扉が 開く
☆
吉岡、小野、公園の化学式の男。
電話の大樹の台詞から聞き取れたのはその辺り。
いまドラッグストアにいる男が、公園の化学式の男、というわけか。
「ありがとうございました」
携帯電話を返されたが、じゃあこのまま買い物の続きを、という雰囲気ではないようだ。
「これから、どうしたいんだ?」
訳ありの動きに興味はあったので、今後のことを大樹に委ねてみる。
「車のナンバーだけ確認したいです」
ドラッグストアの買い物など、そんなに長引くわけじゃない。
あの男が出てくるのも、時間の問題というわけか。
了解と答えて、田島は店の方をみやった。
おっと。
噂をすれば、なんとやら。
袋を提げた小太りの男が出てくるではないか。
しかも。
もろ、彼らのいる方へ。
うお。
こんな張り込みもどきみたいなことはしたことがないから、どう反応したらいいのか分からない。
とりあえず、携帯をいじってるふりをした。
って、隣の車かよ。
白い乗用車に近づく男。
瞬間。
ざわり、とした。
田島の首筋に走る、いやないやな感覚。
「あれ」
男が、車の中を覗き込んで、変な声をあげた。
何故、乗らない。
そして、店で男は何を探していた。
消毒薬。
怪我の手当てに使うもの――誰の!?
男が、覗き込んだ車から顔を上げる瞬間。
田島は横っ飛びにとんでいた。
自分のいた場所で、空気がうなる。
重い、ぶぅんっと言う音。
目の端に、ぶっとい腕が繰り出されているのが映った。
もう一人いた!