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闇魔法についての文献は少ない為、言っていることが本当か判断がつかない。
本当だとしたら私の身が危険だという絶望的な状況。
でも私はまだレイが絶対に助けに来てくれるって信じてる。
だからまたなるべく話を長引かせよう。
ルーナの興味のある話題...。
「エリオスのことが好きなのではなかったの?」
ルーナがぴくりと動くのが分かった。
「好き...?私エリオスのことを...ふふふ、あははははは!」
「...何が可笑しいの」
「貴方ってば、恋や愛なんてくだらないもの信じてるわけ!?笑っちゃう」
「くだらなくないわ」
「くだらない!だって、私が知っている馬鹿な女は恋や愛に騙されて死んでいったの!私は絶対あんな風には、ならないわ!」
馬鹿な女というのは誰のことかは分からないが、エリオスの地位と権力を手に入れる為に好きだと言っていたのがわかった。
「っていうか、そんなことはどうだっていいの!聖女の力奪っちゃうんだから...!」
ルーナの手が私に向かって伸ばされる。
そんな...!
「っ!」
思わず目をつぶった直後、聞きなれた声が聞こえた。
「そこまでだ」
目を開けると、剣先をルーナの首筋にあてるレイの姿があった。
「レイ...!」
「動くな。拘束する」
レイのそばに居たサルジャ様が素早く身柄を拘束した。
「痛いってば!もう!」
ルーナは痛いと訴えるが、サルジャ様は容赦がないようだ。
レイとサルジャ様が来てくれて凄く心強い。
信じていたけれど、監禁されている間不安はあったから。
一体どうやって瞬時にこの場に現れたのだろう。
王族の瞬間移動を使ったのだと思い至った。
「ルーナは闇魔法を持っているかもしれないわ!気をつけて」
「...闇魔法!?」
レイが目を見開く。
「すぐ城へ連れていき、制御装置を付けよう」
サルジャ様がすぐ様、行動に移す。
私達は城へと瞬間移動した。
目の前には国王と王妃がいる。
「...!?状況を伝えるのだ」
「父上、リリアナ嬢を見つけ救出しました!ルーナは闇魔法使いの可能性があるので連れてきました!」
「闇魔法使いだと...!?」
「ええ。なので制御装置をつける許可を」
「今すぐ制御装置をここへ。そしてルーナに付けるのだ!」
このままでは危ないと判断したのだろう。
使用人が慌てて動く。
「はぁ!?てか、拘束解いてよ!痛いんだけど!」
「解くわけないだろ」
サルジャ様が冷静に返した。
「そう…。じゃあ、皆死んじゃえ!!」
大きな黒いもやが発生する。
これは黒魔法だ!