↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
乙女ゲームのラスボスですが、勇者と結婚することになりました。  作者: 一番星キラリ@9/2やられる前に発売:商業ノベル&漫画化進行中


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
60/60

終わり~To the ending~

「オデット!」


 キルとの昼食を終え、せっかくだからとそのまま中庭を散歩していると、シリルの声が聞こえる。

 振り返ると、黄金のサラサラの髪を揺らし、シリルがこちらへと駆けてきた。

 白シャツにサファイアブルーの上衣とズボン、ライトブルーのタイに、ブルーのストライプのベストと、とても爽やかな装いをしている。


「シリル! 会議は?」

「昼食をとりながら、終えた。十五時まで時間があるから、そこで座って話そう」


 中庭は東屋の他に藤棚もあった。その下にはなんと二人乗りの白いブランコベンチがある。プチポワンの可愛らしいクッションも置かれ、そこはなんだかメルヘンな空間だ。


 そこにシリルと並んで座ると……。


「どうした、オデット? 顔が赤いぞ……?」

「いや、その……」

「なんだ、自分に言えないことか?」


 そう言って天色の瞳を私に向けるシリルは……。

 その黄金の髪も相まって、童話に出てくる王子様みたいだ。

 しかも今、大変メルヘンな空間にいる。

 なんだか自分もお姫様になった気分であると、恥ずかしくなりながらも打ち明けると……。


「オデットは元々王女だったから、お姫様だろう。自分が王子様ではなくて申し訳ないが」

「! それは例え話だ。素敵な騎士と姫君のロマンスも、童話では定番だ」

「なるほど。ではこんな感じか」


 そう言うと、シリルは自身がまとうマントをふわりと揺らす。その上で白いブランコベンチに座る私の前に、片膝をついて跪く。さらに実に秀麗な上目遣いで、私を見上げた。


 そして優しく私の手を取り、全力の眩しい程の笑顔を向けたのだ。


 ブランコベンチに背もたれがあったことを、しゅに感謝する。これがなければ私はひっくり返り、転がっていただろう。このシリルの太陽のような笑顔にノックアウトされて。


「オデット姫君。あなたのことを心から愛しています。永遠の忠誠を、あなたに誓いましょう」


 凛とした声でそう告げて、手の甲へキスなんてするから……。


 そんな顔をしてはいかん……と思うが、完全に頬が弛緩してしまい、ニヤニヤが止められない。


「……なるほど。オデットは自分と同じでサバサバしているようだが、こういうのに弱いんだな」


「そんな、そんなことは……ある」


「認めたな。素直でよろしい」


 スッと背筋を伸ばし立ち上がったシリルが、私の頭を優しく撫でる。そして再び私の隣に腰をおろし、コロン原生林、裏門エリアの調査が終わったと教えてくれた。その結果、ヴィレンドレーとその周辺に、魔族の姿は皆無であること。さらに王都への帰還などについて、一通り話を聞かせてくれた。


 その話がひと段落したタイミングで、私は過去の記憶を取り戻したことを話したのだ。


 つまり、十五歳のシリルと出会っていたことを思い出したと。


「そうか。あの日のことを……。自分はオデットのおかげで無事、森を出て、その後……あれは本当に驚いた。強力な魔力を持ち、とんでもない魔術を使えると言っていたが、その通りだと思った。森が消えたからな。自分が戻ると、騎士団のみんなも騒然としていた。とんでもない魔力を持つ魔族がそこにいると分かり、一時撤退も決まったぐらいだ」


 そこでシリルが私を抱き寄せる。


「あの時のオデットはとても凛々しく、ハンサムだった。自分はまだ騎士になり立てのひよっこだ。テキパキと考え、実行にできるオデットには、一目惚れだった。オデットは自身の身分を明かさなかったが、どう見ても高位貴族、王族であろうと分かったからな。必ず見つけ出し、想いを伝えようと決心した」


「男達は皆、人形のように可愛らしい令嬢を、好むのではないのか?」


「そういう令嬢を好む男性は、多いだろうな。だが自分は違う。オデットのような芯があり、行動力のある女性がいい」


 そこでふわっとシリルの唇が重なり、胸がキュンと高鳴る。


「でもそういう強さよりも、魔力が使えなくても、自分で何かできることはないか。気を配り、模索するオデットも素敵に感じた。……結局、自分はオデットにメロメロだから、どんな君でも好きだということだ」


 顔が近い状態でそんな風に囁かれ、体が喜びで震えている。


「それに強い魔力は、悪い奴らに悪用されかねないと、キル殿から聞いている。オデットを危険な目に遭わせるわけにはいかない。ちゃんと……オデットの魔力が減るようにしないと」


 すぐ耳の近くで、そんなことまで囁かれ、もう腰砕けになる。

 私の魔力を減らすということはつまり……。


「王都に戻り、皆の前で盛大な結婚式を挙げてから……と思っていたが。悪者にオデットが狙われたら困る。今晩、早速……」


「シ、シリル!」


 耳にかかるシリルの熱い吐息。

 その上でいろいろと妄想をかきたてる言葉に、意識は吹き飛ぶ寸前だ。


 乙女ゲームのラスボスの女魔王に転生し、まさかの宿敵である勇者に助けられた。ヒロインは別の攻略対象と無事、ゴールイン。生き残ってしまったラスボスの私は、このまま処刑でもされるかと思ったら……。


 まさかの勇者からの溺愛が待っていたなんて!


 前世では気弱な人間だった。でも女魔王に転生したことには意味がある! そう思った。

 そこで前世の私の考え方、女魔王オデットの気質をうまく融合させたところ……。


 シリルは凛とした女魔王としての私を好きになってくれた。

 同時に。

 気を配り、何かできないかと模索する、前世の私の気質も、気に入ってくれたのだ。


 何よりも「どんな君でも好きだ」と言ってくれるシリルが、私も大好きだった。


「オデット」


 私の名を呼んだシリルの胸に、頬を寄せる。

 そんな私をシリルはふわりと包み込み、そしてギュッと抱きしめた――。


 ~ fin. ~

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

ページ下部にイラストリンクバナーで現在更新中の作品を多数ご紹介しています。

よかったらご覧いただけると幸いです!

いくつかピックアップしてご紹介。


【笑えて、ほっこり、ドキドキもあり!】

『婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生!

 でも安心してください。

 軌道修正してハピエンにいたします! 』

https://ncode.syosetu.com/n0824jc/


【のんびり美味しい!男女の恋の悩みも解消】

『転生したらモブだった!

 異世界で恋愛相談カフェを始めました』

https://ncode.syosetu.com/n2871it/


【新感覚なほろ苦く甘い大人の恋】

『わたしにもう一度恋して欲しい

~婚約破棄と断罪を回避した悪役令嬢のその後の物語~ 』

https://ncode.syosetu.com/n4720ix/


ぜひ、スクロールしてバナーを確認くださいませ☆彡

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【一番星キラリの作品を紹介】
作品数が多いため、最新作を中心にバナーを並べています(2025年12月の大掃除で・笑)。 バナーがない作品は、作者マイページタイトルで検索でご覧くださいませ☆彡

●9/2発売●
バナークリックORタップで書報ページ
悪役令嬢はやられる前にやることにした
『悪役令嬢はやられる前にやることにした』

●本編完結●
バナークリックORタップで目次ページ
やらかしてしまったモブ令嬢です
『やらかしてしまったモブ令嬢です 』

●新連載●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢に転生!婚約破棄で推しと家族が闇落ち!回避したいだけなのに
『悪役令嬢に転生!婚約破棄で推しと家族が闇落ち!回避したいだけなのに』

●溺愛は求めていませんよ?●
バナークリックORタップで目次ページ
平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!
『平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!』

●紙書籍&電子のコミカライズ化決定●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~
『悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~ 』

●これぞ究極のざまぁ!?●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢は死ぬことにした
250万PV突破『悪役令嬢は死ぬことにした』

●出版社特設サイトはコチラ●
バナークリックORタップで出版社特設ページへ
婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!
80ページが試し読みできる特設サイトへ
『婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!』


●出版社特設サイト●
バナークリックORタップで出版社特設ページへ
婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!②
『婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!② 』

●もふもふも登場!●
バナークリックORタップで目次ページ
断罪の場で自ら婚約破棄シリーズ
『断罪の場で悪役令嬢は自ら婚約破棄を宣告してみた』
日間恋愛異世界転ランキング3位!

●壮大なざまぁを仕掛けます!●
バナークリックORタップで目次ページ
婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした
『婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした』

●章ごとに読み切り!●
バナークリックORタップで目次ページ
ドアマット悪役令嬢~ドン底まで落ちたらハピエンでした!~
『ドアマット悪役令嬢はざまぁと断罪回避を逆境の中、成功させる~私はいませんでした~』

●宿敵の皇太子をベッドに押し倒し――●
バナークリックORタップで目次ページ
宿敵の純潔を奪いました
『宿敵の純潔を奪いました』

●コミカライズ化も決定●
バナークリックORタップで書報ページへ
断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない
ノベライズは発売中!電子書籍限定書き下ろし付き
『断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない』


●妹の代わりに嫁いだ私は……●
バナークリックORタップで目次ページ
私の白い結婚
『私の白い結婚』

●[四半期]推理(文芸)2位●
バナークリックORタップで目次ページ
悪女転生~父親殺しの毒殺犯にはなりません~
『悪女転生~父親殺しの毒殺犯にはなりません~』

●現実世界の恋愛物語●
バナークリックORタップで目次ページ
せと恋~瀬戸内の夕陽がつなぐ島の恋~
『せと恋~瀬戸内の夕陽がつなぐ島の恋~ 』

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。