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学園ラブコメは夢を見せない  作者: 長月茉央
第一章~特別なもの
8/51

登校時間は夢を見せない

ノートを忘れたから朝一で取りにいくと言い張る心愛と登校する海。

ノートと一緒に渡したものは・・・

そして初めて見せた心愛の表情は・・・

次の日、僕は心愛の言われた時間に間に合うように起きた。遅くなると心愛に怒られそうだ。心愛の忘れていったノートを用意した後、自分の用意に取りかかった。

とはいっても、用意は必要最低限しかしないし、朝ごはんは食べない。

「やっぱり少し余るんだよね…。」

7時30分にはまだ25分ぐらいある。忙しい朝も、こうなれば暇をもて余してしまう。

そこで僕は、昨日のクッションの余った布で、はにわのキーホルダーを2つ作った。気に入ってくれるかはわからないが、1つは心愛にあげるつもりだ。昨日のクッションと同様に気に入ってくれるとありがたい。

そうこうしてる内に、約束の時間になった。

外に出ると少し向こうに心愛の姿を見つけた。

「おはよう。はいこれノート。ついでにこれも。気に入るかわかんないけどさあ。」

僕は頭をかきながら、心愛にノートと先程作った、はにわのキーホルダーを渡した。

心愛はノートよりも先にキーホルダーを手にとった。

「なにこれ!!あり得ないほど可愛くてムカつくんですけど!!」

心愛が怒りながら誉めてくる。なんなのだろうか…いったい。

なにが心愛をそうさせているのだろうか。理性か?いや…それは無いな。プライドか?だとしたら何にたいしてのプライドだよ…。

僕は頭の中で自問自答した。それでも答えは全く出てこないけれど。なんとなくと問いただしてみた。

「えーと…気に入ってもらえたのかな?そう言うことでいいんだよね?」

僕が恐る恐る尋ねると、心愛はこちらを振り向く。

「当たり前じゃない。これを気に入らない私がいたら、怒ってるわ。」

心愛が訳の解らないことを言っている。自分を怒るって…?ほんとによく解らないよ。

「まぁ、ちょっとよく解らないけど気に入ってもらえたのなら良かったよ。ちなみに僕の分も作ったんだ。ほら、ここに付いてるだろ?」

僕は、心愛に自分の鞄を見せた。僕自身はにわを気に入っていて我ながら上出来だと思っている。


「海とお揃いねぇ…。まぁつけてあげないこともないけど、どうしてもって言うなら…♪」

心愛がニンマリと笑った。そして嬉々としながら鞄に付けた。

「心愛楽しそうだね。僕なんて今から学校かと思うと…。」

僕は心愛の横でテンション低めに言う。

「そうなの?私は嫌いじゃないわよ。勉強は嫌いだけどね。」

心愛は少し笑った。意外だった。

勉強が嫌いな人は学校も嫌いかと思っていた。

「勉強が苦手だからって、学校嫌いとは限らないでしょよ!?それに解らない所は海が教えてくれるんでしょ?」

心愛がふんぞり返って言う。僕が教える確証はどこにあるんだか…まぁ教えるけど。

「心愛の自信はどこから来るんだよ。本当に面白いやつだな。」

僕は心愛に面白いと言ってみた。怒られるかもと思ったが、意外にも心愛は笑っていた。

「バカじゃないの。大体自信なかったら人生やっけないじゃない。」

はじめて見せる心愛の、爽やかな眩しい笑顔に驚いた。

そんな僕を他所に心愛は、クルクルと回っている。心愛が回ると鞄に付いた、はにわのキーホルダーがフルフルと揺れている。はにわの表情が心なしか幸せそうに見えた。

勿論気のせいなのは確かなのだが。キーホルダーが笑うわけないわけだし。

「何してるの。早く来ないと置いていっちゃうんだからね。」

そう言って、心愛は僕を置いて、目の前に見えてきた校門に走って入った。

「こ…心愛!?ちょっと待ってよ。あんまり走ったら危ないよ。」

僕は心愛を追い掛けて校舎に入っていった。

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