表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
33/127

第二部 ツカサ

×

 うわ、だっせ。


 ツカサは、おんぼろの寮を見た時、口をあんぐりと開けた。


 Tシャツに破れジーンズ、金髪の頭。


 じゃらじゃらのアクセサリをつけたツカサのセンスからは、許しがたい貧乏臭さだ。


「あぁ、今年はトウモロコシか」


 しかも。


 出迎えたおっさんは、人の頭を見るなり、いけしゃあしゃあとそう呼んだのだ。


 無駄に上背があって、四角いガタイをしている。

 柔道選手のようだ。


 人をガキだと思いやがって。


 ツカサは、どうにか言い返してやろうかと、口を開きかけた。


「おっ、もう一人きたな」


 しかし、おっさんはトウモロコシのことなどもう忘れたように、ツカサの後ろを見るのだ。


「こっちは…ワカメかな?」


 微妙に首をひねるおっさんに、ツカサも振り返った。


 真っ黒のクセっ毛に眼鏡。


 覇気の感じられない顔。

 しゃれっけのまったくない服。


 若々しさは、まったく伝わってこなかった。


「中卒採用は今年はおまえら二人だ、仲良くしろよ」


 寮長だと名乗るおっさんの言葉に、ツカサはげっとつぶやいた。


 こんなネクラそうなのと、二人だけなのか、と。


「あと、毎年中卒は寮長と一年同室と決まってるから、よろしくな」


 だ、だっせー。


 追加された軽やかな言葉は――ツカサの心にゲロゲロという悲鳴をあげさせたのだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ