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落ちこぼれの悪魔っ娘の手を取る  作者: 神代零
1章 初の経験
3/14

2.落ちこぼれ

 


 二つの能力を持っている悪魔は少ない。中には三つも持っている化け物もいるが、ココネもこう見ても、一つしか持っていない悪魔よりも化け物に近い位置にいるのは間違いない。なのに、ココネは「落ちこぼれ」と矛盾したことを言ってきた。

 氷雨は能力を二つ持っていても、落ちこぼれと呼ばれている理由を考えてみた。




「もしかして、能力を二つ持っているが、一つしか使えないとか?」


 氷雨が思いついたのはこれだった。二つ持っていても、一つしか扱えないのは才能の持ち腐れだろう。そうだと思ったが……




「ううん、私は二つとも使えるの。『悪魔融合デビルフュージョン』を使った後に使ってみればわかる」

「……なら、何故?」

「私が産まれ、住んでいる魔界では、二つも持っているよりも、重要なことがあるの。それは…………」


 二つ持っているよりも、重要なこと?ココネの言葉を見逃さないように、耳を傾ける。

 魔界で最も必要なことで、ココネには備わっていない物。それは単純なことで、当たり前なことだったのだ。






「攻撃性能」






 魔界では、強い者は正義だという言葉があり、ココネは二つの能力持ちだとしても、二つの能力には攻撃性能がなかったのだ。

 それが落ちこぼれという烙印を押される理由なのだ。




「魔界にいた頃、二つの能力には攻撃性能が備わった技を使えなかった。……いえ、覚醒出来なかったが正しいね……」

「攻撃性能?つまり、能力で相手を傷付ける攻撃を使えないということか?」

「これから覚醒する技にあるかわからないけど、魔界にいた時は覚醒出来なかったの」


 今、ココネが使える技は二つ。どれも戦うための技ではないとココネは思っていた。




(あ、私はパートナーと組んでも勝てない……)


 今更気付いたことだが、パートナーと融合すれば、さっき言っていたが二つの技を使えるようになるが、攻撃する術にならない。このまま、パートナーを戦いに出せば、無駄死にさせるだけになる。

 そこに思いついたココネはパートナーと会えたことに喜んだことに時のココネを殴りたいと思っていた。




 ココネはこの世界に降りて、一ヶ月もパートナーに出会う機会に恵まれず、ずっと1人だった。他の悪魔に出会えば、殺されるので逃げ回っていた。

 殺されたら、魔界に帰るだけだがココネには目的があり、簡単に死んでやることは出来なかった。だが、今は1人ではない。


 ようやくパートナーに出会えることが出来、嬉しかった。泣いている時に拳骨で殴ってきたが、その痛みでさえも、心地良いと感じていた。氷雨は変な人だが、ココネにとっては暖かく、一緒にいたいと思えるだけの存在になっていた。






 だが、自分がどんな存在であることを思い出し、夢から覚めた気分だった。このままでは、氷雨が戦えずに殺されるかもしれないのだ。それは目的を達することが出来ないよりは嫌だった。




「ご、ごめんなさ、い……」


 いつの間にか、涙が出ていてココネは氷雨に頭を下げていた。




「また泣いているのかよ……。情緒不調なのか?」

「ち、違う…………。もし、私のせいで貴方が死んだら…………」

「は?」


 まだ勝敗条件を聞いていない氷雨にはわからない。ココネが少し落ち着くまで、氷雨は待ってあげた。

 泣き声を上げながら話をするのは聞き取りにくい時もあるので、落ち着くまで待ってあげたわけだ。

 その後に、勝敗条件を聞かせてもらった。


悪魔融合デビルフュージョン』で思想体という身体を作る。つまり、戦う身体を作り出して、その身体が死んでも、融合した人間と悪魔に分かれることになる。その後に悪魔を殺して、魔界に帰せば勝ち。人間を殺さなくても勝ちになるのだが…………




「戦う相手の気分によって、人間も殺される可能性もある。死体が残っても、あの者たちが処理をしちゃうから犯罪になる可能性はないの」

「あの者たち?」

「うん、悪魔と組んだ人間が殺されたらその死体は処理され、あの者とは神の…………」




 ピーピーピーピー!!




 急に音が聞こえ、周りを見るが何処から音が出ているのかわからなかった。ココネは顔を青くして、時計を見ていた。




「っ、もう夜6時になっていた!?」




 部屋の中にある時計はピッタリと夜6時と針が差していた。それを何だかわからない氷雨はココネに説明を求めようとした時…………




「必ず、断って!!今のままじゃ、勝てないから!!」

「は?何を言って…………誰だ!?」


 氷雨は後ろから気配を感じ、誰がいるとわかった。振り返って見てみると、確かに誰かがいた。




 赤い星、青いハート、黄色の丸。




 それが一番目に付いた物だ。それらの全てを備えた人物がそこに立っていた。

 氷雨でもすぐにわかった。目の前にいる人物は人間や悪魔みたいな単純な人物ではなく、異質であることに。


 その人物は軽く笑う、身長はココネと同じぐらいに小さいはずなのに、氷雨にしたら大きく見えた。


 赤い星は目に、嵌めて(・・・)おり、青いハートはサンタが着ける奴に似ている帽子の先に付けてあり、人物よりも大きいハートが広がっている。

 最後に黄色の丸は左手、手首の先からが黄色の丸だけになっており、普通ではなかった。


 その人物が薄く笑い、赤い星が氷雨とココネを射抜くように向けられながら、言った。






「初めまして、私は神の玩具。『謎箱』と呼んでね」






まだまだ!!

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