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16話 闇風のルリト

闇風の読み方は本編で・・・


全然二つ名とか思いつかなくて苦労しました(汗)










魔王の『力』と呼ばれるものがマリの中へと入り込み、マリはフッと倒れた。

それと同時に『力』の圧力が消え、金縛りが解けた様に急に体が動くようになった。


「マリッ!」


俺は急いでマリを抱き起こすがただ眠っているのだと確認するとその強張った体を軽くほぐす。


「・・・大丈夫なのマリ、ちゃんは?」


「まあ今のところは意識を失っているだけのようだし、大丈夫だろうな。 てか、普通に『マリ』って呼んでもいいんじゃないのか? 無理してちゃんづけで呼ぶ方がどうかと思うぞ?」


「い、いいじゃない! 同じ女の子なんだから呼び名とかは後で決めるのよ! 男のあんたが口出ししないで!」


「お、おう・・・?」


急に顔を真っ赤にして叫ぶリーナに気圧され頷く。


「・・・でも、本当に気絶してるだけなの? そうなら、それって少しおかしくないかしら?」


「? ・・・あぁ・・・確かにおかしいな。 あれだけの力を体に取り込んだんだ。 体が破裂しててもおかしくないほどの『力』を・・・。」


朗らかに眠るマリを見ながら答える。


あの『力』が入ったというのに、何で平気なんだ?


それにどうしてマリは魔王の力を求めていたんだ?


元々お互い何もしらないが、やはり気になる事はなる。


起きたら教えてもらおう。

そう思ってマリの眠りが覚めるのを待とうとした時――




「見ぃつけたぁ♪ カーレェェ♪」




ゾワッ


「っ!!?」


気配が無かった。 何時の間に居たのかも気付かなかった。 俺は寒気が走るのを感じながらそいつ(・・・)を見る。


急に現れたそいつは途轍もなく恍惚とした表情で其処に居た。


それにカーレはマリの事だ。

マリの関係者なのだろうが、兎に角そいつはやばい!


俺は長年の培ってきた勘から無意識にそいつに恐怖した。


「カーレ♪ カーレ♪ カーレ♪ 僕が迎えに来たよ♪」


そいつはただマリ――カーレを求めて手を伸ばす。

触れさせてはいけない!


俺はマリを抱いたままジリジリと後退する。


冷静になれ! まずはやつを見極めるんだ!


少しずつ冷静になると同時に俺はやつを観察する。

まず、やつは魔族だ。これは間違いない。髪も瞳も見事な漆黒だからだ。

やつの美貌はマリと同じ様な美しさで、その美しさも魔力も逸脱している。

そしてやつの後ろ。仲間と思われる者が2人。2人とも黒目だが、髪の色は違った。

活発そうな女の方は赤髪で、紳士的な男の方は茶色。

一応魔族だろう。


ならこの状況はどうしたらいい?


マリも魔族で、俺達も魔族だ。殺されるような事はないはず。

マリだって好意を持っていたら受け入れられると言っていた。


なら友好的に――


その俺の思考は遅かった。


ブシュ と音が聞こえたと思ったら腕が骨が見えるほどに切られていた。


・・・切られて・・・?


「・・・え?」


やつの腕の中には、俺の抱いていたマリが大事そうに抱えられていた。


「う、あああァァァァ!!」


「じ、ジン!!」


腕を押えて地面に膝をつく。


「ぐ、あ・・・うぐぅ!」


「い、今、魔法を―― っ!?」


治癒魔法を行使しようとしたであろうリーナが押さえつけられた。


「ダメダメ~ よく分かんないけど主の邪魔をしちゃぁー」


「そうです。 よく分かりませんが主の邪魔は万死に値しますね。」


「「っっ!!」」


俺とリーナは揃って呻く。


そいつらが主と呼ぶ少年はまるで俺らの事が見えてすらいないようにマリを愛でている。

優しく、愛を注ぐように。


「・・・で? 主。 それ(・・)何者なのさ?」


しかしリーナを抑えていた女の言葉を聞いた途端――少年の雰囲気が一変した。


「・・・それ(・・)?」


またもやザワリと寒気が走った。

それは女も同様の様だ。震えながら言葉を訂正する。


「そ、その方は、どなたなんですか・・・?」


少年はにっこりと可愛らしい笑みを浮かべ、直ぐに妖しい笑みを浮かべて言った。




「僕ら魔族の愛するべき我らが全ての王――『魔王』だよ♪」




「「「「・・・え?」」」」


その言葉に誰もが絶句した。


当たり前のことだろう。


最強と謳われて今では御伽話の登場人物の者が目の前に居ると言うのだから。



「フフーン~♪ 僕の愛しのカーレ~♪ カーレリア~♪」


誰もが呆気としている中、少年の鼻歌だけが鳴り響いた。


「あ、主・・・?」


「フンフーン♪」


「・・・無視なんて初めてされたさ私は!」


「何時もとは違い過ぎるのでは・・・主?」


「ランラーン♪」


「・・・またもや無視ですかっ。」


そのしょうもない会話をしている間にリーナが魔法を行使した。


「・・・この者の傷を癒せ――《治癒(ヒール)》!」


傷は完全に塞がれる事は無かったが気休め程度にはなった。なんとか動くのを確認し、俺は少年に向き直る。


「本当にマリが魔王、なのか・・・?」


「~~♪ ・・・マリ? ああ・・・そだよ~? 僕がカーレを間違うはずがないじゃないか。

だって僕はカーレが大っ好きで・・・あ。」


「?」


「・・・今なら(・・・)襲えるかも・・・。」


「「「はぁ!?」」」


少年の呟きにリーナは口を開けて呆然とし、俺と、少年の仲間2人の声が重なった。


「・・・うんうん♪ 今の(・・)カーレなら簡単に押し倒せる♪ よしカーレ! 今から一緒に楽園へ行こう!! 夜の僕の部屋という僕とカーレだけの楽園にっ!」


「「「ぅおい!! 行くなよ!?」」」


またもや声が重なった。


てかマリ! 貞操の危機だぞ!? 何を安らかにお眠りになっておられる!?


「・・・もう~ 何なのささっきから君達は? ああ、でもそんなことより・・・我慢できないよカーレ。 いっそ、今此処で!!」


「「「やめんかぁ!!」」」


少年がゆっくりとマリの顔に自分の顔を近づけようとするのを必死に遮ろうと焦るが、間に合わない。


わああぁぁぁぁぁと叫んでいる間に少年はマリと唇を合わせ――


「っっ!?」


少年の体が驚愕に揺れた。


少しして唇を離した少年は苦笑しながらマリに言う。


「もう起きちゃうなんて・・・早いよカーレ。 しかもキスで僕に毒を流すなんて・・・自動浄化出来る僕だから良かったものの・・・。」


マリはゆっくりと少年の腕から逃れ地面に降り立つ。


「君だからやったんだ。 気にするな。 他の者にはしない事だからな。」


そう素の話し方で言ってマリは微笑む少年に向かって言った。



「久しぶり。 魔王に仕えし騎士が1人――『闇風(ダークブリーズ)のルリト』」



「・・・お久しぶりです。我が愛しの魔王――カーレリア様。」


そう膝をつく少年――ルリトは愉悦と悲しみの入り混じった表情でマリ――魔王を見つめる。


絶対の忠誠を誓う騎士と、威厳のある優しい微笑みを浮かべる主。


その光景は絵に描くほどに素晴らしく、ただ見惚れてしまうほどの光景だった。
















まあ 闇風は『ダークブリーズ』でも、普通に『やみかぜ』でもいいんですけどね~(笑)


魔族は基本『ダークブリーズ』って呼んで、人間は『やみかぜ』で呼ぶ、というように区別は付けていく予定です。。。



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