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61 オニキスの威厳は地に落ちたけど、国民に対しては本気だったね。

こんばんは、こんにちは。

いつもありがとうございます。

お菓子で地に落ちたオニキスの威厳です。

今日もよろしくお願いします!


 侯爵家にもいましたね、王族からのお嫁さんが。あまり前に遡ることはしないけど、何代も王族と繋がってるのはいらないな。

 二人の公爵とひとりの伯爵を指さして、メルトとノル、騎士団長に異動してもらった。

「オニキス。国王と同じ場所にいるのは王族の遠戚に当たるやつらだよ。じゃ、次は貴族たちの人となりを鑑定だね」

 順番に鑑定して行くけど、下級貴族は努力家が多いね。ん? あの人、いい人だ。

「えっとその人。ヒューレット士爵、こっちに来て」

 手招きすれば、ゆっくりと歩いてくる。

「ねえ、あなたは正直な人だね。国王がかわったらどうする?」

「別にかわりませんが。国王陛下より賜った役目を果たすのみでございます」

 うん、やっぱりいい人じゃないか。

「士爵は何が得意なの?」

「……どちらかと言えば文官よりでしょうか。ですが、私は農作物の研究をしております。残念ながら領地がありませんので、屋敷の庭で少しずつ良い作物にできないかと日々研究をしておりますので。今まで通りかと」

 なるほどね、とブーゲリアをみれば、キラキラした眼でヒューレット士爵をみていた。

「じゃあ、ブーゲリア、この人は使えるね」

 そうですね、と嬉しそう。

 他にはいないかな?


 えっとあの騎士爵も何かあるね。えっと……

 面白いね。騎士爵だけど、一代限りの爵位だから、この人の代でなにもなしえなかったら爵位はなくなる。鉱石の研究家だ。でも人間的にはイマイチだ。根暗だよ、こいつ。まあ、鉱石についてのことは必要ないかな。

 あとはそこそこの人ばかりだ。ただ一人。伯爵でヤバイやつがいる。こいつはダメでしょう。裏で奴隷取引してるし。

「あの、そこの伯爵。こっちへ来てくれるかな」

 ムカついた顔でやってきたよ。やなやつだな。

「なんだ。早く言え」

「わかったよ。あなた、いやお前! 裏で奴隷取引してるだろ! 金がそんなに欲しいか! それなら地道に領地経営でもすればいいだろ。人を売り買いして他国に流すなんて、信じられない!」

「そ、そんなことは。知らない! 全く知らない事だ!」

 ふうん、しらばっくれるんだね。

「フラット! メルトを乗せて、ブロウ商会っていう豪商へ行って。メルトはブロウっていう商人を連れて来て。この伯爵の取引相手だから。表は普通の商会だけど、裏では大奴隷商だよ」

「何! それは許せないな。じゃあ行ってくる」

「ちょっとまって! そこの男爵! そうフルレット男爵。あなた、正義感が強いし腕も確かだね。一緒に行って。まだ国民は国が落ちたなんて知らないから。貴族の力で連れてきてよ。豪商は空間に入れればいいから」

 フラットは身体を低くして待っててくれる。俺の鞍にメルトが乗って、男爵はその後に乗った。

 ふわりと浮いたフラットは、ゴウッと外に飛び出していった。

「ねえ、伯爵。これではっきりするよね。お前も一緒に処罰を受けろ。ノル、こいつも拘束して」 

 了解、とノルは慣れた手つきで拘束した後、王族たちの近くに引っ張っていった。

「いやはや。ナギ様の手腕は想像以上ですね。私たちも身を正さなければ」

 騎士団長は真面目だね。

『あるじぃ~おやつがたべたいの~』

「あはは、サンはおやつか? じゃあ何か食べる?」

 ピョンピョン跳ぶサンをなだめてテーブルセットを取り出す。テーブルの上に陣取るサンの前に焼き菓子の固まりを置いてやった。そして温かい紅茶もね。

 それを見ていたオニキスも欲しがる。威厳はなくなったよ~

 まあ、いいか。

 同じように取り出して食べさせた。


「残りの貴族たちはいかがでしょうか」

 ブーゲリアは気になるよね。

 じゃあ、書きましょうか。

 それぞれの貴族の鑑定結果を書き記して行く。

 全員の分となればなかりになるな、と嫌になってきた。それならやってみたいことがある。


(クリエイト)


 うん、念写とかができる魔法を作りました。クリエイト先生、さすがです。

 じゃあ、とそれぞれの鑑定結果を羊皮紙に念写して行く


<念写>


 次々出来上がって行く鑑定結果をみて、ブーゲリアとさっきのヒューレット士爵は固まっている。横に立ってた騎士団長も固まっちゃったよ。


 全ての念写が終わった後、それをコピーして行く。

 何枚くらいあればいいかと聞けば、それぞれ五枚ずつ欲しいというので、コピー連発だ。


<各五枚コピー>


 次々コピーされて行くので、それをまとめるのは、ヒューレット士爵と文官たちの仕事になってますよ。

 僕も一部欲しいなと言えば、もちろんですと返ってくる。最初から数に入ってたんだね~


 鑑定書類が出来上がる頃、フラットが戻って来た。

 メルトとフルレット男爵が降りた後、開いた空間から出てきたのはでっぷり太ったおじさんだ。

「こ、ここは? あ、伯爵様! どういうことでしょうか?」

「き、貴様は誰だ! 貴様など知らぬ!」

「なにを言ってるんですか? ……おそらくですが伯爵様が糾弾されているのでしょうな。ですが、この後に及んで私一人のせいにするなど許せませんな! 私と伯爵は二人で闇奴隷商をしておりました! 間違いございませんが、話しを持って来たのは伯爵様です! 私はそれに人員と運搬を請け負って、場所を提供しただけでございます! その証拠に、取り分は伯爵様が六割、私が四割でした。裏帳簿が私のベッド下にある木箱に入っております!」

 こ、この、裏切り者! 

 ああ、煩いよ、こいつらは。

「じゃあ、伯爵はここで拘束だね。このおじさんは牢に入れて欲しい。あとはブーゲリアに任せるよ。男爵、騎士たちを数人連れて牢まで連れて行ってくれるかな」

 御意! だって。おかしいよね、それ。


 フラットもおやつを食べ始めたので、ここに残すことにする。

 捕まえた貴族たちの資産没収。それは男爵が戻ったら、騎士団を連れて向かってもらうことにした。没収資産はとりあえず、預かることにする。フラットに同行してもらってアイテムボックスに回収することにした。ノルも一緒に向かったよ。

 

 メルトは騎士団長と一緒に王宮の職員を全員、大広間という名のパーティールームに集めてもらうことにした。

 拘束したやつらはその場で結界に入れる。

 貴族たちは、どうしようかと考えた。

「ブーゲリア、他の貴族たちはどうする? 領地とかの事もあるし、ユリアロウズ国としては、貴族じゃないでしょ?」

「そうですね。今一度精査した方がよろしいかと思われます」

 そうだよね。

「えっとね。残ってる貴族の人たち。マントール国はなくなりましたので、あなたたちは現状では貴族じゃないです。領地のことも再考の余地があると考えています。大人しくこれからの身の振り方を考えるも良し、この国から出て行くも良しです。元マントール国の統治はユリアロウズ国に任せますので、ユリアロウズ国の貴族になると決めているのは、ヒューレットとフルレットだけ。それ以外はどれくらい役に立つかで決まると思います。当然、今回の事でユリアロウズ国の貴族も再考するでしょうが、おそらく問題はないでしょう。皆、謙虚で節約家だと思いますので。一部を除いてですが」

 え? 

 あはは、ブーゲリアがこっちを見たね。

 後で話そうか、と言えば御意、と返ってくるんだけど。おかしいよそれ!



 大広間に集められた使用人たちは不安そうだ。

 そうだ! 忘れてた。

「騎士団長。後宮に行って。騎士たちとメルトを連れてね。国王の家族、側室の皆を拘束して。子供たちはどうするかはわからないけど、それはオニキスが決めることだから。とりあえず、広間にでも拘束ね。侍女たちはここへ」

 御意、とメルトと外に出て行った。


 じゃあ、鑑定するね。

 ここの人たちは、ダメな人だけ俺が言うことにした。その人たちは首ですね。

 えっと、俺が歩きはじめると自然と道が開ける。そこには、マントール国騎士団長と副団長、そして騎士たちがいた。なぜここにいるかというと、鑑定の結果、問題ない人物たちだったから。国に対しての忠誠心も厚く、こうなった場合でも、次の国王に仕えると決めてる人たちばかりだった。だから働いてもらってるんだよ。


 俺が指さした人は、集団の中なら引き出される。

 これくらいの鑑定なら早いね。

 サンはどうしてるかと思えば、マントール国騎士団長の肩に乗っかって俺を見ていたよ。すごい、騎士団長を手なずけてるし。

 順番に鑑定していれば、後宮で働いていたのだろう、侍女たちがたくさんやって来た。最後になるから待っててね。

 使用人たちの中にはそれほど悪い人はいなかった。それでも数人はいましたよ。

 料理長たち調理場の人たちは全く問題ない。考え方はプロだ。

 執事たち侍従たちは問題ない。侍女の中に、はじかれた数人がいただけ。

 あと、後宮からやってきた侍女たちは、それぞれ派閥があったみたいで、それに深く加担してた人たちは指さした。今まで我慢して来た人たちは残すよ。

 あとは、侍女長はダメだね。王妃の子分みたいな人。当然ダメでしょ。


 一時間ほどで鑑定が終わった。

「料理長。食事はできますか? ナギ様たちの御食事ですが」

「はい。既に準備は整っておりますが、通常と同じでよろしいでしょうか?」

「うーん。僕たちは冒険者だからね。貴族のご飯はいらないんだ。だから大皿に料理を盛ってくれたらいいよ。それと、僕の眷属たちは肉が大好きなんだ。だから肉をたくさんね」

 御意、と料理長まで言うんだ。

 さっそく、と調理場へ行ったけど、ご飯作ってくれるんだね。うれしいな~楽しみだよ。


 そのうちにフラットが戻って来た。

 私財をどうするのかと聞かれたので、後でブーゲリアと話すからと伝えておく。

 それじゃあ、と使用人たちは仕事に戻って行った。

 当然のようにいろいろ説明させられたけどね。

 

 後宮の制圧も終わったらしい。 

 そこでオニキスとの話になる。

『どうする、オニキス。どこで処罰するの?』

『うむ。この国の処刑場はあるのか?』

 あるの? と聞けばヒューレット士爵が答えてくれる。

 通常、処刑する場合は、処刑台を作るそうだ。その前にさらす場合もあるらしいけど、その必要はないと思う。

 ただ、オニキスの役目を果たすだけなら、どこでも同じことでしょう。

 じゃあ、とりあえず、オニキスが国民に伝えることにした。

『我はドラゴンである。マントール国の王族を罰するために参った。ただいまを持ってマントール国は消滅するものである。王族は我自ら処刑致す。なお、現在この国の主権は、我が主ナギ様にあるが、国の統治はユリアロウズ国に任されることになる。故に多少の変化はあるが、国民たちは変わらず暮らして行くが良い。本来ならば、国全体を滅するつもりであったが、主の思いに沿って、我も堪えることにした。国民たちも感謝をもって生きるが良い。それができぬならば、我は再び来国いたし、全てを滅する。忘れるな!』

 あれ、打ち合わせと違うじゃん。最後のフレーズはオニキスの本気だということだろうね。

 それだけ言ったオニキスは、上空に向けてものすごいブレスを吐いた。

 おっそろしい幅でおっそろしい高さまで届いたブレスは、しばらく続いたけど、収まったよ。これ、脅しでしょうよ。でも気持ちはわかるから。俺の為に我慢してくれたんだ、オニキスは。


 明日の朝、王族たちの処刑が決まった。

 後宮の者たち含めて、大きな結界を張り、ブレスで焼き尽くすそうだ。

 俺は見たくないから、フラットやメルトたちに立ち会ってもらうことにした。当然ブーゲリア、ヒューレット、フルレットも一緒にね。

 


 時間は既に八時近い。

 お腹すいた、と今は食堂で食事中です。

 既にヒューレットとフルレットも同席してるよ。もちろん、騎士団長たちもね。

 俺の希望通り、大皿料理がデデンと置かれている。

 ちょっとおしゃれなしつらえだけど、美味い!

 味は最高級だね。

 

 ひとしきり食事をした後、俺はブーゲリアたちと執務室で話すことにした。まだメルトもノルも眷属たちも食べてるから、放っておく事にした。

 騎士団長たちは俺の後に立ってるけどね。

「では、ナギ様。いくつかお伺いしたいことがございます」

 いいよ~

「ユリアロウズ国の貴族についてですが」

 あ、そっち?

「えっとね。他の貴族は知らないけど、辺境伯は変えた方がいいかな。あのままじゃ辺境は栄えないでしょ。あの街はとてもいい街だよ。もっと大きくなるはず。でも、辺境伯は皆に慕われているけど、物足りないと思う。僕をミノタウロスの穴に突き落とした騎士のことも、ギルマスが話してくれなきゃ、知らん顔だったね。それに対しての処分を聞かされただけ。それに国からの褒賞金のことも使い方が変だよ。冒険者たちを優遇してくれるのはありがたいけど、変な依頼ばかり」

 なるほど、とメモを取ってた文官が詳細を知りたそうだ。

「迷宮の調査もあれほどの人数は必要なかったんだ。結局、最後までいけたのは俺とフラットとサン、メルト、ノルだけだし。ぞろぞろ引き連れて行くのは大変だよ。それに食事のことまで頼まれてもね。僕個人としては得られたものは大きかった。サンもオニキスも迷宮で出会ったからね。でも、それ以外は嫌な思いもたくさんした。だからお金かけるところが変だよね」

 そうですか、と唸ってるよ、ブーゲリア。

 

 それで、ユリアロウズ国の国王と宰相の希望を伝えると話すんだけど、俺に関係があること?

「ナギ様は国家にとって必要なお方です。表向きはユリアロウズ国が統治致しますが、マントール国はナギ様のもの。ですので、ご用のおりにはいつでもいらしていただきたいと。もちろん、ここの料理長の料理も気に入っていただけたなら、いつでもお越しいただいて結構ですし、焼き菓子もご用意致しましょう。それに紅茶もです。迷宮のことも、本来ならナギ様のもの。いつでもお戻りいただいてかまいません。それだけはお伝えするように言われておりますので」

 ふうん。そういうことね。

「ありがとう。じゃあ、せいぜい美味しいものを食べさせてもらうよ。ここにも、僕の知ってる商会があるはずなんだ。いつかそこにも行ってみたいし。でもね、この国を引き渡したら、別の国にも行きたいんだ。他の迷宮に行ってみたい。だから行ったり来たりになるかな。家も買ったから街にも戻りたいし、ギルドの依頼も受けたいんだけど。街が小さいから依頼の数もすくないんだ。だから発展して欲しい」

 そうですね、と頷いてくれるんだけど、頼むよ~


 他にもいくつか聞かれた。

 明日には鉱脈に行ってみると伝えておく。

 そして悪徳貴族の私財について。

「それはナギ様のものでしょう。まだ引き渡しは完全に終わっておりませんし、暴いたのもナギ様です」

 うーん、でもなぁ。

「フラットのアイテムボックスにあるけど、明日でもみてみるよ。大きな絵とか鎧とかあっても仕方がないし。王宮の宝物庫は欲しい物はもらったよ。でもでっかい絵やこの国のマークが入ったもの、華美な鎧なんかはおいてある。かなりのお金になると思うけどね。それと、国王の私財も一応もらってきた。同じようにいらないものは置いてあるから調べてね」

 承知致しました、とそれからは、ヒューレットとフルレットについて話す。

 二人は、貴族として取り立てるそうだ。もちろん爵位は上がるよ。

 仕事は王宮でしてもらうんだね。

 ブーゲリアの補佐としては十分だね。二人いれば文武どちらも安心できるでしょ。


読んでいただきありがとうございます。


どうも、ナギが仕切ってますよね、新しい領地。

その方がスムーズだし、いいでしょうね。


コメント・評価をいただけると、九龍はとっても頑張れます。

明日もどうぞよろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] うん? ムーンの方の『魔法使い……』と似た様な流れwww でも、面白いから良いのだぁ~w
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