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学園ラブコメは夢を見せない  作者: 長月茉央
第一章~特別なもの
9/51

交流会は夢を見せない

今日はクラスで行う交流会。

僕と心愛は不意にぶつかってしまったクラスメイトの岡本信司と友人になる。

交流会の最後は・・・

今日はクラスで仲良くなるために交流会。交流会で一日自由に、というのに心愛はすこぶる機嫌が悪そうに見える。鞄に付いた、はにわのキーホルダーを指ではねて遊んでいる。そして口を開いた。

「なによ。自己紹介して、仲良くおしゃべりですって?自己紹介なら始業式にしたじゃない。」

心愛がかなり気だるそうに呟いた。

「ほらほら。そんなこと言わずに…。今日1日楽しもうよ。授業がないと嬉しいんじゃないの?」

心愛の横で僕が声をかけた。心愛は苦笑いで僕を見る。

これで心愛以外の友人が出来るのかも知れない。つまり心愛にも僕以外の友人が出来るわけだが。なんだかもの寂しい気分だ。そう思っていると、心愛が僕の服の袖を引っ張った。

「どうした?心愛?…もしかしてだけど、心愛って…。クラス嫌いなの?」僕は突拍子もなく聞いた。

心愛は呆れた様に僕の方を睨む。「ちょっと睨まないで。顏怖いよ。」

僕が声を震わせながら言った。僕が心愛の目線を避けていると、誰かとぶつかった。

「あっ…ごめんなさい。大丈夫かな?」

僕はぶつかったクラスメイトに目を向けた。

「いや。こっちこそすまん。俺も周り見てなかった。えーと…松山だっけ?」

だれだろう…。まだクラスメイトの名前と顏なんて覚えていない。

「えーと…ごめんなさい。名前が解らないんだ。」

僕が正直に告げた。すると彼は豪快な笑みを浮かべて言った。

「俺は、岡本信司。よろしくな。まだクラスに慣れてなくて困ってたんだ。でも松山って姫川とずっと一緒にいるけど、付き合ってたりするのか?」

岡本信司と名乗る彼は、僕と心愛は同時に見合わせた。

そして最初に口を開いたのは心愛だった。

「ちょっと待ちなさいよ!!聞き捨てならないわ。海が私の彼氏ですって!?ありえない話をしないでくれる?草に私は勿体ないわ。まぁ海が土下座して頼み込んできたら考えないこともないけど。」

心愛の口からペラペラと言葉が出てくる。

この口調になんど泣きそうになったことか…。いや。今も泣きそうだよ。

「心愛ひどいよ。そこまで言わなくても良いじゃないか。そろそろ草って言うのを、別の言い方にしてくれないかな?」

僕は心愛に少し大きな声で言った。初めて聞く僕の大きな声に心愛は少し驚いている様にみえる。とは言っても、周りの音で僕の声なんて掻き消されているのだが。

「なによ。別の言い方?…そうね。光合成系男子かしら。言っとくけど、別に癒し系で可愛いとか思ってないんだからね!!」

心愛が僕に言った。光合成系って。草よりはましなのかな…?それにしても、可愛いなんて男の僕が言われても嬉しいわけではない。確かに誉められているわけだから、嫌な気分もしないけど。なんだか複雑だ。まず初期問題は、僕は勘違いも何もしていないことを、わかっていただきたいものだ。

僕と心愛のやり取りを見ていた、信司は大笑いしていた。

「なんだよ。2人は仲良しなんじゃないか。松山羨ましいよ。姫川可愛いしな。今の会話からして、性格はややこしいそうだが。いいコンビだよ。お前ら。」

笑いすぎで涙目になりながら、僕と心愛を見た。

どうやら、信司と言う人間は、明るくて誰からも好かれやすい性格をしているように思える。

「いいコンビなのか…?どう見ても心愛にいじめられ…いじられているんだけどなぁ。」

僕は信司の言葉に小さなため息をついた。そりゃ僕だって男なわけだし、心愛みたいな可愛いというか美人というか、どっちともいえるような美少女と居て、何も思わないわけでもないけれど

恋人になりたいとかそんな思いはない。単純に可愛いなと思うぐらいだ。

後、もう少し僕に対してまともな扱いをしていただきたいのが本心なんだけど、そこはもう慣れてしまったのでいいとしよう。いや。本当はよくなんだよ?でも、心愛の笑顔が可愛いから…。やましい意味じゃないからな。断じて。

僕は頭の中で一人漫才を繰り広げていた。その様子を心愛と信司が見ている。

「なぁ、姫川。松山っていつもあんなのか…?」

「!!??…。」

信司に急に話しかけられた心愛はびっくりして声が出なかった。いつもの僕に対する時の威勢は何処へ行ったのか。もしかして僕に対してだけなのか?あの上から目線、電波系かつツンデレ属性なのは。

僕がそう思った。そしてふと辺りを見渡した。クラスメイトが楽しそうに話しをしている様子が目に映った。そう言えば、今更だけど、僕も心愛も信司以外の人と話をしていない。

その信司はというと、ちょくちょく他の人と話している様だ。

「心愛心愛。岡本くん以外に誰かと話をした?」

僕はひっそり心愛に話しかけた。心愛は当然のような顔で首を振った。

僕は思った。交流会と言っても、友人ができるわけではないと。


結局、今日一日の交流会でできた友人は、僕も心愛も信司だけ。

さらに言えば、信司の友人とも話をしたが、お互いぎこちない雰囲気で会話もはずまなかった。

心愛はというと、一日中はにわにキーホルダーとにらめっこしては、僕に文句をぶつけてと

まったく人間らしい行動を起こさなかった。

心愛本人は気付いていなかっただろうが、心愛の事を見ていた男子は少なくなかった。

しかし、すっと僕がそばにいたから声をかけれなかったんだと思う。なんだか悪いことしちゃったかな。というか、僕がというより、心愛が僕から離れようとしなかったんだけど。


僕にとっても、心愛にとっても、今日の交流会はあまり必要なかったように思えて仕方がない。

それでも、良かったと思えるのは、信司と友人になったことぐらいかな。

信司は、僕と心愛のところに、良く来るし、心愛も心なしか話しやすそうだった。

それを見ると少し安心した気分になった。

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