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「リリアナ、何か不自由はない?」
「大丈夫よ。もう充分過ぎるもの」
レイと話をしてなるべく家の中で過ごそうということになった。
それからというもの、刺繍道具に、色とりどりの花、美味しいおやつ、沢山の本をプレゼントしてくれている。
お陰で家にいて飽きることは全然ないけれど...。
「...私の趣味に付き合わせていて悪いわ。レイが忙しいことはわかっているつもり」
「リリアナ...!僕の心配をしてくれるなんて」
頬を緩ませていた。
もう、大袈裟ね。
私はレイの為に何が出来るのかしら。
来月はレイの誕生日。
いつもの流れとしては、家族みんなでお祝いをして、みんなからのプレゼントをあげていた。
今回は自分の目で見て選びたい。
その為には、街へ出ないといけないのだけど、ルーナやエリオスが何かしてこないとも限らないし。
相談してみようか。
「レイ、少しだけ外へ出たいのだけれど」
「...何か欲しいものがあるの?取り寄せるよ」
「そうじゃなくって、誕生日プレゼントを買いたいの。レイへの...」
「そんな気にしなくてもいいよ」
「...そう」
レイは私の身の安全を思い、言ってくれているのだろう。
でも、何かの形でプレゼントはしたい。
ハンカチに刺繍...はどうかしら。
人へ渡す為に作ったことはないけれど、習ったことがあるから多分大丈夫。
そう決心してから数日間かけてハンカチに刺繍をした。
仕上がりは良い方だと思う。
喜んで貰えるかしら...。
誕生日は来月だから、渡すのはまだ先だ。
そういえば、来月には第二王子の誕生日パーティーがあったはず。
「ねぇ、レイ。サルジャ様の誕生日パーティーには出席するの?」
「王族からの招待状は断れないし、参加するつもり」
「私も参加するわ。王族のパーティーで手を出すことはないだろうし。...レイの婚約者として出たいの」
「リリアナ...」
護衛を複数人付けることとレイの側を離れないことを約束して付いていくことになった。
サルジャ様はレイの大切な親友だし、失礼の無いようにしないと。
ゆったりとした時間を過ごし、遂にパーティー当日。
銀色のドレスに身を包み、ふわりと銀髪を靡かせる。
隣でエスコートをしてくれるレイ。
黒髪から見える、銀色の瞳は優しく温かい。
一週間後はレイの誕生日なのよね。
何事もなく、レイとパーティーを楽しめますようにお願いながら、会場へ入った。