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夏時間、君と  作者: たむら
season1
23/47

笹の葉大臣とゆとりの五秒(後)(☆)

 それから二人でカラオケボックスに入った。ここなら喫茶店なんかと違って他の人に話を聞かれちゃう心配をしなくていいし、もしカッとなって大声出したとしてもお店に迷惑掛けないで済む。

 ――という理由で来たから、別に二時間部屋をとらなくても良かったと思うよ小関君。

 おっきなコップになみなみとメロンソーダを注いできて、勢いよくストローで一気に吸い上げた後輩を冷ややかに眺める。ズコーと空になっても未練がましく飲んでいる音がして、ほんとにこの子は親御さんに躾をしてもらったのかなと思いつつ、「そこまで飲まない」と注意をした。

 すぐにまたドリンクコーナーに立ってほどなく戻ってきた彼の手にはまた炭酸がなみなみ注がれたコップ。今度の中身はカルピスソーダ。

「石黒さんは飲まないんですか?」

「飲んでるよ」

 君ほどのハイペースじゃなく、のんびりと喉を湿すのはカルピスウォーター。

「小関君こそ、そんな炭酸ばっかり飲んで」

 普段、休憩中は缶コーヒー、飲みに行けばビールでも日本酒でも何でも、な人だけど、サワーとかソーダ割りなんて飲んだとこ見たことないけど。

「ビールの代わりですよ」

「? 飲めばいいのに」

「飲んだら、石黒さんの暴走を止められないかも知れないじゃないですか」

「ちょっと、止められないほど暴れたりしないって! てか暴走するって決めつけないでくれる?!」

「すいません」

 ほんとは『すいません』じゃなく『すみません』だろと思うけど、これからお世話になるかもしれないからお母ちゃんモードは発動しないでおいた。

 掛ける、と約束した時間が迫ってきて、職場の着信履歴から控えてきた番号を呼び出した携帯の画面を見つめていると、テーブルの向こう側に座った小関君が何故かマイクを構えて『一曲歌いますか?』とやけにエコーのきいた音をさせながら聞いてきた。その、昔の女性アイドルのように両手でマイクを持つ姿に思わず吹き出してしまう。

「んーん、いい」

『そうですか?』

「てか何でソレそんなにエコーきいてるのー!」

『え? 駄目ですか?』

「駄目じゃないけど、ムードたっぷりで何かウケるんだよ」

『何ならミラーボールも回しますけど』

「いいよいらないよそのサービス!」

 とんちんかんなサービス精神に笑っていたら、『緊張取れました?』って、やっぱり無駄にムードたっぷりなマイク越しの声で聞かれた。

「うん、何とか」

 四月に入って来た時はゆとりモンスター来襲って思っていたのに、いつのまにかこんな気遣い出来るようになっちゃってと内心感慨に耽っていたら、『そうですか、さっきは緊張で鼻の穴がぱふぱふしてましたけど、落ち着きましたね』なんてデリカシーのないことを、やっぱりマイクでしゃべって部屋中に響き散らかしてる。

「うるさい! そういうことをマイクで云うなあ!」

『はあ、すいません』

 それから、ポッキーとポップコーンを食べて(これも勝手に小関君が注文してたパーティーセット)、カルピスウォーターをぐっと飲んで、――おかわり要りますかと聞かれたけど断った――それから。

「電話、掛ける」

『はい』

 だからもうマイクはいいよ。

 苦笑して、どっか力が抜けた状態でようやくコールした。


 相手はワンコールで出た。

『はい』

「もしもし、……石黒です」

『ああ、電話してくれてありがとう』と、職場で受けた時とは打って変わって、先輩といた時の親しみを感じさせる声で話しかけてくる、恋人さん。

「お久しぶりです、お電話、無理云ってすみませんでした」

『いや。……元気にしていた?』

「私のことなんかより!」

 その優しい気遣いに噛みつきそうになっていたら、小関君が手をパーに開いて、私の前に翳して見せた。親指の側から一本ずつ指が畳まれ、五を数えてグーになると、くるっと『どうぞ』と云う風に手のひらを向けられた。――クールダウン、させてくれたんだ。

「……すみません」

『いや、俺は多分君の事も傷つけてしまっていたから』

「……」

 そんなことありません、なんて云えなかった。

 そのかわり、云いたかったことをぶつけた。

「なんで、あの時別れたんですか」

 おい、小関、今こそ五秒を数えるべきでしょ。さっそく暴走しちゃったよ私。

「別れたのに、今更何の用だって云うんですか! 一年も経ってから連絡してきて!」

 見えない。ぼやけちゃって何にも。

「これ以上先輩を傷つけるなら、会わせたりしないんだから!」

 瞬きをしたら途端に視界がクリアになって、チュニックワンピースに染みが出来た。

 テーブルの向こうでは心配そうな顔した小関君がタオルハンカチを差し出してる。まさかユーズドじゃないだろうねと思いながら奪うようにして受け取り、ちゃんと未使用だったそれでちょんちょんと涙の軌跡を拭った。

 ずっとだんまりだったその人に云い過ぎちゃったかなと思いながら、「まさか、よりを戻したい、なんて云う気じゃないですよね」と期待半分、諦め半分で云ってみたら。

『――そう云う気だよ』と、相変わらず静かだけど、きっぱりした声で返してきた。

「うそ」

『本当に』

「だって、そんなの、」

 ――無理、なんじゃないの?

 云い切れずに曖昧に濁した私に、『お願いがあるんだ』と恋人さんはあることを切り出してきた。



 そして七夕当日。

 からりと晴れて、とはいかなかったものの、何とか降らずに持ったお天気にホッとする。ただ、夕方から崩れるかもって云う予報もあったし、南の方では既に降り始めている。

 私の企みなんぞ露ほども知らない先輩は、今日もうっすら笑顔を纏ってお仕事している。 そんな先輩に内緒で託されたミッションを思うと、どきどきしてしまう。何となく先輩の姿を目で追っていたら手にしていた笹飾りを握りつぶしそうになって、「石黒さん、」と小関君から声を掛けられて我に返った。――危なかった。間一髪で難を逃れた笹飾りからそろそろと手を離す。

「大丈夫ですか」

「……大丈夫に見える?」

「見えません、めっちゃキョドってます」

「うわ、そう時は云ってって云った!」

「だから云いに来ました」

「……ありがと」

 すごすごとカウンターに戻り、時計を見る。でもちっとも進みやしない。

 早く、早く。

 電車と飛行機が動いている間に、織姫様に会いに来て。


 お昼を食べに行ってもどこかぼーっとしてしまって、うどんに普段入れない七味をどっさりかけようとして小関君に七味の容れ物を持つ手を止められた。

「大丈夫ですか」

 珍しく真面目な顔をしたまま手首を持たれて、脳が何かを勘違いしそうになる。

「駄目かも……」

「信じましょう、俺らに出来ることは今はそれだけです」

「――うん」

「でも元彼さんが来る前に主任が上がりそうになったら、予定通り石黒さんががんばってください」

「ちょっと! そこで投げるなあ!」

「だって俺に何が出来るって云うんですか」

「出来るでしょう、脚立使って出初式の真似とか!」

「イヤですよそんなの」

 顰め面したそいつの眉間に手刀をちょす、と落した。

 店内に流れるラジオのウェザーニュースによると、どうやら交通機関に影響が出ているらしい。少し、気にかかる。


 もし、俺が迎えに行く前に彼女が帰りそうになったら、引き止めておいてくれないかな。

 それが、恋人さんのお願いだった。

 先輩よりも先に恋人さんの現状を聞かされれば、『仕方がない』と引き受けざるを得なかった。だって。

 彼は、この地に戻ってくると云うのだ。ここから先輩を連れ去るのではなく。

 なら、何を反対することがあるだろう。

 きっと、先輩もその選択と未来を受け入れて手にする。――と思うけど、それでも一抹の不安は残る。まさか実は既に他の人を、なんて、一度は合コンに連れ出そうとしていた自分を思い出して身震いしそうになる。

 それでも、小関君の云う通り、もう信じることくらいしか出来ない。だから、信じる。

 きっと再び二人は結ばれるって。


 休憩が終わっても相変わらずな空模様に恋人さんの道行きを心配していたら、案の定バレバレだった挙動不審を先輩に咎められた。

 スミマセン。そう謝ったのは、これからうんと驚かしちゃうから、それも込みだったりする。


 夕方になると、空を覆っていた白い雲がぐっと低くなって、濃い灰色が圧迫するように立ち込めてきた。

 電話で聞いていた恋人さんの到着予定時間は、早上がりシフトだった先輩の終業時間あたり。なのに、ジャスト上がり時間になっても到着しなくてやきもきする。幸い、先輩はすぐには上がれずにあれこれと処理をしていた。それでも、一五分過ぎたところで「キリがないから」と苦笑しながら切り上げてしまった。

 一旦奥のスペースに引っ込みタイムカードを通し、ロッカーにエプロンと名札を戻した先輩が、バッグを持って出て来てしまう。

 ちょっとっ! まだ来ないの!

 焦る気持ちで何度入口の方を見ても、その姿は現れない。職員一人一人に挨拶しながら、カウンター横を通って正面玄関へ向かおうとする先輩を「先輩先輩!」と引き留めた。――はいいものの、困った無策だったうーん。

 とりあえず目についた笹の処理方法を、去年やったから知ってるし今年ももう聞いてあるけど再び知らんふりで聞いてみた。先輩も、これ教えたよねと戸惑いつつも親切に教えてくれている。でももう後少しも持たない。やはりここは小関君に出初式をやらせるかと目を走らせ、それを察した小関君が腕でおっきなバツをこさえたところで、よ―――やく彦星さん到着。

 私がぱっと顔を入口に向けると、先輩もつられてぱっとそちらを向いて、――無表情の仮面が、ぽろりと落ちた。


「お疲れ様でした」

 遅番だった私と小関君は閉館後、雨の中を駅前まで歩き、例の『こっぱずかしいシリーズ』のお酒を置いてある飲み屋さんに入った。お座敷に向かい合って座りとりあえずとビールを頼むと、雨降りの月曜ですいているせいかさほど待たずに運ばれて来た。

 生ビールのジョッキを合わせて、勝利の美酒を小関君と共に味わう。結局、泥酔した時のお会計を後から渡そうとしたら小関君は受け取ってくれなかったから、今日こそは私のゴチだ。

 強い炭酸と苦みが喉を通る。飲み干してぷはあとため息を吐いたら、「鼻、ぱふぱふしてますよ」といつかと同じに注意されたけど、もういいや。

「今最高に気分いいから気にしなーい!」

「なら、いいですけどね」

 あの後、先輩は恋人さんと帰って行った。気になるけど、二人の後ろ姿は見慣れた恋人同士のそれだったから、きっとうまくいくだろう。明日が休館日だから明後日、きっと話を聞かせてもらいますよ先輩、とテレパシーを送ってみた。

 それにしても、ほんっとーに、

「よかったなあー……!」

「よかったですね」

 このやり取りを、ここに来るまでに二〇回はした自信がある。それなのにうんざりとした様子を見せない小関君はきっと偉いんだと思う。だけども。

「気持ちが入っとらんぞ、気持ちが!」

 何でそんなに他人事かな!

「だって俺、あの二人の歴史をちゃんとは知りませんもん」

「だからって!」

「知ってるのは、こと二人に関しては、石黒さんがすっごい一生懸命に泣いたり笑ったりするってことだけです」

「……バカだって云いたいんでしょ、人のことなのに」

「ぶっちゃけ、最初はそう思いました」

 素直過ぎるゆとりの小関君の頭に、ちょす、と手刀を落としたら思いのほか力が入ってしまった。

「いってえ!」

「あぁらごめんなさいね、手が勝手にぃ」

「だから『最初は』って云ったじゃないですか。――人のことばっかり一生懸命で、自分が恋することなんか後回しで、年上なのに器用じゃない人だなあって思いました」

「悪かったね」

 どうせ不器用だよ、母にも『どうしてそんなに下手なのかしら』と、駄目にした折り紙を前に嘆かれたよ。

「すぐ怒るしすぐ泣くし手ぇ出んの早ぇし」

「悪かったねって云ってんじゃん……」

 何だよ、後輩からの駄目出しタイムか。折角気分よく飲んでると云うのに。

「酒の趣味悪いし人に出初式とか無茶振りしようとするし」

「うう……」

「でも、好きですよ」

「はぁ?!」

 項垂れていた顔を慌てて戻したら、「そう云う時は『え!』とかって口に手を当てて云う方が女子力高くないですか?」とかまたケチ付けられる。

「う、うるさい」

 云われた内容が内容なので強く出られずにいると、「好きですよ、石黒さん」と重ねて云われてしまった。

 何を云っても揚げ足をとられそうでジョッキを煽って残りのビールを飲み尽くす。

 さあ飲むぞ次なる酒は何だ、『おしゃれなパリの小路』か、『夏の日のマダム』か、それとも? と、高速でカクテルのメニューを捲っていたら人差し指を差し込まれて止められた。そしてメニューを取り上げられ、ぱたんと畳まれたそれはスタンドに戻される。

「人が告白したのを流さないでください」

「えっと、でも、私まだ今先輩たちのことで頭いっぱいで」

「泣きそうなんですよね」

「――うん」

 何で分かるの、と、ぐっとせり上がってきた涙を堪えてそう聞くと、「泣く前の、ヘンな顔してるから」と失礼な返事が来た。

「ヘンな顔とか云うなあ! 仮にも告白した相手に!」

「ヘンな顔でも好きですよ。泣いても、ちゃんと受け止めますから」

 私の横ににじり寄って、ほら、と両腕を開く。それを突っぱねられる余裕はもうなくって、「どうぞ」と云われる前にこっちからしがみついた。

「がんばりましたね」

 ぽん、ぽんと優しいリズムで私の背中を叩いてくれた。

「よかったですね」

「――よがったよおお!」

 全然かわいくない私の泣き方と泣き声にも動じず、ゆとりだった筈の小関君は、いつの間にかゆとりのある男の子になっていた。


 結局気が済むまで泣かせてもらって、お店の人にも小関君にもペコペコ謝った。でも双方『いいんですよ』って云ってくれるから、また泣けてしまう。小関君から差しだされたタオルハンカチで涙を拭いているうちに、またもやお会計を済まされてしまった。何だその卑怯な合わせ技。

 お店を出るとまだ弱い雨が降っている。駅は目の前だけど、別れが惜しくて軒下で二人して立っていた。

 どうしよう、心臓が煩い。黙れ。いや、黙ったらあかんから平常運転しろ。

 そんな風に心の中で一人ごたごたと暴れていたら、小関君が前を向きながら、「結局俺はふられたんでしょうか」とぽつりと云った。

「……何で」

「返事もらえないんで、やっぱり流されたのかと」

「小関君、ちょっと屈んで」

「こうですか?」

 突然の私のコマンドにもすぐに応じてくれる小関君に、また手刀を落とした。今度はちょすじゃなくちょっっっす!! だ。

「いってえええ!」

 小関君の嘆きが、夜の街の喧騒にかき消される。頭頂部をおさえた涙目の奴の胴にえいっと抱きついたら、ひょろい小関君が二、三歩後ろによろめいた。

「何するんですか急に!」

「小関君なんてゆとりのくせにゆとりがあるとかほんとむかつくんだけど」

「……はあ」

 年下だし何か常識ないし手間がかかる子、だったくせに。

 私が先輩だから逆らえないんだと思ってたらそうじゃなくって、さりげなくアシストしてくれるし、優しいし、私のことすっごく分かってくれるし。だから。

「スキニナッチャッタンダヨ」

「何で片言なんですか」

 恥ずかしいからだ、ばか。

「あーもうほんと、かわいいしウケる」

「別にウケなくていいんだけど!」

 私の渾身の告白はゲラゲラ笑われて、片言の告白を真似されてまた笑われて。この野郎またちょすしてやろうかと手刀をちらつかせてやっとおさまってから、二人で雨とアルコールの匂いのするキスをした。


 やっぱり明後日、先輩とお話するのはお昼だけじゃなく夜に第二弾がいりそう。だって、先輩から聞き出すのに加えて、私の方でも報告することが出来ちゃったから。

「早く明後日になって先輩に会えないかなー」とニコニコしてたら、「明後日のことより、今俺といることを忘れないでもらえません?」と、小関君が少しムッとして返す。ごめん、忘れてたわけじゃなくて……うん。

「カエリタクナイヨ」と指を絡めたら「カエシタクナイデスヨ」と片言返しが来た。

 そんなやりとりなのに、ここでお別れしたくなかった胸がぎゅっと締め付けられてしまって、慌てて五秒数えたけどやっぱりちっとも冷静になんてなれなくって。

 同じく五秒数えてたらしい小関君が私を見て満足げな顔になる。やめろそのドヤ顔。

「じゃ、俺のアパート行きましょうか」と繋いだままの私の手を自分の腕に絡ませて、傘を差した。異論がある筈もなくついて行く。どしゃ降りだった雨はすっかり落ち着いていて、今は小糠雨が優しくふんわりと街を包んでいる。

「歩きでもいいですか? あと五分で着くと思うんで」

「いいよ」

 いつもなら足と服が濡れる、と気にするかも知れないけど、図書館から駅前に来るまでにさんざん濡れたし。

「小関君のアパート、ぼろい?」

「ぼろくはないですけど狭いですよ」

「汚部屋?」

「散らかってはいますがゴミで埋もれてはないです」

「幽霊出る?」

「幽霊は出ませんが黒いあいつはたまに出ます」

「……」

「俺あんまり経験ないけど、優しくしますから」

「……うん」

「あとそうやって急に抱きつかれると、車道に押し出されそうで危ないんでやめてくださいね」

「うん」

「うんて云うだけじゃなくてほんとにちょっと離れてくださいって」

「……なんで?」

「せっかくゆとりがあるって云ってもらえたのに、ゆとりなくなりそうなので」

 苦った顔が見られたから、それに免じてハグを一旦解除した。そして、小関君が努めて冷静になろうとしているのに汲み取る気ゼロの私は、今度は傘を持つ手に再び腕を絡めながら胸を押し付ける。

「だから、それ……」

「がんばれゆとりー」

「そこはがんばれじゃなくダイスキダヨと云うべきでしょう」

 自分で云っておきながら照れたその横顔に「大好きだよ」と片言じゃなくちゃんと云ったら「ゆとり、たった今在庫切れました」と云うが早く噛みつくようなキスが降ってきた。

 もう。『あそこ、うちです』と教えてくれたアパートは、すぐ目の前なのに。雨降ってるのに。外なのに。

 そんな私の諸々とゆとりは、雨とキスに溶けて消えた。


続きはこちら→ https://ncode.syosetu.com/n0063cq/54/

ちょこっと登場→ https://ncode.syosetu.com/n0063cq/14/


15/07/15 誤字訂正しました。


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