ダサさ炸裂
×
正義のオレ様、登場!
どうやら、最高のタイミングで登場できたらしい事実に、ツカサは鼻たかだかだった。
あの大樹でさえ、度胆をぬかれているようで、気持ちいいことこの上ない。
さあ、感謝と称賛をオレに浴びせろ!
次の言葉を待つツカサに、投げられたものは。
「誰か、運転を交替お願いします! ワンさんは、ナビを!」
いつも通りの大樹の、シビアな指示だった。
うぉいっ!
ハンドルを放しかけ、慌てて握りなおす。
いかつい日本人のおっさんが、迷いなく運転席に突進してきた。
せっかくのオレのドラテクがぁぁ!
「ボウズ、交替だ」
助けにきたのに、なぜドスの効いた声で、見下ろされなければならないのか。
忌々しくも、ブレーキを踏んで席を立つ。
その動作が、おっさんにはのろすぎると思われたのか。
首ねっこつかんで、席から放り出された。
「ちょっ!」
オレが助けにきたんだぜ、と抗議しようとした途端、急発進。
「うわおっ!」
尻餅をつかされ、ダサさ炸裂する。
「いってぇな…何でオレの運転じゃダメなんだ」
ぶつぶつと、ぼやくと。
「ツカサ…免許持ってないだろ?」
床に座り込んだままのツカサに、差し出される大樹の手。
緊急時まで、変なことにこだわる彼の手を、ムカついたから叩き返す。
あーもう、日本で昼寝してりゃよかったぜ。
ぶっすー。
ツカサは、すっかりふてくされてしまった。