99 腕のいい解体職人が来てくれたので、解体場を作ったよ。
こんばんは、こんにちは。
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明日の投稿で100話になります。ちょっとうれしいです。
今日もよろしくお願いします!
※魔物参考資料 『魔物図鑑』 作者:龍崎 明様
『ファンタジー初心者用語解説』作者:滝川 海老郎様 他を参考にさせていただいております。ありがとうございます。
夕食の時には、森の様子を教えてくれた。
解体する人を雇った方がいいくらい魔物がいるらしい。困ったね、と話してたんだけど、それならいい人がいるらしい。
ブルックス、いたの?
いましたよ!
「魔物の解体ですが、王城にも何人かおります。その中でも一番の腕前を持つ職人を呼びましょう。魔物の解体が大好きで、新しい素材などいろいろ発見している人物なのです。いかがですか」
いかがですかって、いいのかな?
問題ないらしい。腕はいいんだけど、解体部門のトップに嫌われているらしい。どうやら腕が良すぎて逆に嫌がられてるみたい。だから、ここでと言えば大喜びだろうと言う。まあ、うちはありがたいけど。どこで解体する?
そうですね、と考えてるけど。
じゃあ、作ろうかな。土魔法で作れない?
オニキスはできるだろうと言ってくれる。ただ、床を水で流してもいいようにすること、と言われちゃった。どうするかなぁ。
外の排水がある近くに土台を作る? 木でもいいなら、今日とってきた木を使ってもいいけど。多少の隙間はどうなんだろうね。土魔法って土しかできないのかなぁ。硬い土とか作れるなら、いいんだけど。
それなら床を作る職人を手配してくれるとブルックスは言う。当然、お金はかかるんだけど、床の部分だけ石張りにすればいいそうだ。それとも、ギルドの解体場みたいに、固まる床にするか。固まる床でいいんだけど。
屋根はとってきた木を四方に立てて作ればいいよね。それはクリエイト先生にお願いしようかな。えっと、それなら床もお願いする? うん、それがいいかも。
床の職人さんは必要ないから、と伝えた。
ただ、木を切るのはどうするかな。水の刃で切ってみようか。スライスだよね。ん? それもクリエイト先生にお願いすればいいかな。木はあるから、加工だけだよね。乾燥とスライス。柱も乾燥と形成。うん、大丈夫な気がする。
解体職人さんは大丈夫かなと気になっていれば、今から聞いてくれるらしい。それならいいよね、と任せることにした。
「オニキス、どれくらいのサイズがいいかな。解体場は大きい方がいいでしょ?」
「それはそうであるな。騎士たちの家を作っておろう? その隣であればよいか。いや、匂いで魔物が来るかもしれん。ならば、表の端、西端の塀に沿って建てればよいではないか。多少の木は移動すれば良い」
あそこかぁ。それなら大丈夫かな。二方が塀だし、そうしようかな。
執事に明日、あそこの木を移動して欲しいと頼むことにした。庭師も一人じゃないから大丈夫でしょうよ。ノルにも手伝ってもらおうかな。
ノルは快く引き受けてくれたよ。
森の整理をしてもらわないと、魔物を討ちにも行かれないからね。
フラットとオニキスは、一応森に入るらしい。それなら、あとは魔法でするから、と伝えておいた。
ブルックスによれば、解体職人もそこのトップも大喜びだったらしい。よかった、そういってもらって。
食事を終えて、ブルックスは馬車で戻るという。
明日、その馬車で職人を連れてくるらしい。荷物もあるからそれがいいよね。
じゃあ、ありがとう。
では、明日もよろしくお願いします!
……
ん? 今なんて言った?
明日もよろしく?
おいおい、明日も来るの? 仕事しなよ!
って、さっさと帰っちゃったよ。本当に困ったやつ。
朝の目覚めは最悪だ。
ブルックスの大声で起こされたから。
「ナギ様! おはようございます!」
その声に驚いて飛び起きた俺の隣で、サンはピョンと跳ねた。
誰だ? 最初はわからなかったんだけど。
ドドドドと階段を駆け上がる音で理解した。
ブルックスだ。
ドンドン! とドアが鳴る。そして大声再び。
「ブルックスでございます。解体職人を連れて参りました!」
はいはい、わかったよ。
「わかった、ありがと。でもね、うるさいよブルックス! 下で待っててよ!」
も、申し訳ございません。
ふふ、しぼんだな。
サンと一緒に階段を降りてゆく。
頭の上に乗ったサンは、いや~な雰囲気丸出しですよ。
「おはよう、主。朝から賑やかである」
「驚きましたよ、本当に。もう少し寝たかったのに」
『こいつ、うるさいよ』
『サンもびっくりしたよ~』
はぁ、ブルックスは大バカだね。
「ブルックス、この屋敷は国王様が僕にくれたんだよね?」
はい。
「じゃあさ、なんでこんなに朝早くから押しかけるの? ブルックスに言われたら戸を開けないとでしょ、皆。勝手にきたなら、外で待ってればいいのに。言ったよね、僕。眷属たちに嫌われたら僕は他所に行くって。それでもいいって事だよね?」
とんでもない!
本当に申し訳ございません。
頭は下げるけど、理解できてるのかな?
職人を呼んでもらい鑑定する。どうやら病気かと思うほど魔物の研究が好きらしいね。名前はオッド。
「オッド。君は魔物が大好きみたいだけど、僕たちにとっては食事、そして素材を売って稼ぐ材料なんだ。それでもいいの? 勝手に処分したり好きに切り刻んだりはできないよ?」
当然だと胸を張るけど、信用ならないね。ダメなら返すかな。
「もし、僕の意志に背くなら、いつでも王宮に返すからね、それだけは覚えておいて」
承知しました、と頭を下げる。とりあえず仕事をさせてみようかな。
朝食後、フラットとオニキスは飛び立った。
おやつや果実水はたくさん持たせたよ。それとおにぎりもね。あとは、唐揚げくらいだけど、昼には戻るって聞いたからそれで大丈夫でしょう。
じゃあ、取りかかりますかね。
早朝から庭師たちは頑張ってくれてる。ノルも手伝ってるけどね。当然、当然オッドにも手伝わせてるよ。
俺は俺の仕事をするだけ。
昨日間引いた木は、山のように積み上げられてる。
「お手伝いいたします」
そういうブルックスはうっとうしいね。
『サン、一緒にギルドに行ってきてくれる? 魔物の解体頼んでるからさ。アイテムボックスに入れて戻って』
『いいよ~おうじといっしょ?』
うん、そうだよ。
うえぇ~と聞こえたけど、嫌がってるよね。
今日は馬も連れて来たらしいので、ブルックスに頼むことにした。
「あのさ。ギルドに行って解体できた魔物をもらってきてくれる?」
「あの、私はアイテムボックスは……」
「だから鞄貸してあげるから、サンと一緒に行ってよ。サンはアイテムボックス持ってるしね」
は、はい!
なんだか寂しそうだけど、別にいいよ。
馬に乗ったブルックスにサンが入った鞄をかけさせる。そして、鞍の前に置くように伝えた。
『サン、なにかあったら念話してね。すぐに行くから』
『うん、わかった~、いってくるね、あるじぃ~』
行ってらっしゃい、と送り出した。
やっと静かになった。
じゃあ、やりましょうかね。
解体場の広さは既にオッドと打ち合わせ済みです。
だから柱は十本くらい。そして壁に貼る板がたくさん。ざっくり計算はしたけど。足りないかも。その時はお願いします!
(クリエイト)
ぶわっと光る木材たちは、ガラガラと音を立ててるよ。
光が収まった時には、きれいに整頓されて並んでた。
すごい、きれいに仕上がってるね。
あとは、鉄をとりだして釘をいろいろ作ってもらって、ハンマーも作ってもらう。あとは、釘をいれる腰袋。それと最後に作ってもらったのはミスリルの脚立。二メートルくらいのを二本作ってもらいました。
さて、これでだいたい揃ったよね。
糸は家を建てるときに買ったのがあるはず。垂直や水平はどうやって出すかな。
うーん、ざっくりなら水平器がいいけど、ここにはないんだよね。そうだ、縦は上から下げる振り子にしようかな。じゃあ、と紐の先に鉄の小さい塊をくくりつけた。
それから、脚立を建てて、その間に板を並べる。
簡易足場のできあがり~
とりあえず、塀に沿って柱を立てたいんだけど、まだ子供だから魔法を使うしかないんだよね。楽でいいけど。
土魔法で穴を掘って、その中にガラガラと小石を敷き詰める。踏み固めてから、四角い土台を置いた。土台はクリエイト先生のお世話になりました。
とりあえず、七カ所に柱を立てる。魔法で仮止めして、縦に振子をらたして垂直を出した。うん、思ったよりちゃんとできましたね。大昔のやり方だったけど。
同じように七カ所に柱を立ててから、板で仮止め。今度は横の高さを見ていきますよ~
水平を保つのには、使用人の家を建ててる大工さんにお借りした定規を使う。一カ所決まれば問題ないよ。
それで墨付けをしてから一枚ずつ貼っていった。
柱にぶっつけで板を貼っていきます。それで十分。寝泊まりするんじゃないから。
これで下準備は終わりました。あとは、横に板を貼ってゆく。どんどん貼りましたよ。釘を手で打つのは楽しい。でも、力がないから、剛力を使いました。スキルの無駄遣いかな。
パンパン打ちつけて、前は入り口になるけど、開口部がひろいので、木材でトラスを作ったよ。本当は鉄がいいんだけど。今度はそうしようかな。それまでは、木のトラスで我慢してもらう。
大きなケタをいれて、トラスを組んでゆく。うん、中々の出来ですよ。ここで解体職人が真面目に仕事してくれればいいんだけどね。
片流れの屋根はなんとか組み上がった。
途中からは戻って来たノルが手伝ってくれたから。脚立を作ってて良かったよ。トッドと二人で板を抑えてくれるので、とてもやりやすかった。
その後は、屋根の骨組みだけど、強度を持たせるために、ちゃんと組みました。そのあたりの倉庫よりも丈夫だと思う。壁板も残りの部分を貼りまくった。
屋根の下地材をクリエイト先生に作ってもらってそれを貼った後、鉄をとりだして屋根をクリエイトすることにした。平葺きのトタン屋根を作ろうと思ってる。しっかりイメージをする。水切りなんかもちゃんと考えてます。前側は広めにとってるやねの下には長めに庇をつくりました。
それを全てトタンで仕上げたいのですよ。
(クリエイト)
ぶわっと一気に屋根と庇が光に包まれた。取り出した鉄の塊は見えなくなってるけど、足りたかな。
ひかりが落ち着いた後、出来上がったのは、ブルーのトタン屋根だった。
一部始終を見ていたブルックスは、立ち尽くしている。庭師も驚いてますよ。
よし、これくらいでいいかな。
「ブルックス、トッドを呼んで」
は、はい。
トッドは既にブルックスの後に立ってました、固まってたんだっけ?
「トッド、これくらいの広さでいいかな」
……は、はい!
「地面の高さは?」
……えっと、これくらいで。
わかった~
さっそく考える。十五センチあげて、前の排水に水洗いした汚水を流し込みたい。床は堅いコンクリートみたいなものが良い。内側の端には細い水路をとる。その水も排水へ流したい。
水洗いしたいから、ゴシゴシこするでしょ。
(クリエイト)
ズズッと音がして地面が持ち上がる。当然、その端っこには細い水路ができていった。その状態でも充分固まってるんだけど、表面にコンクリートみたいなコーティングがされて行く。これってすごいね。こうやればプールもできるよね。
半分掘り下げて半分立ち上げれば深さも稼げる。二十五メートルプールとは行かないけど、十分遊べるぞ!
夏はそうしようかな。
全て終わるまで七分で床が出来上がったよ。
鑑定してみても強度的には問題ない。耐用年数は十二年でした。じゃ、俺が二十歳になる前に作り直せばいいんだね。十八歳で作り直そう!
「トッド、これでどうかな。扉はないから置きっぱなしはダメだよ。解体した肉は調理場へ、後の素材は僕に言って」
あ、あああああああ~~~~
なに? こわれたの、トッド?
「あ、ありがとうございます! こんな素晴らしい解体場を作っていただけるとは思っていませんでした。すごいです、本当にすごい!」
よかった、ぶっ壊れたかと思ったよ。
「夏は暑くなると思うんだ。屋根は鉄の板でできてるからね。仕事もしにくいと思う。それまでには天井をつけるかな。断熱しないと暑いし寒いでしょ。まぁ、少しずつ改良していくよ」
はい! と今にも跳び上がりそうだね。
お腹すいた~
思わず本音がでちゃったよ。
じゃあ、お昼食べようかな。オニキスたちはどうするんだろうね。
『あるじぃ~、オニキスおじちゃんたちは、もう少しでもどるって。さきにごはん、たべていいよ~って!』
「わかった。じゃあ、ご飯食べようか」
う~ん、とサンは大喜びで跳ねていった。後をついて歩くのはノルだ。
俺もヘロヘロになりながら付いてゆく。
食卓には、豪華食事が大量に出来上がってる。
いただきます、と三人で食べ始める。
立ったままでいるブルックスを呼んで、食事を勧めれば、心から嬉しそうなんだけど。
ガツガツ食べる。全く止まらないよ~
魔法たくさん使ったからだろうけど、出来上がってよかったよ。脚立は庭師にあげようと思ってる。その方が手入れしやすいしね。
俺たち以上に食べてるのはブルックス。仮にも第一王子なのに、冒険者食いだよ。大丈夫なのかな、こんな風で。弟に譲った方がいいんじゃないの、国王の地位を。まあ、俺には関係ないけど。
読んでいただきありがとうございます。
アホ王子ブルックスはサンにも嫌われてる 笑
よそのお家で朝からドタバタ。家人よりも大食いとか。
信じられないくらいお馬鹿さんですね。
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