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落ちこぼれの悪魔っ娘の手を取る  作者: 神代零
1章 初の経験
6/14

5.初勝利

 


 氷雨はもう終わりにすると言っていた。もう勝ちを確信しているようか笑みでゆったりと敵に向かって歩く。

 その氷雨を不気味だと思ったのか、敵はジリジリと後ろに下がっていた。




「もう岩を削るのも面倒になったし、放っていた場所を攻撃させて貰おう。”グリム”」


 黒い穴が刀の先に出来、一息をつく瞬間もなく、突き刺した。氷雨が設置した出口はーーーー




 眼球の前にだ。




「あ、ああアァァァァァァァァーーーー!!」

「ほれほれ」


 脳までは届いていないが、眼球があった場所をぐりぐりと刀を動かして痛みを倍増させていた。

 眼球だけは当たり前だが、岩に囲まれておらず、弱点丸出しの状態だった。岩に囲まれても見えるなら問題はなかったが、敵は出来なかった。




「痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!や、止めてくれぇぇぇぇぇ!!」


 敵の心は折れていた。攻撃は全く当たらず、氷雨がやってくることはわざと急所を狙わずに痛めつけるやり方に恐怖を覚えていた。

 実際は痛みを与えるためにやっているわけではなく、ただ使える術は何処までやれるのか確かめているだけなのだ。


 今も小さな黒い穴に刀を突っ込んで、どれくらい動かせるか試しているのだ。結果、直径15センチの穴を作ったらふちの1センチぐらいはガンガンとぶつかって通ることはできなかった。




「成る程。これが境界になっていて壁に当たるような感じがするな」

「や、やめてくれぇぇぇ……」


 敵は既に刀が通った穴から離れていて、涙や血が混じったのを目から流していた。

 心を折られた敵は氷雨に背を向けて逃げようとしていた。ここは出口があるか疑問だが、敵はただ氷雨が恐ろしくて離れたいと思って行動しているだけだろう。


 自分の攻撃で壊してしまった後ろ頭を晒しながら逃げていて、隙だらけだった。




「最後の実験だ。”グリム”」

『え、伸ばしている?』


 氷雨の前には黒い穴が現れるが、ただの丸ではなく、餅のように横へ伸ばされていた。

 この穴を伸ばした理由は、刺すのではなく、斬るためにある穴を作るためにだ。




「はぁっ!」


 刀は伸ばされた穴をなぞるように斬る動作を起こした。そして、逃げる敵の頭後ろに出口があり、刀が頭後ろに減り込んで脊髄も斬り裂かれて、敵は前乗りに倒れた。













「あ、悪魔…………」


 敵は倒れた後、人間と悪魔に分かれていた。どちらも身体は無傷だが、人間の方は、心に傷を残され、悪魔もやられたせいなのか、グッタリとしていて元気がなかった。

 それでも逃げる力はまだ残っていたようで、人間を見捨てて逃げようとしていた。

 何処に逃げるんだかと思いながら、また”グリム”を使って刀でコズの首を落とした。

 これで、氷雨達は勝利条件を満たした。





「おめでとう」


 いつ現れたのか、『謎箱』が現れてパチパチと拍手をしていた。悪魔を殺して魔界へ帰せば、勝利条件を満たしたことになるのだ。人間の方は恐怖のため、気絶をしていたから氷雨は興味を失っていた。




「どうやって、戻る?」

「あれ、まだ相方に聞いてないのか?ただ解除を念じながら解除と言うだけでいいんだよ」

「それだけでいいんだ?」


 言う通りにやってみると、女性の姿だった氷雨はココネと分離をして元の姿へ戻っていった。




「やっぱり、不思議な感覚だな…………ん?どうした、俯いていて」


 ココネは頭を俯いており、手をブルブルと震わせていた。氷雨はもしかして、能力を使ったことによるエネルギー消費で疲れているかと思っていた。


 だが、違っていた。






「氷雨ぇぇぇ!やったよーーーー!勝ったよぉぉぉぉぉ!!」

「うごっ!?…………お、飛び込んで抱きつくな!!」


 魔界でも負けてばかりだったココネは、自分より格が上である悪魔を倒したことに喜んでいた。




「クラスがDの相手に勝った勝った!!」

「クラス?」

「うん、私のクラスは一番下のE。学校では強さ、攻撃性能、才能でクラスが決まるの。普通はA~Eまであるけど、Sクラスと言う化け物もいるみたいだけど、噂でしか聞いたことがないからわからないけど」

「成る程。簡単に言えば、強さの基準だと思えばいいか…………そろそろ離れろよ?」

「嫌!ずっとこうしたいーーーー!!」

「はぁっ……」


 見た所、技を使った後の疲れはないみたいだから放っておくことにした。側で待っていた『謎箱』が近寄ってきた。




「ちょっと、話がまだ終わってないけど話していいかな?」

「おう、いいぞ」

「貴方が神の試練で勝ったので、一万円を渡すね」

「え、お金を?」


 いきなりお金を渡されて驚く氷雨。『謎箱』は氷雨の様子から悟ったのか、説明をしてくれた。




「もし、最後の1人になったら悪魔は神になって人間には願いを一つでけ叶えてあげることが出来るんだよ」

「そうなのか?」

「うん、説明するつもりだったけど、神の試練が始まっちゃったからね」


 まだ抱きつきながら頷いている。




「だけど、この神の試練は戦いを自由に参加することが出来ても、人間にはメリットがあまり無いよね?」

「……確かに」


 悪魔は敵が減るからメリットはあるが、人間は戦わなくても他の悪魔が潰し合うのを待てばいいだけなのだ。負けそうになっても逃げることが出来ない神の試練は、人間にしたらメリットがあまり無い。バトルジャンキーみたいな人間なら別だが…………




「だから、人間にもメリットがあるように賞金を付けることにしたのさ」

「それで、一万円か…………、命のやり取りをするには、少な過ぎないか?」

「あははっ、大丈夫だよ。次からは前回で手に入った金額の二倍を手に入ることが出来るよ」

「前回の二倍!?」


 つまり、戦って勝ち続ければ、次は二万円、四万円、八万円…………


 と増えていくという事だ。それなら、人間にもメリットがある。




「ただし、この神の試練は毎週、月の曜日に一回だけだからね」

「ふむ」


 その理由は悪魔の数が666人しかいないから毎日に何回もやればすぐに終わってしまうからだ。




「最後に、この神の試練に参加する人が一人以下になってしまったら、次回からは無くなってしまうからね~」


 参加自由だが、参加者の全員が拒否をしたらこの神の試練はもうやらない。

 そういうことになっているようだ。




「では、説明はこれで終わりだね。元の場所に戻すから!!では、またいつかね~」


『謎箱』が指をパチッと鳴らすと、いつもの部屋に戻り、『謎箱』の姿も消えていた。






「とんでもない能力を持っているな……」

「そりゃ、神の玩具だよ?神から与えられた能力を持っているから、神の玩具はどれもヤバイよ」

「へぇ……」


 神の玩具はヤバイと聞き、氷雨は戦ってみたいと思っていたら、




「!?ひ、氷雨!あの神の玩具と戦いたいと思っていないよね!?私は嫌だよ!!」

「俺の考えていたことがよくわかったな……」

「やっぱり!?私は氷雨のことが少しはわかってきたんだから、顔を見ればわかるもん」

「ありゃ、顔に出ていたか」


 まぁいい、と呟いて氷雨はココネの視線に合わせるように膝を床に付ける。




「これからも宜しくな」

「は、はひ!」


 目の前に氷雨の顔があって、頬を赤くしてまた返答に噛んでいた。その様子を見た氷雨は緊張しているからと思って、顔を少し緩めていた。






 ポンっ!





 ココネは更に顔を赤くして爆発したような音が出て気絶をしたのだった。




「ココネ!?大丈夫なのか!?」




 幸せそうに気絶しているココネと倒れたことに慌てる氷雨。


 今はちぐはぐなパートナーだが、他の悪魔を脅かす存在となるコンビが生まれるのだった…………






ベタな設定ですが、楽しめたら幸いです。

次は明日の朝になります。


よろしければ、感想と評価を頂けると嬉しいです。

よろしくお願いします。

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