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短編集

829~パニックバースデイ~

作者: ユウ

 今日は祝い事だ。誰の祝い事か、それは「ぼく」にもわからない。

 通常のそれとは違う出会い方をした為なのか、いやそんな事はどうでもいいのかもしれない。ただ一つの真実はたった一つの祝い事の日を、ぼくが知ってしまったという事だ。

 では何の祝い事なのか。それは「誕生日」――つまりバースデイである。この誕生日(バースデイ)というものは正直な話、本人にしか価値はない。いやもうちょっと言うのなら、その人の関係者だろう。

 ただありがた迷惑な話かもしれないけど、ぼくの価値観は「祝い事は祝う」主義なのだ。そしてここで一つの問題点があるのだ。せっかく誕生日という祝い事に遭遇したのは良いのだけれど、ぼくには祝う為の(プレゼント)が何もなかったのだ。この物語はぼくのプレゼント探しの物語。


 まずはこの日を覚えよう。8月29日。

 さてここで余談なのだが、ぼくの血縁者の中には11月29日の人がいる。その人は自分の誕生日の頭文字を取って「1(い)1(い)2(に)9(く)……良い肉」の日だと言っていた。はたして何の肉が良い日なのかという真面目なツッコミは置いておこうと思う。とりあえずこんな感じで頭文字を取るとしよう。すると8月29日は「肉の日」になるのだ。どう考えても11月29日の良い肉の劣化版である。

 いや29の番号だけで考えると確かに劣化してしまっている。ここで月を指している8について考察してみよう。この8と29を合わせると「八肉の日」――やにくのひ。はちにくのひ。どう見ても変だ。僕はここで「肉」から頭を離す事にした。「頭」と「肉」なんてまるで某超人レスラーみたいじゃないか。

 話を真面目に戻そうと思う。この829を無理矢理ながら他の読み方にしてみた。その読み方とは「8(パ)2(ニッ)9(ク)……パニック」である。

 ハッピーバースデイならぬパニックバースデイである。さて名前だけ見ると立派なものだが、はたして何も持っていないぼくがプレゼントとなる物を手に入れる事ができるのだろうか。

 超簡潔な答えが頭をよぎる。答えはノーだ。物語は始まった瞬間終わりを向かえる。


 いやいやいや、まだ諦めたらあかん。名言にも「諦めたらうんちゃらかんちゃら」という言葉もある。何かないかと考えるのだ。だが本当に何もないのだ。ぼくは残念ながら絵を描く事もできない。歌や詩を作る事もできない。と、いうか絵ならまだしも歌とか詩とかをいきなり贈られても困りものだろう。ぼくなら困る。困りすぎる。

 そこでぼくは考えた末にある一つの決断をする。それは「言葉」だ。やはり何もなくとも、ぼくには声が出せる、言葉が喋れる。よってここは定番通りの、あの言葉を贈ろうと決断する。

「お誕生日おめでとうございます!」

 うむ、腹のムシが収まらん。仮に本人が良いといっても、この言葉で終了してしまったのなら、この物語の存在意義がなくなってしまう。それだけは何としても避けたいところだ。故にぼくは考えた。少ない脳みそをフルスロットルで活動させて考えた。そして考えた末に出てきた一つの答えがある。

 それは「結局何も出てきませんでした」という一つの答えだった。いやこれじゃ駄目じゃん。おっしゃる通りでございます。さておふざけもこれぐらいにしよう。そろそろマジにならないといつまで経っても決まらないではないか。せっかくパニックバースデイという立派な名前も考えついたのだ。名前に恥じない贈り物をしよう。そう心に固く誓ったのだ。

 いや何よりも「エンターテイナー」としての自分を許す事ができない。いや何よりも「エンターテイナー」としての自分を許す事が出来ない。大切な事なので二回言いました。


 ――小休止。約八日間。

 とりあえず考えてみたのだが、やはり何も思い浮かばないのだ。だが少しだけ思い浮かんだものもある。それは「動画を作る」事だ。動画が作れるのか、と言われればノーと答えるだろう。自信を持って。――駄目じゃん。

 ではどうすれば良いのだ。絵も描けない、歌あるいは詩も作れない、動画も作れない。このように三拍子も揃っているのだ。無力な自分に乾杯。ひとしきり極上でもないワインをたらふく飲んだぼくは、アルコールがまわってきて頭が活性化していく感覚を覚えた。これならば良いアイディアが浮かぶかもしれない。いや断言できる良いアイディアが浮かぶ。自信を持って言える。

 そしてその気持ちよく活性化した頭でネタを考えながら、ぼくは寝た。


 おっと結局眠ってしまってネタなんて思い浮かばなかったじゃないか。浮かんだ事といえば、わかりにくいオヤジギャグのみだった。どこでオヤジギャグを使ったかわからない人は、もう一度一番上から読み直してみよう。ついでに、ぼくの小説を読み直してみよう。

 さてプレゼントストーリーなのに、自分の小説の宣伝をするなんて何て卑しい奴なんだ。

 そろそろそろ真面目に考えないといけないじゃないか。期日は∞月29日なのだから。あと例えようのないぐらいの日数しかないのだから。おっととと、「はち」が倒れてるじゃないか。どうりで日数が例えようのない日数だと思っていたところだ。

「よっこいしょういちっと」

 期日は8月29日なのだから。万事解決である。しかし8の字が倒れる事ってあるのだなと思った。

 ところで期日はわかったけど、今は何月何日なのかって。おっとそれを皆様に言うのを忘れていました。ごめんなさい。天空ぐらいの位置に頭があって……その心は「頭が高い」……ごめんなさい。とりあえず現在の月日はβ月29日です。

 ……おっとと、こりゃ不良品の「はち」だ。形が変になってしまっている。

 はい、そうですね。期日は今日です。もうボケている期間は少ないわけです。ではようやく本題に戻りまして、バースデイプレゼント、一体何が喜ばれるのか。それを考えるままにチューハイを飲みました。そして活性化しつつある頭で一つの結論にたどり着いたのです。

「やっぱ酒よりも、ジュースのが美味いなぁ。アルコール頭痛くなるわー」

 酒には酒の良さがある。ジュースにはジュースの良さがある。また新たな結論にたどり着いた自分に乾杯フィナーレ。


 そして真のパニックバースデイを向かえてしまった自分に乾杯。

非常にカオスな内容になっている「829~パニックバースデイ~」です。

半分のノンフィクションと半分のフィクションで構成され、+αに自分のワールドをインストールしたら非常にカオスパニックになりました。

物語の内容の通り、これはある人物に贈るバースデイプレゼントです。

コンセプトはもらっても嬉しいような嬉しくないような非常に困るもの。

さて本人がこれに気づくまでに一体何日かかる事になるだろうか。


何がしたいのかよくわからん。

これを見てそう思ったのなら、作者の思惑はばっちり成功です。

理解できたのならニヤリとしてみても良いかもしれません。

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