88 シルビア国内の迷宮をすべて最下層までクリアしました! 疲れた……
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※魔物参考資料 『魔物図鑑』 作者:龍崎 明様
『ファンタジー初心者用語解説』作者:滝川 海老郎様 他を参考にさせていただいております。ありがとうございます。
「あと、世界樹の葉っぱとかもあったんだけどね。ポーション作るのに使うらしいからおいておこうかなと思ってる。他にはもっとすごいものもあるんだけど売れないものもあるんだ」
売れないもの? と問い返された。
「そう。最下層のノーライフキングがくれたものがあるんだよ。僕たち全員に。だからそれは売れない」
どんなものかと聞かれて、サンを指さす。
「サンがつけてる王冠、見えるでしょ。あれはキングがつけてたものと全く同じのミニチュアなんだ。特殊な方法でつけてるんだけど、絶対に盗まれないようになってる。それに、フラットやオニキス、ノルがつけてるものも同じだよ。僕にはこの杖。今まではリッチの杖を使ってたんだけど、今はこれ。絶対の僕から離れないんだよ」
え? と驚いてる。
引っ張ってみて、とロジックにいえば、俺の背中にくっついてる杖を引っ張るんだけど、全然取れない。
「こういうね、特別なものもあるんだよ。そういえば、ギルマス。迷宮のこと聞かなかったよね。三十数階層までしか確認できてないって言ってたのに。まあ、別にいいけどね。知らないで挑戦する方が本当の実力がわかっていいよ。あ、最下層のボスは替わるから、フィールドの魔物も変わるかも」
変わる?
「うん。変わるよ。僕がキングを天に送ったから。送って欲しいって頼まれたんだよ。天に召されたいって。だからね」
なるほど、と頷いているロジックと商業ギルド会頭の顔が白くなってる。正反対の反応だね。
「あ、あの。せ、世界樹の葉はお売りにならないのですか? 少ない?」
「ううん、えっと二千枚近くあったよね、ノル」
そうだね、と淡々としたものですよ、このひと。まるで秘書ですね!
それなら少し売って欲しいと言うんだけど。かなりの金額だけど?
見せて欲しいというので、一枚出してあげたら、鑑定士が震えだした。いくら? あの……白金貨二百枚です。
あはは、それは無理でしょ。
「素晴らしいですね。王宮でも欲しいですが、陛下と相談致しましょう。それに値する錬金術師がいれば良いのですが」
あ、そっち?
とりあえず、うん、と答えておいたよ。
ではお支払いを、と商業ギルドが言う。
明細を確認するのはノル。
もう、俺の秘書でしょ!
合計金額は、白金貨一千四百八十七枚と金貨五百八枚でしたよ。商業ギルド買取総合計金額は。
そんなに買ったの?
どうやら、短剣、宝石、魔道具が高いらしい。ポーションも数が多かったしね。
ふうん、と受け取った。ポイッとアイテムボックスに入れるだけだから簡単! でも、またお金が増えてしまった……大きな買い物をしなきゃね。
他の迷宮にも入るのかと聞かれたので、とりあえず、全部踏破しますよと言えば、是非、次回は三者でお話を、と言うのでいいよ~と答えておいた。
即決即金っていいよね。もちろん鑑定士はしっかり鑑定してたけど。
笑顔で帰っていったよ、商業ギルド。すごいよね。
『あるじぃ~ごはんは~』
お、そんな時間なの?
時計は既に昼を過ぎている。
これは大変だよ。
準備は整っているらしいので、食べまくった。
料理長のご飯はかなり美味しい。それなら、頼んでもいいかな。次の迷宮に入るまでにどれくらいの料理ができるかわからないから。
問題ないとロジックがいうので、丼系と角煮とかグリルチキン、ローストビーフ、チキンの丸焼きなどを頼んでおいた。
確か迷宮産の魔道具の中にいくつか鞄があったはず、と出してみれば、大型馬車三台分はいって、時間停止のものがあったので、渡しておいた。そのままできあがり次第いれてもらう。熱々が食べたいから。使い方は知ってるらしいので、お願いすれば快く引き受けてくれた。時間があれば、焼き菓子も作りましょうと嬉しい限りだね。
午後からもロジックと話をする。
ただ、オニキスがぐずり始めた。魔物を狩ってくるといってきかない。こうなると、フラットとサンもいくと言うんだよね。
「行ってもいいけど、美味しい肉が食べられるやつにしてね。あと、サンはフラットの鞄の中からでないこと。約束できる?」
絶対出ないと言うので、仕方なく許可した。森にいくらしいけど、日が暮れるまでには戻ること。もっと狩りたいなら明日ね、と約束させた。
行ってきま~す!
うん、嬉しそうに飛んでいったよ。まあ、大丈夫だと思うけどね。
庭から飛び立つときには飛竜くらいだったオニキスだけど、はるか上空では普通の大きさになってたよ。
デザートを食べながら、ロジックと話しをする。
さっきの買取品の金額を書いた明細を見せられた。これはどんでもございませんよ! 合計 白金貨六千八百三十枚ですが。
「あとは、エリクサーとその他でございますが」
う、うん。そうなんだけどね……
エリクサーは何本? ……五百本ほど。
で、いくら位するものなの?
買うとなれば白金貨百枚以上かと……
なんだよそれ!!!
世界が違うんだけど。
魔法薬って言うのもあったけど?
霊薬ですね。
霊薬?
エリクサーと同じもので、飲み薬です。
へえ~ でおいくら?
そうですね、買うとなれば、白金貨八十枚から九十枚かと。
うっ、理解不能……
どうやら迷宮産は二割から三割高めらしい。
鑑定してみたんだ、一応。
<鑑定>
迷宮産エリクサー 買取金額白金貨九十枚 売値白金貨百十枚以上
迷宮産蘇生薬[霊薬] 買取金額白金貨八十枚 売値、白金貨九十枚以上
恐ろしい。怖い。信じられない。
鑑定結果を伝えれば、当然だといいやがったぞロジックは。
他国向けに販売するらしく、王族には飛ぶように売れるんだって。買うやつ、いるんだね。
蘇生薬はできるだけほしいんだと。
千八百くらいはあるよと言えば、計算してみるって。
なんとも信じられない金額ですよね。
うちは、サンが作っちゃうけど、エリクサー……
迷宮産エリクサー 買取金額白金貨九十枚×五百本
迷宮産蘇生薬[霊薬] 買取金額白金貨八十枚×千五百個
以上をご希望ですけど?
これはもはや狂ってるとしか言えません!
すでに予約がかなり入っているらしく、ほとんどがすぐに引き取られるらしい。お金を持って王宮に泊まってる他国の使者までいるんだって。転移の魔道具で持って帰るってよ。死にそうな人がいるんだろうね。
結果、エリクサー五百本で白金貨四万五千枚
蘇生薬千五百個で白金貨十二万枚
以上でございました。
最終的に国のお買い上げ金額は……
白金貨十七万千八百三十枚、でした。
既にわからん。
まあ、ユリアロウズ国の権利売り渡しよりは少ないから、ねぇ。
とても、とても華美な箱に、白金貨十万枚。少し小さな華美な箱に、七万千八百三十枚はいったものをもらいました。
数えることはできませんので、信用するしかないですけど…… いや、鑑定でわかるかな。
ずっと無言だったノルがやっと口を開いたよ。
「訳わからん……」
俺もだよ。
全ての商品を並べてゆく。
確認を終えたものは、魔法鞄に消えていったのです。
そんな感じで苦痛の時間が終わりました。
他の迷宮でもどうぞよろしくお願いします。そう伝言を残したロジックは、ゆっくり休んでくださいと帰っていった。
お前たちのせいで休めてないだろうが!
それからの俺たちは、迷宮を踏破し一ヶ月休むを繰り返す。
その間に冒険者ギルド、商業ギルド、シルビア国とドロップ品とオマケのドロップ品の買取の話しをして、売る、を繰り返した。
とんでもない金を手にしたけれど、ただただ疲れた。
オニキスたち眷属ズは、森にいって魔物狩りを楽しんでご機嫌だよね。
その間に、俺は九歳になり、フラットは五歳、サンは一歳になりました。
ステイタスを確認するのは丸っと忘れてました。
その頃の俺にとっての迷宮は苦でしかなく、もう帰りたいと思ってしまうほどだった。
それでも、一ヶ月経つ頃には、再び迷宮に潜って。
階層の深い迷宮ばかりなので、一度潜ってしまえば半年くらいは出られない。ドロップ品とオマケのドロップ品をアイテムボックスに回収する係に徹した俺は、それ以外では食事の世話ばかりだったね。
何のために迷宮に潜っているのかわからない状態。でもお金だけはとんでもない金額が増えてゆく。
はっきり言って楽しいことはなかった。全く、ね。
ノルは、迷宮の中でも自分の役目を見つけて、爆裂玉を使って活躍していた。
それ以外に俺がやったことと言えば……
ポーションを作ったこと、そして迷宮から出たマジックアイテムを改良して、現代の日本レベルに作り上げたことくらいかな。他にもマジックアイテムはいろいろ作りましたよ。
驚いたことに、ポーションのランクが上がった。
上級であるSランクポーションしか作れなかったんだけど、今は最上級とロイヤル級が作れるようになったんだ。
しばらくはポーションばかり作ってたね。
魔道具もクリエイト先生にお願いしながら、魔法で機能を加えていいものがつくれるようになったかな。当然、いろいろレベルも上がったよ。
それも、昼はドロップ品、おまけのドロップ品を回収するので、夜が俺のお楽しみの時間になりました。
昨日、やっと最後の迷宮、最下層の百六十二階層を踏破できた。
ボス部屋に出てきたのは鬼? だと思う。太い一本角の頭が中央にあり、両側の頭は二本角頭だった。
不気味な頭が三つあり、人型で長い髪を振り乱して暴れまくる凶暴なやつだった。俺の知ってる鬼とは違い、どちらかと言えば『なまはげ』かもしれない。ムキムキの身体に裸足で、大きな棍棒をもって地面を踏みならすのはかなりの圧があった。オニキスも遭遇したことがない魔物だったし、太い棍棒から発せられる雷の威力はすごかった。
雷が地面に届けば大きな穴ができて、まるで大地震のように地面がえぐれるんだもの。最後にはいる場所もなくなりそうだった。でも、雷属性を持つオニキス、フラット、サンが、鬼の全身に雷で穴を開けるほどの攻撃をした。サンの雷ライフル弾のでっかいバージョンみたいにね。雷対決だったんだよ、すごかった。
途中から、サンの氷のライフル弾も身体を撃ち抜き始めて。最後はオニキスのブレスで穴だらけの身体に大きな穴をあけられて倒れた。四十分ほどの死闘の末の勝利だったので、三人は大喜びだった。
こんな魔物もいるんだ、と驚いたから記憶に残っていた。千年以上生きてるオニキスが初めて見た魔物なんていたんだな、と変に感心した。
ドロップ品は極大の魔石、雷属性をもつミスリル鉱石、雷鳴という魔法大剣、太い黒角一本、二本の黒角、黒い二本の短剣と長剣。そして、初めて見る大きさの宝箱だった。
宝箱の中身は、純アンダマイトのでかいインゴット。エリクサーの黒い瓶(絶対に蘇生できる)が二十本、真っ黒の宝石、真っ黒のブレスレット、黒のピアス。そして白金貨や白金のインゴット、金貨などが隙間がないほど詰まっていた。もちろんオマケのドロップ品も全て回収しましたよ。
地上に戻って、倒れ伏すように眠り込んだ俺に、皆が心配して三日間ずっと様子を見てくれてたみない。
本当に申し訳ないな、と感謝の気持ちを伝えた。
オニキスが俺に頼みがあると言う。
何かと思えば、鬼のドロップ品である『雷鳴』という魔法大剣が欲しいと言う。いいよ、とアイテムボックスから出してあげれば、嬉しそうに抜いてみた。
うん、オニキスくらいじゃないとこの大剣は使いこなせないな。他の三人は何もいらないのかと聞けば、別にないらしい。
各迷宮を踏破する度にノルには依頼料というかたちでお金は払っているけど、ここが終わったらしばらくいらないと言ったんだ。欲しい物もないし、着るもの、武器、防具、食事に至るまで世話になってるし、もう金に執着はないんだって。俺もある時を境に、金に執着しなくなったけど。
じゃあ、なくなったら遠慮なく言うと約束してもらって納得したよ。
何とか復活した俺は、その日からドロップ品とオマケのドロップ品の数を確認することに集中した。当然、ノルのお手伝いも必須だった。
安心した眷属ズは、いつものように魔物狩りに行っちゃったので、美味しいお茶とお菓子をとりながら仕事をこなしていった。
今回は、どうしてもシルビア国が欲しい物だけを売ることにした。なぜかといえば、ユリアロウズ国にもチャンスをあげたいからね。ロジックもそれに同意してくれたから。
それでもかなりの金額を買ったけど、この国はどれほど他国へ売るんだよ!
ギルドも向こうにあるし、商業ギルドも待ってるみたいだから。まあ、それ以前の迷宮のドロップ品は、ユリアロウズ国で売る分は、別に確保してますけど。
しばらくこの国には来たくないと思ってしまうほどの期間いた。また来てくれと言うロジック、そして離宮の使用人たちに深く礼をいい、最後の迷宮から戻って一ヶ月後にユリアロウズ国に向かって帰路についた。
読んでいただきありがとうございます。
お疲れ様、ナギ!
少しや休めるかな。
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