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学園ラブコメは夢を見せない  作者: 長月茉央
第一章~特別なもの
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日常生活は夢を見せない

信司が文芸部に入部届を出して、体験入部をはたした。

そして、3人は海の家に向かって学校をでた。

その帰り道に繰り広げられる、コイバナ(?)に3人は・・・

信司の衝撃告白を受けた後、部活では信司が入部届を出した。

今日から信司も体験入部である。赤石部長も嬉しそうだ。帽子に付いたポンポンがフルフルと揺れる。

「やぁやぁ嬉しいねぇ。新入生が3人もいるよぉ。」

赤石部長は僕の肩を両手で叩く。力が弱く、痛くない。むしろ華奢な体で必死に背伸びをする姿が可愛らしい。

「もうすぐやっと念願の部員になれるわよ。ふふふ。」

心愛が嬉しそうに笑みを浮かべる。もう少し可愛い笑い方が出来ないのだろうか。その横で信司も笑っていた。その光景を見ると、なんだかどうでも良くなってきた。


体験を少しした後、服作りのため僕の家に向かった。

信司の家はどうやら住所からして、僕の家とそれほど遠く無さそうだ。

「海ったら歩くの遅いわよ。もう少しなんとかならないわけ??」

心愛が少し前から叫んできた。

そんなこと言ったって仕方ないだろ。僕はスローライフを…。言ったところで意味ないか。

なんだよ。いつもだったら合わせてくれるのに、信司がいると合わせてくれないのか。

「松山と姫川ってほんと仲良いよな。男女の友情は存在するんだな。お互いに恋愛感情ないのかよ。」

信司が言う。僕らは顔を見合わせた。いつも何だかんだ言いながらも待ってくれる心愛がツンデレで可愛い。

「あるわけないでしょ!?海は草なの。光合成するのよ。前も言ったでしょ。海が土下座しながらどうしてもって頼んできたら考えてあげないことも無いって。」

僕に対する心愛は酷いや。もう少しぐらい言葉を選んでくれてもバチは当たらないよ?きっと。

「おいおい…。さすがに光合成はしないだろ。松山はどうなんだよ。美少女と毎日いてどうも思わないのかよ。」

信司が今度は僕に向かって言った。

「心愛は可愛いと思うけど、付き合いたいとか、今の関係を壊したいとかは思わないかな。第一に僕には土下座は出来ないよ。」

僕は信司に苦笑いで返した。僕ら2人の反応に信司は少し残念そうだ。

「なんか面白くねーな。それでも健全な高校生かよ。それにクラスの奴ら皆、お前らが付き合ってると思ってるんだぜ?いっつも2人で話してるし。さらに、姫川を狙ってる男子なんて俺に聞きに来るんだぜ?本人たちに直接聞けっての。実際この俺でさえ2人の間には入りにくいぜ?まったく。」

信司が道端の小石を蹴りながら歩く。面白くないと言われてもどうしようもないよ。

僕は男女の友情は信じるほうだし、僕と心愛は夢が同じなわけで、いい仲間なのだ。

前に言ったように、恋してる場合じゃなくて…って言っても全く興味が無いわけでもないのが困ったところでもあったりする。

「やっぱり心愛って人気なんだな。心愛を狙ってる男子がいるんだろ?見た目に騙されてるのかな…。」

僕は、心愛の方に目を向けしみじみと思った。

「ちょっと海。それどういう意味よ。私が人気だから羨ましんでしょ。海はモテるってわけではなさそうだし。」

心愛は嬉しそうにニヤニヤしている。確かに僕はモテない。当然告白されたこともない。そんなことより、僕は小説を読むほうが好きだったし。でもライトノベルのような恋愛って結構憧れていたな。

「ほんと失礼だよな。ま、モテないのは事実だけど。僕って地味だから。」

僕は自分で言っていて悲しくなる感覚に陥りながら呟いた。不意に出たため息がむしろ切ないよ。

「そんなこともないぜ?クラスの女子が可愛いって言ってたぜ?」

「あの…。僕も一応は男なんだけどな。あんまり可愛いって言われても嬉しくないよ。」

信司の言葉にさらにため息が出た。どうせならカッコいいって言われてみたいよ。

僕がしょんぼり歩いていると、心愛が背中を叩いた。

「バカじゃないの?海の中身を知らないからそういうのよ。海はか…か…かっこいいわよ!!あ…か、勘違いしないでよね。カッコいいというか、頼りになるとか、そう言いたかっただけなんだからね。そんな嬉しそうな顏しないでよ。緩みきってて気持ち悪いわよ。」

心愛が珍しく僕を慰めてくれた…んだよな…?それでも気持ち悪いは傷つくんだけど…

だけど、心愛と毎日会話していると気づくことがある。たぶん心愛は恥ずかしがり屋だ。照れ隠しの為にこうもツンツンしているのだろう。でも絶対に本人は認めないだろうけどな。

さらにこれは本人も認めるだろうが、褒められるのが好きなのだろう。ちょっと褒めただけでも、表情が綻んでくる。言葉は突っ張っててもそれに合わせた表情が出てこない様子だ。

まぁそれを見るのも楽しくなってきた僕って可笑しいのかな…?こうやって思うと信司に憧れる。

信司が本当に僕たちと同じ方向性の夢を持っているのかも信じられないし、僕らと一緒にいることも不思議だ。そのくらい僕と性格が真逆ということだ。

「信司って物好きだよな。」

僕が信司に言った。信司は目を丸くした。その後、大笑いをされた。

「なんだよ急に。俺普通だと思うんだけどな。」

信司は頭をかいた。どう返していいのか、わからない様子でいるようだ。

ちょっと申し訳ないことしたかな?僕はそう思いながら少し早足で2人の先を歩いた。

僕の家はもうすぐだ。

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