なに……?
現状、八方塞がりになっていた。
この状況を打破するために、私の魔力を解放し、炎の魔術を使うことを、叔父であるキルに相談した結果。
キルは二つの問題点を指摘した。
一方で、その問題クリアするために、自身の協力を申し出たのだ。
――「おそらく閾値を超えた魔術の行使で、理性のリミッターが外れる。そこは私が必ず止めて見せるから。だから二人でここに残り、魔王の血筋の魔族として、責任を取ろうじゃないか」
これには驚いたが、その後に言われた「だが果たしてこの作戦を、セインとシリルが許してくれるか、だ」この言葉に、私は動くことになった。時間もないので手短にいきたいところだが、シリルは私の正体を知らない。こちらは難航するかもしれないので、まずはセインと話すことにした。
「オデット様の魔力を解放し、炎の魔術を行使する……? 正体をシリルと魔法使いに明かすのですか!?」
「セイン。魔法使いの名はレウェリンだ。今、私が話した方法以外で、この状況をどうにかできるか?」
セインは考え込む。
「正直に言わせていただくならば。わたしは魔族です。そしてここにいる黒のワームも、黒のギガースも、魔族の魂と交換で召還された者。オデット様を守るため、戦闘を辞さずと動きました。ですが、当初より状況は悪化しています。ならば無理して魔族であるわたしが、魔獣を倒す必要もないのではないでしょうか。オデット様お一人であれば、わたしが抱き上げ、風の魔術でここから離脱できます」
これには私がため息をつくことになる。そしてつい、尋ねていた。
「セイン。あなたは私に仕える騎士団長だった。だからどうしても私の命を最優先で考えてくれるだろう? それは……とても光栄だ。だが、それも、もはや過去のこと。私とセインの間の主従関係は、もうなくなったんだ。私を最優先で考える必要はない」
「……そうですか。もはやオデット様は、わたしの主ではないのですね」
セインはとても寂しそうだが、なぜか嬉しそうだった。
「ならば申し上げます。わたしは、今も昔も。オデット様をただの主とは考えていません」
「なに……?」
「あなたのことを愛しているのです。ずっとお慕いしていました」
これには衝撃的過ぎて、言葉が出ない。
「よって、どうしても。わたしはオデット様をお助けしたいのです。よってあなたを残し、ここから退避するなど、できません」
「ま、待ってくれ!」
「オデット様が、シリルと婚姻関係を結ばれたことは、よく分かっています。ですから決闘を申し込み、あなたを取り戻そうとしたのです」
これにはもうお手上げだった。てっきり主従関係に基づき、セインが行動していると思っていたのに。
だが。
好意を持つというのなら、そこを……今は利用するしかないのではないか?
「そうか。セインがそういう気持ちであったこと。これまで気が付かず、申し訳なかった。……ただ、私を愛するというなら、信じて欲しい」
「オデット様、それはどういう意味ですか?」
「愛している相手のことは、信頼するものではないのか? 私はここにいる黒のワームと黒のギガースを倒し、そして戻るつもりだ。生きて必ず。それを信じて待って欲しい」
これにはセインは、その銀色の瞳に苦悩を浮かべ、黙り込んでしまう。
「この場からオデット様が退避することは?」
「それはできない」
「わたしがオデット様と共に、ここに残ることは?」
「無理だ」
そこでため息をついたセインは……「わかりました。ではわたしが退避するしかないのですね」と言ってくれたが。
「ただし、一つだけ、わたしの我が儘を聞いてください。……もしもなんてことはないと思います。それにオデット様を信頼しないわけではありません。ですが不安なのです」
アイスブルーの髪をサラリと揺らしたセインが尋ねる。
「オデット様のことを、抱きしめてもいいですか?」























































