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ノンストップ事態

作者: SAME


 数学の授業中だった。


 柿崎が女になった。



 もう少し詳しく言うと、授業がつまんなかったので一つ横の席にいる柿崎に、消しゴムのくずで攻撃したり打ち返されたりして遊んでいたのだ。


 そうしたら、突然・・・・・・女になった。


―としか言いようがないって!


 「え、・・・ええええええ?!おまっ!何それっ!」

 「は?な、な、なんじゃこりゃー!!」


 柿崎は、ボインボインの胸を揺らして叫んだ!


 異変は柿崎だけじゃなかった。

驚愕の表情で固まっている堅物独身先生の隣には、めっちゃ綺麗なウェディングドレスのお姉さんが立っていて、こちらも何が何だかわからない表情。

背中に羽がはえたり、エロ本が目の前に現れたり、メイド姿の女の子に囲まれてたり、ありえない量の札束に埋もれている奴も何人かいるし・・・うぉっ、田中の椅子がマッサージ椅子になっとる。

 ・・・あれ?オレは?オレには何もないの?


 「・・・俺はまだましな方?かな。」

 机の中から飛び出してきた気持ち悪い妖怪に巻き付かれている武田を見て、柿崎はつぶやいた。大きくなった胸をムニムニ触っている。無意識らしい。


 「いいな、お前。後でオレにもさわらして。」

 「男のさわって嬉しいのかよ。」

 「今、女だろ。いーじゃねーか、減るもんでなし。うひょひょひょひょ。」

 「なんだよその笑いは、エロじじいかっ。」


 突然、ものすごい爆音と共に、後ろの壁から何か飛び出してきて、正面の黒板をぶち抜いていった。見間違いでなければ・・・アレは・・・フリーz


 うぉおおおおぉぉぉん


 「うぅわっ、あれネッシーじゃね?」

 学校のプールから、鳴き声と共にわっさーと登場したのは首長竜だった。わらわらと生徒が逃げていく中、1人だけカメラを構えてその場にとどまっているのがいる。いるよな、こういう奴。


 学校の外でも騒ぎは起きているらしい。

堂々と歩くゴジラ。ぽっかりと空中に浮いてしまっている商店街。羽がはえた人は思う存分空を楽しんでいて、中にはドラゴンの背中に乗って町をひとめぐりしている者までいる。サンタクロースにマシュマロマンに・・・


 あ、あそこで歴代ラスボス 対 勇者達の戦闘が起きてる!うわ、近くで見てぇ!!


 「やめとけって。ほら、山が一つふっとんだじゃねーか。これ本気で世界の危機だぞ。」


 柿崎に羽交い締めにされる俺・・・その横で、クラスの・・・いや、学校中の生徒が状況を改善しようと動き出す。


 「おーい、誰かすごい力だせる奴―!!加勢してこいよ!!」

 「俺行く、まかせろ。」

 「身体、すっげーくにゃくにゃになったんだけど、役に立つかな?」

 「あ、小学校が変形してロボットになったぞ?!」

 「フリーザ様どうすんだよっ!あれには勝てねーよっ!悟空かベジータいねーの?!!」

 

 同じように、あちこちの町内からも能力者のおじさん・おばさん達が参戦してくるのが見える。おやじのカミナリ落とし、OLさんのムチさばき!おばさんのグルグルパーマボンバー!!他の超能力者や勇者達と共にバトルして・・・あああ、いいな、いいなぁ!!


 友情も職業も世代も超えた、一致団結、協力プレイ。熱い展開・・・。こういうのに憧れてたのにっ!うらやましい。参加したい。うらやましい!!


 なんで俺は、教室でただ見守ってなきゃなんねーんだっ!

メイドさんが出てくるでもなく、お金もないし、変身もしない、普通の状態で!!


 「なんで、俺には何もないんだよー!!!」



※※※※※


 「・・・で、システムは復旧しましたか?」


 「はぁ、なんとか今日中には回復するかと・・・。」

 大きな釜のような機械に取り付けられたモニターをいじってた私、技術系天使は、声の主の方へ振り返った。

 今回の事件の元凶、神様は相変わらず美しく、知的だ。


 ここ、願望保存庫室には、市町村ごとに人々の願望を保存する機械がある。

過去にかなえてあげた願い事やら、優先順位の高い未処理のものまで保存することができる優れものだ。


 この機械の売りは、ボタン一つで願いを現実化させること。その機能が今回は仇になってしまった…。


 「神様、いくら人々の願い事を貯めておけるからといって、つぶやきレベルの願いまでとっておかないで下さいよ。」


 「だって、楽しいじゃない。ねぇねぇ、女の子になっちゃった子、見た?セクシーになっちゃってー。超かわいー!あれ、女は良いよなーってブツブツいってたから、そうなったら面白そうって思ったんだよね~。」


 「ただの愚痴を、面白そう、だけで、保存したんですか?」


 「でも、あとで見返したら楽しいし。それに、こういう小さな願いも集めていけば、人間を知る上で大きな資料になると思って・・・」


 「貯めすぎです!だから爆発したんですよ!!まとめて一気に現実になっているじゃないですかっ!!


 今回は仙神町のシステムだけでしたから、まだ良かったものの、あーあー、トランスフォーマーまで出てきてる・・・どうするんですか、これ。」



 神様はちょと考え込んだ。


 「んー・・・・・・夢オチ?」


 「ちょ・・・。

  わかりました、今から全ての町のシステムをチェックして、愚痴レベルの願い事を全っ部、削除しましょう!」


 「え、そんなっ!いやーっコレクションがー!」


 コレクター感覚で仕事をすんなっ!!



 地上では、仙神町はハルマゲドンばりの大惨事になっている・・・。

これを夢で処理するとしたら…1年くらい世界の時間を止めて元通りに戻すしかないだろう。

もっとかかるかな。異種大戦争状態になってるし、混乱はまだまだ続きそうだ。


 それにしても、何の願望も叶わない少年がいてよかった。

彼が普通だったおかげで、地上の光景が異常だと気付くことができたのだから。神様なんか新しい映画だと思い込んでいたし。



 全て解決したら、彼にも何か願い事、かなえてあげようか。


 ・・・この分だといつになるか、わからないけれど。


お読みいただきありがとうございます。


ふざけたものが書きたくなっただけです。

よく、授業中にガメラが現れたら皆どうするのかなーなんて考えてました。そんな適当な話です。

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