
「ふむ、気になるから見にいくか」
氷雨は氷雨で、興味があるからだけで判断する。危険な臭いがしようが、退屈を紛らわせるような事態があるなら行かないわけはない。
氷雨とココネは女性が出てきたと思われる路地道の中へ入っていく。先に進んでいくと、建物に囲まれた空き地が見えた…………
そこから、別の人の声が聞こえた。か弱い声で、不良だと思える男学生が顔を涙や鼻水で濡らしながら命乞いをしていた。
「すまねぇ、すまないから、助けてくれ…………」
よく見ると、男が謝っている先に別の男が立っていた。その男は水色のコートを着ていて、手には氷で出来た剣を持っていた。剣は血に塗れていて、周りには別の男学生が倒れているのが見えた。
おそらく、謝っている不良の仲間だろう。
「た、武、助けてくれぇぇぇ……」
「ヤダね。俺様が止めてくれと言っても、お前は止めなかったんだろ?俺様はそれを同じことをしているだけだ」
武と呼ばれた男は口を三日月のように歪めて、剣を高く上げる。
そこまで見ていた氷雨とココネだったが、先に声を掛けたのはココネだった。
「どうする?」
ココネは殺されそうになっている男のことはどうでもいいように氷雨へ問い掛けていた。
「んー、仕返しみたいな話が聞こえたし、俺には関係ないことだから放っといてもいいんだが、接触するとしても、殺すのが終わるまで待つ必要はないしな」
そう言って、空き地へ向かう氷雨。それについて行くココネ。
空き地に入ってくる氷雨とココネに気付いて、手を止める武。
「ありゃ、関係ない人が入って…………いや、その子は悪魔か?死体に怯えている様子はなさそうだし」
「まぁ、お前が誰を殺そうとしても、どうでもいいけど俺が待つ必要がなかったからね」
「ふーん」
氷雨が現れたことによって、命乞いをしていた不良の学生が大声で助けを求めて、氷雨の元へ向かおうとしていたが…………
「逃がすかよ」
既に剣が振り降ろされて、頭が真っ二つになって殺された。
「結局、待たせたね。…………ん、ユメノコからも話があるみたいだ。その子はユメノコの知り合いみたい」
そう言って、武とユメノコと分かれた。
「はぃ、落ちこぼれのココネじゃない」
「ユメノコ!?」
「知り合いなのか?」
「うん、学校が同じで、クラスはCの悪魔だよ」
「そうよ、まだ生き残っているとは思っていなかったけどね」
氷雨は二人の様子を見て、仲が良かったとかはなさそうだと思った。ココネのことを落ちこぼれと言っていたことから蔑んでいた側だろう。
「もし、貴方とそのパートナーが私達の下僕になるなら、生かしてあげても宜しくてよ?」
自分が上だと疑わないような言動で氷雨達のことを舐めていた。武はユメノコがそうしたいなら構わないと思っていた。氷雨のことは自分を虐めた者ではないから、どうしても殺したい理由がないのだ。
「ふぅん、自分が強いと思っていたら出ない言葉だな。それが覆られた時に出る表情が楽しみになるね」
「あら……、敵対するつもり?私のクラスはCなのよ。Eクラスで落ちこぼれのココネが私の相手になると思って?」
ふふっ……と自信満々に笑みを浮かべるユメノコ。
「私は氷雨のことを信じている!」
「なら、私の武が打ちのめしてあげるわ」
「やれやれ、ユメノコが敵対すると決めたなら、やってやるよ」
「さぁ、やろうじゃないか。ココ
ネ!!」
二組の人間と悪魔が手を合わせて、『悪魔融合』を発動する。
二人の思想体が現れ、氷雨は女性の姿に変わって、手に剣が現れる。
武は水色のコートを着て、冷気が生み出される。
「女性……?」
「この姿が強いとイメージしたからな」
想像していたように、武は氷雨が女性の姿になったことに目を丸くしていた。
「さて、俺の退屈を紛らわせて貰おう」
『空間』、『自己修復』使いと『氷』使いが激突する瞬間になるのだった…………
次は明日か、早めに書けたら今日の内に載せますので、よろしくお願いします。
自分が書いてなんだけど、こういう話って、小説より漫画の方がわかりやすいような……?
皆様はどう思いますか?
漫画の方が良いといってくれても、私は漫画を書けないけどなっ!(笑)