70 ダンジョンの中にも白銀の世界があったよ!
こんばんは、こんにちは。
いつもありがとうございます。
今日もよろしくお願いします!
少し早いけど、ご飯が食べたいという二人のリクエストに応えるために空間に入る。
何がいい? と言えばお肉!
あはは、ある意味簡単だけどね。
「じゃあ、牛丼とかカツ丼はどうかな?」
ほしい~!
はいはい、とテーブルにワイバーンの牛丼とオークキングのロースカツ丼を取り出す。
他国への遠征のとき、人気だったメニューね。
フラット用には、でっかいボウルに三人前を入れてやる。
俺とサンは普通に食べてますが、サンはスプーンで食べるので早いのです! 但し、カツ丼はフォークです!
さっさと牛丼を平らげたフラットは、カツ丼を三人前ご所望です。当然、盛りましたとも!
サンも、遅ればせながら牛丼を二杯食べた後、カツ丼に移行しました。
俺は二人に水を注いで、自分も食べるを繰り返します。
牛丼一人前では少し足りないので、カツ丼に挑戦しました!
結果……
俺はカツ丼を半分残してしまい、フラットに食べてもらいました。
フラットは牛丼、カツ丼を各五人前。サンは各三人前を平らげました。すごいとしか感想はありません。
ゆっくりと焼き菓子を食べながら、優雅にお茶を飲む。
それが理想ですが……
フラットとサンは、焼き型から取り出したそのままがひと口です。種類を変えて三回繰り返しました。
俺は、三等分した焼き菓子をそれぞれ縦に切り分け、食べます。それを二切れ。うん、お腹いっぱい。
のこった焼き菓子を片付けようと思っていたら、二人が仲良く食べてくれました。
あはは、こんな状態で、普通の人なら何日もつのでしょうか。
まあ、楽しそうな食事風景を見るのも癒やしです。
そのために使えるお金はたくさんありますから気になりません。だから楽しくデザートを終え、再び迷宮に戻ることにしたよ。
ここはボス部屋前です。
『ナギ、魔力を』
はいよ!
魔力を通せば大きな扉が開いて行く。
何がいるのかお楽しみ~
スプリガン!?
これは強敵じゃないの。
確か、魔法も使うってきいたけど?
<鑑定>
守護像スプリガン Bランク
遺跡の番人の魔像 嵐属性の魔法使用する
あはは、Bランクかよ。
うーん。スプリガンって強いってきくけど、どうなんだろうね。
「二人ともきいて。あいつはスプリガン。魔像だよ。嵐属性の魔法を使うって。どうやって攻めるかな」
うーん、と二人が考えている。
嵐属性の魔法か。それならサンやフラットでも同じ事ができるかも。でも同じ物を当てても仕方がない。それなら先手をとる方が利口かな。
『先手をとろう。サンと俺が嵐を起こすから、その中に特大の雷落としてくれるかな、フラット』
『うん、わかった』
『がんばるよ、あるじぃ~』
じゃ、やろう!
<複合魔法嵐>
ごうおっと嵐が発生する。それも竜巻みたいに。それにサンが合体させてくれた。
『フラット』
<雷魔法>
バリバリッ!
太い雷が竜巻の上からスプリガンめがけて落とされた。
ドガガガーバリバリバリ!
ゴガァァァァーーー!
『もういっちょ!』
バリバリッ!
ドガガガーバリバリバリ!
おお、すごい。おもいきり光ったぞ。
これでダメなら凍らせるしかないね。
ドドーーーン!
ん? もしかして、やった?
嵐をゆっくりと収めて行く。俺の様子を見て、サンも加減してくれた。
どうやらスプリガンは倒れてるみたいだ。それも真っ黒に焼け焦げてる。
もしかして、終わった?
これ、やっぱり普通の冒険者じゃ無理じゃないかな。スプリガンをどうやって倒すのかは知らないけど。剣で戦うなら、かなりのパワーがなきゃ無理だろうね。そもそも、像って切れるのかな。ハンマーなんかで殴るしかない?
まあ、人間は考えるから、いつか倒す人が出てくるかもね。
気がついたらスプリガンは消えていた。
そして、中くらいの魔石と宝箱がひとつ。中身は長剣だった。ミスリルの長剣みたいだけど、これなかなかの逸品だね。長剣を引き上げれば、隅っこに高級ポーションが入った箱を発見! サンがアイテムボックスに入れた。
ふぅ、と息を吐く。
理解できない相手の時は疲れるね。
魔物の高ランクの方が攻めやすい気がする。
やっとここで二十一階層。
このあと、どこまで続くんだろう。フラットとサンはごきげんだけど。
少し前から、フィールドもボス部屋も強いやつらが出始める。次の階層はどんな場所なんだろう。
少々不安になるんだけど、どうするかな。
でも、まだ時間はある。とりあえず、行ってみるかな、二十二階層へ。
その世界は驚きと共にやってきた。
雪が積もっている。そして周りの山は氷の山。
初めてだ、こういうの。
目の前は真っ白の世界。
白しかない……
南極かよっ!
そこにはいくつもの氷の像がある。
フラットとサンは大喜びで雪の上で飛び跳ねている。それに比べて寒くてたまらないんだけど。これほどの雪とか氷は考えてなかったから。住んでる場所もこれほどじゃないしね。
はやく進まないと、風邪引くか凍死だね。
遊んでいるフラットたちは放っておいて、ずんずん進む。
探索では魔物はいないみたいだね。
ん? 遠見で確認すれば、ウサギみたいな魔物がいるけど。
<鑑定>
ランクD スノーファングラビ 大きな牙が二本生えている。凶暴 食用可能 毛皮 牙はナイフの素材になる
ふうん、それなら狩るかな。
なんかたくさんいるみたいだしね。
氷の世界の魔物は火が弱点っていってたけど。火を使うと毛皮が台無しだよ。じゃあ、指ライフルだね。
<氷魔法指ライフル弾>
バシュッ!
音もなくスノーファングラビが倒れた。うん、イケるね。
これって、対象を絞って狙えないのかな。やってみるしかないよね。
<氷魔法ライフル弾スノーファングラビ限定>
バンバンバン!!!
ブシュシュシュシュッーーーと飛んで行く氷のライフル弾
おお~~~~~
バンバン言わずともどんどん倒れていく! うん、これ最高かも!
『あるじぃ~、どうしたのぉ?』
『ナギ、魔物?』
「うん。スノーファングラビっていうんだって。牙と毛皮がお高いらしいよ。お肉も食べられるらしい。
倒した順番に地面に吸い込まれて行くスノーファングラビをみていれば、ドロップ品がどんどん落ちてくる。
毛皮、牙がおおいみたいだね。時々お肉、みたいな感じ。
それは、フラットとサンがアイテムボックスに回収してくれる。
前をみれば、向こうの方でもドロップ品山盛りだね。
それをみて、駆けてゆくフラットの背にはサンが乗っかってる。かわいいね~
俺は静かにオマケのドロップ品――俺にしか見えないドロップ品――を回収だ。
全く関係ないものがいろいろありそう。牙でできた短剣もあるよ。それにお肉。これはグレードが上みたい。あとは、内臓からつくられるポーションもあった。状態異常にきくらしい。
フラットたちは別の魔物に相対している。
あれはなに?
鶏みたいだけど、白いんだよね~それにデカい! ジャイアントって付いてたからデカいんだろうね。フラットの近くまで行けば、かなりデカイ。フラットよりは小さいけど、一メートルは軽く超えてるよ。
目的はお肉!
ふふふ、肉、肉、肉~ これはサンの声だね。
ビシバシ倒してるから俺は必要ないだろう。まあ、かなりの数がいるみたいだ。
その奥を探索すれば、これはやばいかもしれんぞ! 真っ白なグリズリーだ!
なんだか一気にサイズアップした気がするんだけど……
<鑑定>
ランクC ジャイアントスノーグリズリー 雪ダンジョンのクマ。肉は美味 毛皮は高額で買い取りされる
ほほぉ~、これは確実にゲットだね。肉が出ればいいんだけど。
当然、全部狩りますとも!
振り返れば、そろそろフラットたちが終わりそうだ。
『二人とも、前にデカいクマがいる。真っ白いクマだよ。お肉が美味しいみたいだから狩るよ!」
りょうか~い!
二人の声が聞こえたので、氷刃で狩ることにした。
<氷刃>
シュバッ!
コロンとジャイアントスノーグリズリーの首が落ちる。狩り方に拘る必要はないからね。ドロップするから気にしない~
俺の狩方を見習うように二人も魔法で狩ってゆく。
それをみて、振り返ればオマケも含めてドロップ品が見えたので全てを魔法で回収した。
フラットたちは楽しそうに狩ってるんだけど、これって褒めていいこと?
まあ、いいか。
こいつらが終わればボス部屋だしね。
広いと思ってた雪と氷の世界はあっという間に終わりそうだ。魔物がいなきゃつまらないけど、いたら狩るのみ!
だから時間がたつのがはやいね。
かれこれ二時間近く狩ってるんだけど。
それから四十分でジャイアントスノークリズリーは雪原からいなくなった。
あはは、すごいね、これ。
二人は寒くないのかな? 問題なさそうだけど、俺が一番問題だ。寒くて仕方がない。これは安全エリアでクリエイト先生のお世話になろう。
ドロップ品を回収して、おまけのドロップ品も回収した。
「ねえ、僕寒くてたまらないんだけど、安全エリアに行きたい」
『ナギ! 大変だ。僕に乗って!』
ありがとう、とフラットの背に這い上がった。
でもね、フラット。乗っけてもらえるのはありがたいんだけど、風をきって走ったら、余計に寒いよ~
すぐに安全エリアに入って、結界を張ってくれた。
ふぅ、と大きく息を吐く。
(クリエイト)
ぶわっと光ったと思ったら、ダウンジャケットがあった。そして薄手の綿入りズボン。慌ててそれを身に着けて、ジャケットを着る。
温かいものが飲みたいなと呟けば、フラットが空間を開いてくれた。
ベッドに座って毛布をかぶった俺に、サンが紅茶を入れてくれるみたい。
お湯が湧いたことで家の中は暖かくなる。
『あるじぃ~、これ、のんで』
ありがとう、とカップを両手で持って口に運んだ。
あ~、温かい。
熱いのでゆっくり飲み勧めてる。すごくありがたいよ、サン。
フラットも寄り添ってくれてるんだ。
紅茶のおかわりをして少し落ち着いた。
「ありがとう、ふたりとも。簡単に考えてた。迷惑かけてごめん」
『気にしないで。僕たちも気づかなかった、ごめんなさい』
『あるじぃ~、ごめんね』
大丈夫だよ、と大活躍だった二人を抱きしめる。
それよりもサンはこんなことまでできるんだ、と関心した。
『お風呂に入ろう。身体を温めて、美味しいご飯食べて寝よう?』
うん、それがいいね。
フラットが出ていった。ということはお風呂の準備をしてくれるんだろうね。
サンは膝の上に乗って心配そうに見上げている。
大丈夫だから、といえばプルプル震えて嬉しそうだ。
『お風呂入れるよ~』
おお、助かるね。
とりあえず、二人をクリーンして先にお風呂に追いやった。
俺は服を脱がなきゃだからね。温かいダウンジャケットは脱ぎたくないけど、ここはフラットの空間の中。温度は一定なので大丈夫なのです。
自分にクリーンをかけた俺も風呂に入る。
ああ~っと声がでちゃったよ、恥ずかしい。おっさん丸出しだね。
足先や指先がチカチカする。あまりに冷えすぎてたんだろう。でもすぐに温まってきた。
少し温度を上げてくれたから気持ちがいい。
二人を洗おうかといえば、クリーンをかけてくれたから大丈夫、と返ってくる。まあ、それは俺もだね。
しばらく首まで湯に使っていれば、子犬姿のフラットとサンはプカプカ浮かんで遊んでいた。
『ナギ、寝ちゃだめだよ。ここはお風呂だから』
『あるじぃ、もうでる?』
え? 俺寝ちゃってた?
慌てて二人を拭き上げて、外に出した。俺も急いで身体を拭いて服を着る。長い髪は新しいタオルでくるりと巻いた。
三人で風魔法をまとって身体や髪を乾かしてるんだけど、なかなかおもしろい姿だね。
次はご飯。
夕食は何を食べようかと考える。
「ねえ、何が食べたい?」
『んっとね、お肉~』
『僕もお肉がいい』
了解!
まあ、予想通りだけど。何を出そうかなと考えてるんだけど。ステーキばっかりになっちゃうからなぁ。じゃあ、ショウガ焼きかな。
フラットとサンは大きなボウルに白米です。俺は一人前だね。大きな皿に葉野菜のサラダを盛り付け、コロッケとかポテトサラダ、ひと口ヒレカツ等を盛り付けて、スープを取り出した。
いただきます!
三人でガツガツ食らう。
うん、うまい!
『おいしいね~、あるじ~』
『いつもどおり美味しい!』
ありがと。と礼を言った途端、おかわりコールがありました!
あははは。何人前食べると聞けば、さっきと同じだとさ。笑っちゃいけないと二人のお皿に多めの各三人前を入れた。
今度からは、最初から三人前くらい入れて作っておこう。
ひとしきり食べまくった俺たちは、お腹をなでながらデザートに突入する勢いだ。
俺は紅茶。二人は果実水がいいらしい。
お菓子は?
チーズケーキ!
はいはい。じゃあ、と一人ワンホール出してやれば大喜びだ。
俺はカット済みのチーズケーキにしましたよ。
満腹になったんだろう、二人は眠そうにしてる。
「もうベッドで寝たほうがいいよ。明日はボス部屋だし。だんだん魔物が強くなってる気がするから、どんなやつが出てくるかわからない。だから、早く寝て明日も元気に頑張ろうね」
う~ん、と二人はベッドへと向かった。
さて。片付けますか。
すべての食器をクリーンして、二人の食事もいつまでもボウルというわけには行かないから、今度どこかで良い器があったら買っておこう。そう決めて、食器棚に片付けてからベッドに向かった。
読んでいただきありがとうございます。
真っ白な世界って、きれいですが、とにかく寒い。
私は苦手です。かなり雪がふるんですよ、我が家には。なので、きれいだけど寒いというのか理解できますね~
コメント・評価をいただけると、九龍はとっても頑張れます。
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