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「婚約破棄について、エリオス殿下、ルーナ様も交えてお話したいと思うのですが、よろしいでしょうか」
「勿論だ。執事長よ、呼んできてくれ」
国王陛下が快く了承してくれたので、エリオスとルーナを待つ。
程なくして、派手に着飾った二人が現れた。
ルーナはこちらを見てにやりと笑い、エリオスに至っては存在を無視されてるようで、私には目もくれない。
「父上、母上何の御用でしょうか」
「私達以外にも挨拶をしろ。リリアナが呼んで欲しいと」
「ご機嫌よう。殿下、ルーナ様」
既に他人なので、様から殿下へと呼び方を変えて頭を下げる。
エリオスはああ、居たのかという表情だ。
本気で気づいていなかったのか?
「ふん、リリアナか。未練がましいな」
はい?
「また、私とルーナとの仲を邪魔するつもりなのだろう!」
「婚約破棄についてお話したいだけです。既に私と殿下の婚約は解消されていますし」
「その通りだ。エリオス、お前という奴は...」
国王陛下の呆れた声。
エリオスは言葉を遮って発言する。
「父上!それならばルーナとの婚約も認めてくださるのですか!?」
「いや、その前にお前の発言が嘘ではないことを証明しろ」
「なぜ私がそのようなことを!」
「そうですわ!殿下のことを信じてくれないのですか」
ルーナも殿下に続いて反論する。
その表情は何処か切実で、疾しいことがあるみたい。
「これは国王である私の命令だ。今すぐ、魔力鑑定を行い、そこの者が真の聖女であることを証明しろ」
ルーナは魔力鑑定を行ったことがないが、聖属性魔法を使っているところを見たことがある。
その為、聖女なのかもしれない。
魔法が使える時と使えない時があったり、節々に不審な点はあるけれど。
「勿論です!その代わりリリアナのことも調べるようにお願いします!」
自信満々なエリオスと反対にルーナは表情を曇らせる。
「いいか?リリアナ」
「はい。それで疑惑が晴れるならば」
「ちょっと、待ってください!今すぐって急です!そもそもどうやって移動をするのですか!?」
ルーナが声を上げる。
国王陛下がパチンと指を鳴らすと教会へと瞬間移動した。
それを見たルーナは目を丸くしている。
エリオスといて、王族が瞬間移動などの高度魔法を扱えることを知らないのね。
うーん、エリオスの魔法量は少ないみたいだし、使えないから隠していたのかも。
「聖女であることを、証明してみせよ」