9.デート?
まだ書き溜めがあるけど、今日から三日間連続で就職の面接があるので、すいませんが一日一話ずつ投稿したいと思います。
宜しくお願いします。
では、どうぞっ!!
敵を逃してしまった氷雨とココネはもう気にしていないようで、商店街がある場所へ向かっていた。
そこで、何をするのかはココネのことにあるーーーー
そう、着替えだ。
今のココネはワンピースしか着ていない。そう、ワンピース(・・・・・)だけだ。
(まさか、下着を着ていなかったとはな…………)
濡れていたから着替えさせた時、下着を着ていないことにビックリしたものだ。
そのままにはしておけないので、ココネの下着や着替えを買いに行くために、ここまで来ている。
「ねぇねぇ、何処に行くの?」
「まず、服屋だな。ワンピースしか持っていないんだろ?」
「え、買ってくれるの?」
「まぁ、お金はあるし、このままだと不便だからな」
お金は昨日、手に入った一万円札があるから問題はない。もう日が落ちているのに、まだ人が多かったのでココネの手を繋いだ。
「!?こ、これは…………」
「ん?はぐれたら困るんだろ」
顔を赤くしながら、嬉しそうに笑みを浮かべるココネ。氷雨はそれに気付かず、服屋を探しながらココネの手を引っ張っていく。
そして、ようやく服屋を見つけて、中へ入っていく。
「お前が戦うわけじゃないし、動きやすさとかは拘らなくてもいいか。どれを着てみたい?」
「ひ、氷雨が選ぶなら、どれでもいいよ…………」
ココネは初めて買ってもらう服は氷雨に選んで欲しかったのだ。氷雨はそのココネを見て、
(遠慮でもしているのか?確かに、お金はこっちが払うから選べと言われても難しいか)
氷雨はそう判断した。服には詳しくないから、取り敢えず可愛いのを選べばいいんだろうと物色していく。
「うーん、大きさはこれくらいか?」
手に取ったのは、フリルが沢山付いたドレス。可愛い部類に入るが、黒髪のココネにはちょっと合わないかなと思い、別のを探してみる。
「ワンピースか……」
次、手に持ったのは黄緑色のワンピース。装飾は少しだけだが、落ち着いた雰囲気がある。
(試しに着させてみるか?)
ここは試着室があるので、店員を呼んで着替えをさせるように頼んだ。
「ええと、この部屋に入るの……?」
「ああ、ここは着替える為の部屋だ。店員が着させるから、入りな。俺は待っているから」
「知らない人と一緒は嫌…………、氷雨と一緒がいい」
制服を引っ張って、離れないようにしていた。それを見た店員は仕方がないわね…………と頬に手を当てていた。
「どうしますか?お嬢ちゃんはまだ歳が低いみたいので、貴方が一緒に入っても問題はなさそうですが…………」
(これでも、俺と三つしか変わらないんだけどな。まぁ、仕方がないか)
知らない人と一緒に狭い部屋の中に入るのが怖いのは仕方がないと思う。氷雨と出会う前は色々な人や悪魔に襲われたのだから。
結果、氷雨も一緒に入って、着替えを手伝うことに。裸になると顔を赤くしていたが、氷雨の方は反応なしだった。
「まず、ドレスだがどうだ?」
「うーん、動きにくいかも。服は可愛いけど……」
「そうか、次はワンピースだな」
次は落ち着いた雰囲気のワンピース。また裸になると顔を赤くするココネだが、氷雨は相変わらず反応なしだった。
それに気付いたココネはぷくーと頬を膨らませていた。そして、顔を暗くして落ち込んだ。
「私に魅力はないの……?」
「はぁ?魅力って、お前はまだ子供だろ。まだ二年早ぇよ」
「むぅー」
落ち込んでいたココネはもういなかった。氷雨は切り替えが早いなーと思いながらワンピースを着させた。
ワンピースに着替えたココネは似合っていた。
「私は可愛い?」
「うむ、似合っているし、可愛いぞ」
「!?あ、ありがと……」
さっき、魅力なんとかを話していたから、まっすぐに褒めてくれると思っていなくて、ココネにとっては不意打ち気味だった。頭から蒸気が出ていてヤカンを置いたらすぐに沸きそうに見えた。
二つ買うにはお金が足りないので、氷雨から可愛いと言われたワンピースの方を選び、後は下着も買っておいた。ブラはまだ早いので下だけで全てを使い切ることはなかった。
「もう完全に暗くなったな。お、たい焼きがあるか」
「たい焼き?」
「魔界にはないのか?あれだ」
指を指して、あれがたい焼きだと教える。ココネは初めて見る物で、ピンと来ないようだ。
氷雨は家に帰るまで腹を持たせるためもあったが、ココネがたい焼きを食べたらどんな反応をするか見てみたかった。
「ほい、カスタード入りのたい焼きだ」
早速、二つ買って一つをココネに渡した。
「かすたーど?」
「まぁ、食べてみればわかる」
ココネは魚ぐらいは知っているが、その魚の形をした熱くて柔らかいのが珍しくてマジマジと見ていた。
「ぱくっ……」
恐る恐ると口に含めて、噛み切ると…………
「ーー!?」
中身のカスタードがココネの舌を蹂躙して、だんだんと顔が緩んで行く。
「もふぅ~~~~、お、おいしぃ~~~~。今まで生きてきて、これが一番、美味しい!!」
「断言かよ。まぁ、美味しいなら良かったよ」
氷雨も口にして、確かに甘くて美味しい。ココネの口周りにカスタードが付いているのを見つけ、たい焼きと一緒に貰った紙で拭いてやる。
「!あ、ありがとう……」
(本当に俺と歳が三つも変わらないのかよ?娘を持った気分だな)
手が掛かる所が、年下の女性と街を歩いているよりも娘を連れているのと変わらないと思えた。
ココネは思い出していた。魔界で読んだ本に出ていた、『男と街を歩いたら、それはデートだっ!!』を。
まさに今がその状況であり、恋人とやるデートのようで口が緩むのだった。
(もぅ、魅力がないとか言っていて、デートをしてくれるなんて素直じゃないですねっ!!)
服も買い終わったので、帰ることになったけど、ココネは最後までご機嫌だった。