告白は少年に夢を見せる。
ついに春が訪れかけた信司。
それを見守る(?)海と心愛。
信司の思いと、海と心愛の思いとは…
「あの…えっと松山さんですか?」
お昼休み、僕は心愛と廊下を歩いていた。すると後ろから声が聞こえた。
「松山です。えっと…」
僕は振り向いて声をかけてきた女の子を見つめた。
「あ、私は3年の森山茉莉と申します。少しお時間よろしいでしょうか?」
‘森山茉莉’と名乗る先輩は僕の方をじっと見てきた。
「あ、はい。心愛ちょっと待っててね?」
「早くしなさいよね?」
「わかった。」
僕は心愛に了解を得てから茉莉について行った。心愛を置いて行くのは忍びなかったが、仕方なかった。
僕は心愛に心の中で謝りながら体育館裏まで歩いた。
「あれ?姫川じゃん。松山どこ行ったんだ?」
心愛が1人で教室に戻ると信司が声をかけた。心愛は少し膨れたように
「海なら3年の先輩に呼び出されてどっかいっちゃたわ。」
と言った。信司は首をかしげながら心愛を見た。心愛は少しふくれっ面をしながら外を見ている。
「大丈夫だって、あいつはお前しか見てねーんだから。」
信司はのんきに笑いながら心愛の頭をポンっと叩いた。
心愛は心ここにあらずと言った表情で椅子に座って海の帰りを待った。
結局海は、授業開始1分前に教室に入ってきた。
「遅いじゃない。もうすぐ授業始まっちゃうでしょ⁉」
席に着いた僕に心愛が言った。別に遅れたくて遅れたわけでもない。けど茉莉の気持ちを無碍にはできなかった。
「ごめんね?森山さんにどうしてもって言われっちゃって。」
「告白でもされたわけ?」
謝る僕に間髪を入れず心愛が尋ねる。僕は無意識に目線をそらしてしまった。
「ほんとに告白されっちゃったの⁉許せない…海は私のなのに‼」
握った拳に力を込める心愛に僕は慌てた。心愛は勘違いをしているようだ。
「心愛違うんだよ。あのね?」
僕は言いかけたが、チャイムが鳴ったので開いた口を閉じた。心愛は首をかしげて僕を見ている。
「ごめんね?続きは後で。」
僕は小声でそう言ってから授業に入った。
「で?」
授業も終わりいきなり心愛が僕をにらんだ。そんな顔しなくてもな…
「あのね。僕は岡本くんにこれを渡してほしいって頼まれただけで…」
僕は言い終わってから信司に手紙を渡した。その手紙には綺麗な字で‘岡本様へ’と書かれていた。
「…俺?」
信司はあっけらかんとした表情で手紙を受け取る。それは紛れもなくラブレターである。
「岡本に?じゃあ海はそれを頼まれただけなの?」
心愛が僕の方をじっと見て近づいてきた。
「そうだよ~?」
僕は軽く笑いながら言うと心愛は安心した顔で笑った。誤解も解けたみたいで僕はほっとした。
「それでね、岡本くん。今日の放課後返事聞かせてほしいって言ってたから。読んであげてね?」
「あ、もちろん。」
僕の方をちらちらと見ながら信司が頷く。
そしてすぐに信司は自分の席に戻っていった。僕と心愛は目を合わせて
「「恥ずかしいんだね」」
と呟いて信司の方を眺めていた。
一方席に戻った信司は手紙を読んでいた。
''突然のお手紙申し訳ありません。私3年の森山茉莉と申します。以前お見かけした時から気になっていました。好きです。お返事待ってます。''
手紙を何度も目に通しながら信司はうつぶせた。
「かなりうれしい…でも正直なところどうしていいかわかんないんだよな。彼女ほしいとか思ってはいたが、まさか告白されるなんて考えてもいなかったし。いや、告白自体は初めてじゃないし…まぁ、局付き合ったことはないんだけどさ。」
と一人でぶつぶつと呟いていた。ほしいほしいとは思っていても現実にこんなことが起きると、うれしい反面のどうしていいかわからない思い。
「とりあえず会って話さないことにはな!うん。」
自分に言い聞かせた信司だったが
結局信司はもやもやした気持ちを抑えられないまま放課後を迎えるのだった。
(更新が遅くなってしまい申し訳ありません。テストのせいでなかなか書けず…。これからもゆっくりではありますが更新していきますので、温かい目で見てやってください。)