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大きな黒い靄が私達を覆う。
「リリアナ!大丈夫か!?」
「ええ!私は大丈夫!」
私は聖属性魔法使いで聖女だ。
黒魔法に対抗できるのは、今この場に私しかいないのだから、何とかしなくては。
「...この靄をかき消すわ」
出来なかったらどうしようと手が震える。
それに気付いたのか、レイは優しく手を握ってくれた。
うん、大丈夫...。
「...お願い。靄よ、消えて!」
お願いと目を瞑る。
恐る恐る開くと靄は完全に消え去り、キラキラと光の粒が舞っていた。
「良かった...!」
ふらりと倒れそうになった所をレイに支えられる。
「凄いよ、リリアナ!お陰で助かった」
ルーナの方を見ると、魔力切れか倒れていた。
使用人はまた黒魔法を使われる前に、と持ってきた制御装置を付けている。
気力を振り絞って立つ。
「無理しないで、僕の腕に掴まってて」
「...ありがとう、レイ」
レイは本当に優しい。
「よくやった。リリアナ嬢、後から褒美を受け取ってくれ。今は休むといい」
ヒョイっと私の体が宙に浮く。
レイが腕で抱いてくれているのだ。
「重いわ...!恥ずかしい」
「軽すぎるくらいだよ。リリアナ、可愛い。休憩出来るところへ行こうか。案内してくれ」
案内された休憩室で横になった。
横にはレイが居て手を握っていてくれている。
「レイ、エリオスとルーナはどうなるのかしら...」
「処遇は難しいだろうね...僕は極刑を望むけど。って、リリアナ今はそんな事考えない。ゆっくり寝てていいんだよ」
「そうね...」
目を瞑ると私はいつの間にか眠っていたようで、外を見ると暗い。
「よく寝たわ。レイずっと居てくれたの?」
「そうだね。心配だったから。目を離すとまた何か起こる気がして」
「...ごめんなさい」
元はと言えば私が勝手にレイの側を離れて、見知らぬ令嬢に着いて行ったからこんな事になったんだ。
「リリアナを責めているわけじゃないんだ。...この魔道具を肌身離さず持っていて欲しい」
渡されたのは銀色のチェーンに青い宝石が埋め込まれたネックレスだった。
「防御魔法がかかっているんだ。位置も共有出来て...嫌?」
そんなに凄いものなのね...。
「全然嫌ではないの!レイが私のことを思ってそう言ってくれているのはわかるし、ネックレスも綺麗だし...びっくりしただけ。嬉しいわ」
ネックレスを付けてもらった。
馴染みのない感覚がこそばゆいが、ずっと付けるのだからいずれ慣れるだろう。
「綺麗」
「そうよね、このネックレス本当に綺麗」
「それもだけど、ネックレスを付けたリリアナはより綺麗だ」
そんな言葉を言われて、私は顔が真っ赤になってしまった。
後に話を聞くと、エリオスは廃嫡の上、隣国への強制移送。
ルーナは黒魔法を持っていることから、この国の教会で制御装置を付け、様子をみるそうだ。
教会は外界と遮断されているため、一生中で過ごす事になるだろうと言っていた。
ありがとうございました