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30/46

30(第四章完結)

読んでいただきありがとうございます。

第四章はここで完結です。

次回から第五章になります。

龍子(りゅうこ)

 そこにまた小さな小さな龍さんを通じ、雀美(すずみ)先輩から通信が。

 

雀美(すずみ)先輩。あの随分と拳士たちがモンゴル騎兵に負傷させられて逃げてきているんですけど」


「分かっている。正直、龍子(りゅうこ)のところの戦闘員に大敗したばかりのうちの拳士たちに、虎威(とらい)のところのモンゴル騎兵は防ぎきれない。悪いけど龍子(りゅうこ)には、残ったうちの拳士たちをみんな引き取ってもらいたい。虎威(とらい)には預けたくないの」


「それはいいですが」


「ありがとう。その代わりと言ってはなんだけど、雀美()から龍子(りゅうこ)に贈り物をさせてもらう。小龍(しょうりゅう)に映像を映させて」


「はあ、青龍(せいりゅう)、小さな小さな龍さんに映像を映させるって出来るの?」


「出来る。玄武(げんぶ)の小さい蛇も勝手に映すだろうしな」


「よしっ! 最後の拳士が青龍(せいりゅう)の国側に入った。いっくぞー」

 雀美(すずみ)先輩、私の言葉も待たずに叫ぶ。小さな小さな龍さんは開いた口から映像を映し出した。


 ◇◇◇


 朱雀(すざく)はその姿を本来の鳳に変え、雀美(すずみ)先輩を乗せると天高く舞い上がった。


 唖然とした表情で見つめる朱雀(すざく)の国の拳士、民、そして、青龍(せいりゅう)の国の戦闘員たち。


「いくよー。龍子(りゅうこ)雀美()から龍子(りゅうこ)に最後の贈り物だよ」


 その言葉と共に朱雀(すざく)の全身から火の玉が飛び出し、それは朱雀(すざく)の国の王宮を直撃した。


 次の瞬間、王宮は大爆発を起こした。いや、大爆発を起こしたのは王宮だけではない。王宮の周囲の窪地全体が大爆発を起こした。


 当然の大爆発の影響で凄まじい量の粉塵が舞い、しばらくの間、何も見えなかった。ある程度、視界が開けた時に見えた光景は驚くべきものだった。


 王宮とその周囲の窪地が全て崩れ去っていた。早い話が朱雀(すざく)の国の真ん中に大きな渓谷が出来て、白幡(しらはた)先輩の創り上げた白虎(びゃっこ)の国のモンゴル騎兵が占領した西側と私の創り上げた青龍(せいりゅう)の国の戦闘員が進駐した東側を完全に分断してしまったのだ。


「確かにこりゃあ有り難い贈り物だなあ」

 さすがの青龍(せいりゅう)も驚いた様子だ。

「いますぐ青龍()の国の戦闘員が白虎(びゃっこ)の親父の国のモンゴル騎兵とドンパチするのはきつい。だが、これだけでかい渓谷を作ってくれれば、いかに玄武(げんぶ)のじじいの国の工兵でもすぐに渡れるようには出来ない」


「だけど驚いたよ。あの大爆発には」


「ああ青龍()も驚いた。恐らく予め相当な量の爆薬をあの辺一帯に仕込んでいたんだろうな。そして、朱雀(すざく)の火の玉で誘爆する仕掛けにしといたんだ」


「恐れ入りました。雀美(すずみ)先輩。凄く助かります」


 そんな私の声が聞こえたのか。雀美(すずみ)先輩の声がした。

龍子(りゅうこ)。私の贈り物が分かってくれて嬉しいよ。で、朱雀(すざく)も今回の火の玉で力を使い果たしちゃったし、完全に四神大戦(ししんたいせん)からは脱落ね。私と朱雀(すざく)はこれから天上に行く。天上から龍子(りゅうこ)のことを応援しているよ」


小さな小さな龍さんが出してくれた映像を見ると雀美(すずみ)先輩を乗せた朱雀(すざく)はゆっくりと天に向かって昇っていった。

 

 ◇◇◇


 一つ終わった。でも、ホッとしている場合じゃないな。今度は白幡(しらはた)先輩の創り上げた白虎(びゃっこ)の国と境を接することになったし。武哉(たけや)先輩の創り上げた玄武(げんぶ)の国と手を結んでいるようだし、心配ごとは尽きないな。


「でも大丈夫だろ」

 青龍(せいりゅう)はいつもとおりしれっと言う。

「そうは言っても、こうしてみようって考えがあるんだろう。龍子(りゅうこ)は」


「そりゃあ私は私の考えがあるけど、相手は白幡虎威(しらはたとらい)先輩に玄田武哉(げんだたけや)先輩だよ。どんな想像力・創造力・表現力使っているか分かったもんじゃないんだ」


「それでも大丈夫さ。だって龍子(りゅうこ)青龍()が選んだ(つがい)なんだぜ」

 

 くそう。またこういうところでそういう物言いを。ほだされんほだされんぞ。


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― 新着の感想 ―
[一言] 四章完結、お疲れさまです♪ いやいや龍子ちゃん、もうほだされてるじゃないですか(笑)。 いつ素直になれるかな?
[良い点] 四章完結おめでとうございます! 龍子ちゃん、早くほだされろ〜( *´艸`)笑
2024/06/15 08:21 退会済み
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