86 離宮に滞在することになったのはいいんだけど。のんびり休めないよ~
こんばんは、こんにちは。
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※魔物参考資料 『魔物図鑑』 作者:龍崎 明様
『ファンタジー初心者用語解説』作者:滝川 海老郎様 他を参考にさせていただいております。ありがとうございます。
そこには、でっかいマンションがありましたよ。ええ、マンションといっていい建物ですね。
石造りの建物は、かなりの大きさです。
中に入って案内されるのだけれど、階段を上がるのが辛いね。
どんどん上がって、四階に到着する。ここは客の寝室がある最上階ですね。一番おおきな部屋を開ければ、とんでもない部屋でした。
リビングがあって、その奥には寝室、風呂、トイレなどがあります。クローゼットもありましたが、用がありませんのよ。
隣の部屋は主寝室より少し狭いけど、十分だね。九十度隣りにも同じ部屋がある。オニキスとノルの部屋になりそうだね。フラットは? と聞けば、俺の寝室で一緒に寝るらしい。ならいいけど、なぜ? 広いから普通の姿で寝られると嬉しそうなんだけど。ここに決まりなの?
オニキスは探索したのだろう、頷いた。ただし、使用人の変更ありらしい。
ノルはもちろんオーケーだね。
「じゃあ、宰相殿。使用人の鑑定をしますが、いいですか? あと、食堂とキッチンを見せて欲しいんです」
承知しました、と案内されたのは二階の食堂。調理場もその奥にあるみたい。
使用人は食堂の隅に集まってた。
最初は執事。この人、かなりのプロフェッショナルだよね。次に侍従長。うん、給仕や掃除など邸内に関してはプロだよ、この人も。次に侍従が六人。六人もいるの? まあいいけど。まだ見習いも二人いるね。あとの四人はプロですよ。次は料理長。このひと、冒険者飯の方が得意らしい。人柄も問題ないね。調理人たちも料理長付らしく、しっかり躾けられてるから大丈夫だね。
そして最悪なのは、さっきから俺に向けられてる熱い視線。ノルにも二人が色目を使っている。ノルは全く気にしてないけど。俺はまだ八歳だよ。それでこれなの?
ため息しか出てこない。貴族の娘たちが四人揃ってるんだけどね。役立たずだよね。あとは、御者は問題なかったけどほぼ必要ないと言えば、王宮に移動するのも距離があるからと言われた。まあ、あれば楽かな。あとは馬番と下男だね。庭師はここの庭の手入れをいつもしているらしい。
「宰相殿。あの女の人はいらない。仕事先の、いわば主に対して色目を使う人は嫌だね。僕、八歳ですよ? それにノルにもね。全く気にもしてないけど。何しに来てるんだろうね。得に貴族の娘は絶対にいらないから」
承知しました、と侍女を離宮から追い出した。
さて、どうしますか? 眷属ズは問題ないらしい。ノルもね。
「美味しいものを食べさせてくれるならここでいいそうですけど」
それは問題ありません、と料理長が大きく頷く。
「じゃあ、とりあえず、夕食をお願いします。えっと、僕以外で肉だけでなら二十人前くらいは食べますからよろしく!」
は、はい! と料理長の顔が青くなった。
俺は自室でアイテムボックスの中身を見る。といっても、数の確認だけど。ノルや眷属ズも俺のアイテムボックスにドロップ品を渡してきたので、リストを見ながら書き出すかなと考える。
じゃあ、とノルが書くのを引き受けてくれた。
紙と鉛筆を渡して書いてもらうことにした。俺は読み上げるだけですよ。
角ウサギの角×二百六十五、角ウサギ皮×百八十八、角ウサギ肉×百六十五……
そんな風に延々続いたのだけれど。
かなりの代物があるのがわかった。
アーティファクト級の武器とかもボス部屋から出てきましたからね。魔剣(魔法剣)が八本、聖剣が五本、短剣類は数え切れないほど。普通の長剣もね。ミドルソードも数本ありました。
魔石もたくさんありますが、既によくわかりません。とりあえず、ボス部屋の魔石は全回収ですね。
それとは別に、オマケのドロップ品もあるんだから低級(鑑定中級)ポーションだけでも二千本を超える。中級(鑑定上級)が千六百本、上級(鑑定最上級)が千三百八十九本、最上級(鑑定ロイヤル級)が九百七十一本でした。それに加えてマナポーションが四千二百本、解毒ポーションが千六百四十三本。解呪ポーションが千二百二十本。そしてエリクサー(最高の状態にしてくれる錬金術で作る液体の薬。飲むと不老不死になる。蘇生する可能性もあり)が五百十四本。賢者の石から作られた蘇生薬が千八百七十七人分。そして賢者の石が二千九百六個でした。
おっそろしいんだけど。これだけで一生遊んで暮らせるよ。売るかどうかはわかりません。
あと、ミスリルとか魔鉱石とかの鉱石類、宝石もたくさんあります。
そして魔道具系ですよ。
魔法剣――魔剣と呼ばれるもの含む――魔法銃、魔法の鞄、魔術書グリモワール、照明具、水が出る魔道具、お湯が出る魔道具、水をお湯にする魔道具、コンロの魔道具、着火の魔道具、携帯炉、錬金釜、合成の布、鍵と錠の魔道具、魔導炉の類などなど。
ドラゴンの血もありましたよ。どうやら最上級ポーション製作に必要らしい。
薬草や魔力草などがとってもたくさん。これはおいておきましょう。携帯炉と錬金釜もあったからね。何より、マシンがありますから、俺には。
世界樹の葉もありました。千八百枚以上ですが。聖水・魔力水、精霊水もポーションの材料らしいです。
絶対に売らないのは、ノーライフキングが俺にとくれた『魔法王の杖』ってやつは、鑑定にも持ち主としてナギと出てきます。そして、王様のつけていた王冠。これも売らない。眷属ズとノルに対しての王からのプレゼント。中身はまだ見てないけど。それ以外に現金というかお金がたくさん、白金や金のインゴットなどは出しません。
まあ。それくらいですかね。
素材を全部あげれば大変ことになりますが、肉も美味しいものは残すし、毛皮も柔らかくて手触りのいいものは少し置いておきましょうか。
そう言えば、どうしますかね、この国は。
全てを話せばパニックになると確信しています。
まあ、とりあえず、話しをして見ましょう。どうなるかわわかりませんが。
整理が終わったタイミングで夕食のお知らせがきました。
ご飯だって、といえば全員が立ち上がって、歩き出す。
下へ降りるのに、サンはフラットの頭に乗って、俺は背に乗っている。ノルは歩き、そしてオニキスは小さなドラゴン姿で飛んでいました。
二階の食堂へ入れば、サンはテーブルの上に飛び乗った。オニキスは人化して椅子に座る。それを見た侍従たちは、ポカンと口を開いたままだ。
俺とノルも座って、フラットの為に台を置いてやる。その上には深皿が置かれる。当然、いろいろ山盛りだよ。残りは、それぞれ自由に取り分けるように料理が並んでゆく。サンはフォークを手に持ち待っていますよ。取り分けるのはノルですけどね。
いただきます、と手を合わせてそれぞれが食べ始める。俺の前には白米が置かれた。うれしいよ~と左手に持って肉の煮込みに手をつけた。
うん、美味い!
おもわず叫びましたよ、俺。
ノルも同じで、いろいろ取り分けて深皿を一杯にしている。サンは既にガツガツ食べてますけど。オニキスはそれぞれを山盛りにしてパンを片手に食べてます。フラットは? もう半分以上終わってますね。
そんな風にガツガツ食べます。次々と違う料理が出てくるので楽しいことこの上ない!
興味のある料理のレシピは是非ともゲットしたい!
でかい風呂で泳ぎまくった俺たちは、死んだように眠った。
やはり、迷宮に潜っているときは、毎日が緊張の繰り返しなんだろうね。八歳の癖に疲れるってサラリーマンみたいだよ。
既にフラットとサンはいません。
ノルが連れていってくれたんだろうね。
はぁ、夕べはたくさん食べたし、風呂でガンガン泳いだ。それもあって、ぐっすり眠ることができたんだと思う。
まだ身体はだるいけど。
肉体的にというよりも精神的に疲れてたのかな。
ノーライフキングを天に送った時は、使命感と切なさと贖罪の気持ちがあった。でも、一生忘れないと思う。今度おじいちゃんにメールすることがあれば、頼んでおこう。王様が幸せになれるように。俺みたいに幸せな転生ができるようにって。
そんなことを考えながら、身体の力を抜いた。どうやら、まだ眠りたいらしい。
次に目を開けたのは次の日の朝でした。
とんでもなく眠っていたらしい。
みんなに心配をかけちゃったみたいだね。
ごめんなさい、と頭を下げておいた。
俺たちが迷宮に潜っていたのは、一ヶ月以上だったらしいが、考えられない速さだと言われた。遅いかと思ってたけど、まあ、眷属ズがいるからね。
今は離宮の応接間で、宰相とギルマスを前に座っています。
美味しい昼ご飯を食べて、もう一度寝ようと思ってたら、突撃を食らった。
ノルと眷属ズは、再び街に繰り出そうというので、ノルに革袋を渡した。金貨が二十枚くらいはいってるから大丈夫でしょう。ノルはサンの鞄を提げて背中にオニキスの小さい子を背負って出かけていった。これ乳母車がいるじゃないか。
俺一人残されたので、仕方なく一人で話しを聞くことになったのだ。
「それで、ドロップ品の整理はおわりましたか?」
「まあ、とりあえず終わったよ。で、どうするの?」
「できればギルドと王宮で買い取らせていただきたく思います」
ふん、じゃあどんなものが欲しい?
とりあえず聞いてみた。
ギルドはポーションとか剣、魔道具など冒険者が活動するためのもの。そして各種魔物の魔石、牙、角、皮などの素材らしい。
王宮も同じようなものだった。ただ、防具に使うような素材ではなく、毛皮や宝石、肉など。あと貴金属は全て欲しいといった。おう、そう言えば、結構あったね。でも売れないものも数点あったかな。
二人が欲しいと言ったものの中に、魔道具があった。ふむ。それも要相談だよね。だって、普通のドロップ品にはなかったものね。
「えっとね。ドロップ品の数はとんでもないよ。毛皮とか牙、角なんかは数千単位だし、魔石も見たことがない数だと思う。でも下層のボス部屋の魔石は売らない。大・中・小・極小なら売ってもいいけど。それ以上はだめ。あと宝石もかなり大きいものは無理。貴金属は数点はダメだけど後はいいよ。それと秘密が守れるなら言っておきたい話がある」
二人は顔を見合わせて大きく頷いた。
絶対に守ります!
そう誓ったので、バレたら死んでねといっておいた。
「実はね、僕だけなんだけど。普通のドロップ品とは別に、同じ数だけ別のドロップがあるんだよ。うちの眷属にも見えないんだ。そっちの方が迷宮のドロップ品よりも数段上だよ。グレードも種類もね」
そうなんですか、と疑問符が飛んでる。
「別にいわなくてもわからなかったんだけど、ポーションは二個くらいしか迷宮ではドロップしなかった。他は全部俺の別ドロップなんだ。だから売るにしてもね、考えるじゃない?」
なるほど、と是非売って欲しいと言いますよ、ギルマスが。
「まあ、下級ポーションならいいよ。迷宮で角ウサギに襲われた人につかったらすぐ治ったから、通常売られてる低級ポーションよりもいいものだと思う」
是非! とうるさいんだけど。
じゃあ、リストを作る事にした。迷宮のドロップ品はリスト作りを宰相が手伝ってくれるって。それなら俺が読み上げて宰相が書く。それで話しがついた。
商業ギルドにはいわなくていいのかと聞いて見れば、必要ないです! ということだった。
基本的にはギルドで買取。高額の宝石や貴金属は王宮メインでとなった。おそらくだけど、ギルドには金がそれほど用意できないと思う。値崩れしそうなら他所で売るからと伝えておいた。
じゃあ、出直しますとギルマスは戻っていった。
なぜだか宰相は笑顔でギルマスを見送ってるけど?
ひと休みしたいからとお茶を頼めば、焼き菓子と紅茶が運ばれてきた。
「で、宰相殿はなぜここにいるの?」
「もちろん、明細を作るためです。ナギ様、その『宰相殿』は止めてください。私はナギ様を尊敬申し上げております。なので、どうぞ呼び捨てで」
呼び捨て? 友達みたいに? あはは、それはないだろ。
「無理でしょう。あなたは他国の宰相ですよ? 僕みたいな子供が呼び捨てできる人ではありません。それに、名前は聞いてませんよ?」
えっ?
「いや、最初にあったとき、宰相ですっていいましたよね」
ああぁ~と手のひらを額にべたん、とつけて肩を落としました、宰相殿。
「失礼致しました。てっきり名乗っているとばかり。私は、ロジック・ゴリアード・エルバトと申します。どうぞ、ロジックとお呼びください!」
ロジックか。宰相になるべき名前だよね。
呼び捨てか。まあ、楽でいいかな。
「わかりました。じゃあ、ロジック。今から作るの? 僕はずっと迷宮にいたんだよ。一日眠ったくらいで疲れがとれると?」
「いえ、そうはもうしません。ですが、大体のことも把握して、現物を見せていただき、査定をしなくてはなりませんので」
まあ、理屈はわかるけど。
「そうだね、それが当たり前でしょう。でも、僕が疲れたら明日以降に持ち越しですから。それでもいいですか?」
もちろん! と余裕の表情だよ、この人。
まあ、やりますかね。
「じゃあ、お茶を飲みながらやりましょう」
そう言い、アイテムボックスのリストを開く。あ、このリストを写真に撮って焼き付ける? いや、ダメだね。売らない物もあるし、見られたくないものもあるから。
しかたないか、と事務的に読み上げてゆく。
角ウサギの角×二百六十五、角ウサギ皮×百八十八、角ウサギ肉×百六十五……
その他の素材が山盛り!
ここでロジックが壊れそうになった。
再びお茶で口を潤し、再開したのだが。
魔剣(魔法剣)が八本、聖剣が五本、短剣類は数え切れないほど。普通の長剣が数十本。ミドルソードも数本。
またまたロジックが危険な状態に!
なぜだか今回の復活は早かったよ。
ボス部屋以外の魔石がたくさん……
今度は焼き菓子とお茶を執事に頼んでましたね、ロジック。
本当に面白いよ、この人。嫌いじゃないね。
読んでいただきありがとうございます。
ナギちゃん、お疲れですね。
おっそろしいほどのドロップ品に驚くばかりです。宰相の気持ちもわかるけど、最短で踏破したんだから大変なんだよ。
コメント・評価をいただけると、九龍はとっても頑張れます。
明日もどうぞよろしくお願いします。




