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童話

ガラスのハートのエンプーサ

作者: 千路文也


 エンプーサは冥府神ヘカテーに使えるしもべです。ある日ヘカテーは、エンプーサの元に近寄り、こう言いました。


「私、日本に行きたいです」


 エンプーサは鷹の爪とコウモリの翼をもつ妖精です。しかしけれどもだったのです。彼女は人間の肉が大好物なのでした。


「何故じゃ?」


 ここで、ヘカテーの眼光が鋭く光ります。


「日本の男は美少女に弱いと噂になっております」


「左様か?」


「左様でございます」


 そうなのです。日本の男子は美少女に弱いと、ギリシャ神話の神々の間でも有名の事でした。特に、スレンダー体系で童顔の美少女に弱いと話題になっています。


「日本は不思議な国じゃ。美少女に弱いとは」


「他の国では若干老けている方がモテます」


「じゃが、日本は違うと?」


「はい。日本の男性はロリータが大好物なのです」


「ロリータとな?」


「成人女性なのに、中学生のような幼い顔立ちをしている女性の事です」


「では、日本の男性は女子中学生が好きという事か?」


「そうです。女子中学生の魅惑に勝てる男性はいないと聞きました」


 これは事実です。日本の男性は未成年という言葉に弱いのです。世界中を見ても、未成年に恋心を抱く男性は非常に多いのでした。中には犯罪趣向を考える者もいるため、日本のロリータ信仰は最大級の汚点ともいえます。テレビ番組を見ても、実際の女子中学生より若く見える成人女性がテレビに出ていたりします。これで、日本の男性がどれだけロリータを愛しているかお分かり頂けることでしょう。彼らは合法的にロリータと付き合いたいがために、女性にロリ顔メイクを頼みます。女性もロリ顔メイクをすればモテると知っているので、自分からロリータになろうとします。こうすることにより、ロリータは日本中で広まり、女性は個性を捨ててしまったのです。とても由々しき事態であります。


「成程。それなら良いじゃろう」


 ヘカテーは許しました。こうして、エンプーサは日本に降臨しました。日本人男性が最も好むであろう美少女です。東京に降り立ったエンプーサは、道行く若者に声を掛けられました。ところがだがでした。エンプーサは彼らに興味を示しませんでした。なぜならば、若者はイケてる髪にイケてる服装をしているからです。エンプーサは地味な格好をした男性がすきなため、地味な格好している男性を探しました。


「いないわ」


 そうなのです。いませんでした。なので、近くを歩いていたサラリーマンの方に声を掛けるエンプーサです。


「すみません。どこかに地味な格好をした男性はいませんか?」


「知ってるよ。秋葉にたくさんいる」


 サラリーマンの言う通り、秋葉には地味な格好をした男性がたくさんいました。エンプーサはその中の一人に声を掛けます。


「すみません」


「はい?」


 エンプーサが声を掛けたのは、所謂量産型眼鏡と呼ばれる人でした。黒髪に黒縁眼鏡をかけた肌の白い男性です。とても地味な格好をしていて、彼らの趣味はライトノベルやアニメに出てくる美少女にブヒることでした。そう、彼はオタクなのです。そうと知ったエンプーサは必殺の上目使いで誘惑します。


「何歳ですか?」


「そうですね。僕は十九歳です」


「てことは学生さんかな?」


 胸から谷間を見せて、色気を出しています。


「はい」


 量産型眼鏡は顔を真っ赤にしています。それもそのはず、絶世の美少女が好意を持って話しかけているのですから。


「どう? 良かったらホテルに行かない?」


「喜んでお願いします」


 量産型眼鏡は即答でした。こうして、二人はホテルに行き、ベッドで激しいプレイを繰り広げたのでした。


「はあ……はあ……」


 エンプーサの処女を奪ったのがそんなに嬉しかったのか、量産型眼鏡はこちらを見て微笑んでいます。


「うう、激し過ぎるよ」


 まんざらでもありませんでした。エンプーサは人間の肉が大好物であると同時に、性欲の塊でもあったのです。白い液をぶちまけられて、興奮していたのでした。あまりの興奮に、一時間近く気絶していました。


「それじゃあ、ちょっとトイレ行ってくる」


 量産型眼鏡はそう言うと、トイレに行きました。


「帰ってきたら食べようっと」


 ここで、エンプーサはベッドの下に落ちていた携帯電話を拾います。何気なく電源をつけて見てみると、そこには日本の某巨大掲示板の書き込みがありました。


『エンプーサたんとベッドファイトしたった』


 という内容でスレッドが立てられているのです。エンプーサは掲示板に書かれている内容を読み上げます。


『マジかよ。嘘乙』


『証拠キボンヌ』


 ここでです。エンプーサの全裸画像が公開されていました。あまりの激しさに気絶している間に、写真を撮られていたようでした。


『鷹の鉤爪あるじゃん』


『マジ物のエンプーサだな。逝ってよし』


 そう、エンプーサの正体は既にばれていたのです。そうとも知らなかったエンプーサは手の平で踊らされていた事を知り、赤面します。


『エンプーサたんの体柔らかくて最高だった』


『でも、エンプーサって人の肉食べるんだろ?』


『俺達が罵倒して追い出してやるよ』


 そうなのです。エンプーサは自分の悪口を言われるのが、何よりも嫌いなのでした。エンプーサは自分を誹謗中傷する書き込みを見て、涙を流し、本国に帰還しました。


「ヘカテー様」


「どうしたんじゃ、エンプーサ。人間の肉は食えたのか?」


「悪口を言われて逃げ出しました」


 涙ながらに訴えるエンプーサです。


「誰にじゃ!?」


「インターネットにです」


 エンプーサは知りませんでした。量産型眼鏡達は某巨大掲示板に寄生し、嫌いな人物や成功者に妬みや中傷の書き込みをしていることを。


「おのれ奴らめ……天罰を与える!!」


 怒ったヘカテーは、日本にいる量産型眼鏡に死を与えました。そして、死後の彼らにも永遠の苦痛と底知れぬ恐怖を与えたそうです。





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