答え
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翌日、大樹に届けられたのは、吉岡の苦い表情だった。
彼らは、入国せずにそのまま乗り継いだというのだ。
そして、次の目的地が分かった時には、既に入国した後だった。
止めることが、出来なかったのだ。
しかし、大樹はただ絶望したりしない。
吉岡に向き直った。
「吉岡さん、お願いがあります」
昨日。
彼は、祈るだけなんて出来なかった。
だから、考えたのだ。
もしも、入国が阻止できなかったと仮定して。
「あまり…聞きたくないんだが」
吉岡は、どこまで推測しているのだろう。
いやそうな顔だ。
「僕たちの、今後の身の振り方のことです…」
いま、ここでこの話をするのは、素っ頓狂に思われるかもしれない。
「僕たちがもう、普通の仕事に戻れるとは、思っていません」
吉岡の表情が、みるみる曇る。
彼だって、考えていないはずはない。
選択肢の一つに、「それ」が含まれているかもしれない。
「僕を……にしてください」
これは――最後の手段。
大樹が考え抜いた、田島を助けられるかもしれない、唯一の方法。
「大樹くん…君は本当に頭のいい子だ…でも、出来ることなら、その選択肢を選ばせたくなかったよ」
吉岡は、目を伏せる。
答えは、イエスなのだろうか――ノーなのだろうか。