60 魔法使いは凍結しちゃった。あとは王族貴族だね。
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さて。
現在、マントール国の王宮上空です。
『主。これからどうするのだ。王宮に攻め込むか?』
それですよ、オニキスさん。
『一気に攻め込むかな。騎士団はどんな感じ? 魔法使いはどこにいるんだろうね』
『魔法使いはあの塔の中にたくさんおるな。騎士団はあっちで訓練中か』
ふうん、じゃあ、王宮へ行こうかな? そうだ、騎士団を確認してみるかな。この書類を確認すれば、おおよその人数がわかるよね。
ふむふむ。王宮の騎士団は二百人くらいだね。少し少ない気がするけど。まあ、聞けばわかるかな。
『オニキスは、あのバルコニーの前に降りて。そこでメルトとノルを下ろしてほしい。騎士たちの攻撃くらいなら問題ない?』
『うむ。全く問題ないが。主たちはどうするのだ』
『フラットにバルコニーに降りてもらう。その時にバルコニー側の窓とか扉とかをぶっ壊して。そこから中に入るから。フラットそれでいい?』
『りょーかいだよ。僕はこのまま中に入ればいいんでしょ?』
『国王はどこにいるか、誰かわかる?』
『うむ。バルコニーから入った広間の奥にある執務室だな』
おお、すごいよ、オニキス!
じゃあ、行くよ~
ドドドーーーン!
あはは、派手だね~
オニキスがバルコニーの前に降り立った。
メルトとノルは首と顔を伝って降りてるよ。
フラットは既にバルコニーにいるけど。
二人とも避けて! オニキスぶっ壊して~
承知した、とオニキスがブレスを細くぶちかます。
アッツ!
このブレスって、むっちゃ怖いじゃない! 人なら溶けるよね。
あ、中は大騒ぎだね。じゃあ、行くよ、フラット。
は~い、と間の抜けた声が聞こえて、メルトとノルは剣を抜いてフラットの側を中に入った。
「な、何者!」
「僕はナギで~す。まだ子供だけど冒険者だよ」
な、ぎ?
どうやら覚えがあるようだね。
「魔法使いたちを呼べ! 急げー!」
慌てても遅いでしょうよ。
お邪魔しま~す。
フラットはのっしのっしと歩いている。
「余計なことはしない方がいいよ。見えるでしょ、外にドラゴンがいるからね。さっきのブレス、浴びたいならいいけど」
『ナギ、この壁の向こうにいるよ』
じゃあ、壊しちゃうかな。
『僕がやるー』
フラット、楽しんでるね。
シュバッと飛んでいったのは、かなり大きな風の刃だ。
シャキーン! と壁を真横に切っちゃったよ?
『あるじぃ~サンもやりたい~』
いいよ、やってみて。
ジュババッと飛んでいったのは、分厚い氷の刃。フラットが切った壁をジグザグに切り裂いた。
ガラガラと壁が崩れてしまったんだけど。
キョトンとこちらを見る贅沢な服のおっさんがいる。隣りには宰相だろうか、ひょろ長い男が立っていた。
「お前は誰だ! なぜこのような輩がここにいるのだ! 誰か!誰かー!」
うろたえてるよね、宰相殿?
ずいっと前に出たメルトとノルは、国王の側へと歩いて行く。さて、俺も降りるかな。
『フラット。ブーゲリアたちをあっちの広間に出して。騎士たちはもう少し後だよ』
は~い、と俺を残してフラットはドスドス歩いて行った。
空間から出てきた騎士団長はあたりを見回してるよ。
ブーゲリアたちも同じだね。
「騎士団長、この人が国王なの?」
「はっ、間違いありません!」
ブーゲリアに視線を向ければ大きく頷いた。
ふうん。よく状況がわかってないみたいだね。
まあ、いいけど。
「国王さんとそっちは宰相? あのドラゴンは僕の眷属。このシルバーウルフも、スライムもね。だから僕がひと言いえば、ここはぺしゃんこになる。言ってる意味分かるかな。この国に罰を与えに来ましたっ。国はもらうよ。オニキス、こっちに来て。あまり大きいと屋根がなくなるよ」
オニキスは小さくなりながらバルコニーから中に入ってきた。
『お前がマントール国王か。我はお前たちを処罰するために参った。下手なことをすれば即殲滅致する。大人しくするか』
しゃべるドラゴンにひっくり返ったのは宰相だ。国王はソファに背を押しつけて泣いてるけど。
「じゃあ、オニキス。僕たちは魔術師をやっつけてくるね。僕に危害をくわえようとしたのはあいつらだから。もし、こっちにきたらお願いね。メルト、ノル。ブーゲリアたちを単独で移動させないようにして。何かあったらオニキスに言ってくれれば、僕と繋がるから」
「わかった。気をつけろよ」
うん、いってきます~
再びフラットの背に乗って空に上がる。
バッグの中にはサンがいるんだよ。わくわくしてるのがみててわかるんだけど。やる気だよね。
どうやら魔法使いたちは、何かやる気みたいだよ。詠唱してるからさ。じゃあ、止めちゃおうかな。
「魔法使いたちが詠唱してるから止めるよ。建物、切り裂いてくれる?」
りょうーかい~
フラットからは特大の風刃。サンからも特大の氷刃が飛んで行く。
ガシュボシュと建物が切り裂かれて外壁は粉々になってますよ。そこから落っこちてるやつもいる。けど、集まって詠唱してたんだろうね、魔法使いのローブを着た人たちがこっちを見てる。あはは、詠唱止まってるよ!
「詠唱を、詠唱を止めるな!」
おっと偉い人が気づいたみたいだね。
「ねえ、僕はナギだよ。なんで僕を狙ったの? 魔物に襲わせたりまどろっこしいことしたよね。誰か答えてよ!」
その前に魔方陣を壊すか。
なんの魔法が使えるかな。えっと魔方陣を消したいんだけど。
<魔方陣破壊>
バン!
バリン! バリバリガラガラ……
あ、壊れちゃった。できると思ってなかったけど、すごいよね~
「魔方陣が!」
慌ててるけど、質問に答えろよ!
「誰か答えてよ。なんで僕を狙ったのさ。僕、七歳だよ?」
「お、お前が脅威となるからだ。そのように陛下に命令された。ユリアロウズ国に攻め入るためには邪魔になると。だが、ほとんどの者は急ぎ雇われた者。解放して欲しい!」
アホか!
「やだねー! なんで逃がすんだよ。僕を殺そうと画策したやつらを見逃すわけないでしょ。今日は国盗りに来てるんだし。国王はドラゴンの前で震えてるよ~余計なことに手を貸すからだよ。じゃあ、反撃するから受けとめてくださいね!」
<悪魔法使いは凍っちゃえ>
バキバキバキペキペキ……
おお、一階や地下にいるやつらまで凍っちゃったみたいだね。やり過ぎたかな? でもずっと狙われたくないから。
やっぱりこういうのは嫌いだな。国なんかどうでもいい。さっさと終わらせてミスリル採取に行こう。
戻った広間では、国王は拘束されていた。当然宰相もね。
ただいま~
『オニキス。大事なお仕事だよ。大きな姿で外に出て、王宮内と騎士たちに伝えて。マントール国はオニキスが滅すると。反撃するなら来い! ってさ。逃げることは許さないって。全てを明らかにするまでは王宮内に留まるようにって』
『うむ。承知した』
『フラット。外に出て騎士と馬たちを出してくれる? 団長、ここにも数人ほしいんだ。あとは出入りできないようにして欲しい。一応確認してからの方がいいから』
わかった~
フラットも飛んでいきましたよ。
『サン、出てみる?』
『いいの~?』
『いいよ。でも気をつけてね』
は~い。
うん、かわいいね。
ぴょん! と飛び出たサンはあちらこちらを飛び回ってるよ。
「ナギ様。貴族たちを呼ぶように申しつけました。すぐに来ると思いますので」
はぁ~い。
ブーゲリアは忙しそうにしてますね。頑張るんだよ。
「ナギ。俺たちはどうすればいい?」
「もう少し待っててくれるかな。国王たちの側で警戒態勢だね」
よし、と二人はいっちゃった。
これからすることは……
貴族がくるから対応を頼まれるんだろうね。
その前に、フラットが戻ったら宝物庫に行くかな。サンとフラットと俺でいってくるか。
貴族を確認したら、王宮内全員を騎士の訓練場にでも集めて鑑定だね。オニキスに頼む方がいいね。
それからあとは、オニキスにお任せだ。王宮の建物は残す方がいいのかな。後宮はいらないかな。でも処刑だけなら訓練場でもいいよね。
それが終わったら解放してもらおうっと。
あとはブーゲリアたちが頑張る番だから。
「ブーゲリア! 魔法使いたちは、建物の中で凍らせた。地下にもいるけど全部凍ってると思うよ。あとで騎士たちに確認してもらって。そのまま叩けば壊れるからさ。あとの処理はそっちに任せるから」
「……凍ってるのですか。わ、わかりました。しばらくは溶けませんか?」
「うん。溶けないよ。もしオニキスに頼むんだったら、ブレスで吹っ飛ばしてもらってもいいよ。でも全部燃えるかなぁ」
「うっ、わかりました。あとでオニキス殿と相談しましょう」
うん、と頷いたところに、フラットが戻ってきた。
『ナギ。食料も出してもらったよ。これからどうするの?』
そうだね、とオニキスと念話する。
『オニキス。そっちはどうかな。俺たちは宝物庫に行くよ。すぐに戻ると思うけど。ブーゲリアが相談すると思うから聞いてあげてね。あとは、貴族たちも来るらしいから。王族は処刑するの? 建物は壊す?』
『うむ。宝物庫に行くのだな、承知した。建物は必要か? いらぬなら王族らを王宮に残したまま殲滅するが』
『そのあたりはブーゲリアとの話しになるから。後で話して。魔法使いのことを相談すると思うんだけど。塔の周りはフラットとサンがバラバラにした。魔法使いたちは僕が凍らせたけど、多分始末に困ると思うから。そのことだと思うよ』
『承知。では、見せしめのために我のブレスで消すとするか』
あはは、ご自由にね。建物のことはブーゲリアと相談してね~
「ブーゲリア。僕とフラットとサンは宝物庫に行く。さっきの話しはオニキスに話したけど、他の建物も必要なら残すようにいった方がいいかも」
はい、と固まってるよ。
「メルト、ノル。ちょっと行ってくるよ!」
おう! と聞こえた。
戻ったら騎士団の所にいって、少々暴れてもらいますかね。
フラットは場所を把握しているようで、俺とサンを乗せて、城の中を走ってる。
下に降りるための入り口もぶっ壊しちゃったよ。
どんどん降りて、宝物庫にたどり着いたけど。でっかい扉もぶっ壊しちゃった。中に入って結界を張ってたのが面白いけど。
宝物庫の中はきらびやかだね。
『これ、全部持って帰るの?』
「うーん、どうするかな。この国のマークが入ったもの、このマークね。それはいらないかな。みてみようか」
うん、というので、鑑定を発動する。これは、お金だね。中を見ればかなりの白金貨や金貨がある。それをフラットとサンにアイテムボックスに収納してもらう。
後は、剣なのどの武器。よくわからないけど全部持って帰ろうかと入れてもらった。あとは、マジックアイテムかな。それも大量にある。うーん、これは俺が入れよう。
宝石をみて、サンはきれいだと大喜びだ。じゃあ、サンに回収してもらった。フラットは欲しい物はある? ときけば、大きくてきらびやかな箱を押す。これは何かな?
中にはかなりたくさんの皮が入って入る。なんの皮だろうとみてみれば、ドラゴン、白狼、白虎など、かなり珍しいものばかりだ。
「これ、高ランク魔物の皮だよ。こうやってここに入れる為に討伐するなら放っておけばいいのにね」
『うん。僕だってこうなってたかもしれないんだ。何か作れるかな。使ってやれば喜ぶと思うんだ。ここに押し込められてても生きた証にはならないから。僕も何か作って。魔法で小さくなったりするから。服を着るかな、シルバーウルフも』
あははは~と笑うフラットは、優しい子だね。
『サンも欲しい。何か作って~』
考えてみよう! そう言えば大喜びだね。
じゃあ、それはフラットに回収してもらった。
残りはきらびやかな鎧とかだけど、基本的に冒険者に鎧は必要ない。着てる人もいるけど、メルトとノルは使わないから。
奥にあるものが気になった。
いろんな鉱石だ。オリハルコンが大量にある。ミスリルもね。アダマンタイトとかいうのもあるけど、かなり高額らしい。じゃあ、ここは全部俺が回収。
他に欲しい物はと聞けば、キラキラ光る貴金属を指さすサン。
『これ、お金になるよ。それにきれいだし~』
お金はいらないけど、きれいだから気になったんだね。
じゃあ、とサンが回収した。
あとは、小さな絵画を数点。可愛いものだけにしたよ。そしてガラスの食器たち。珍しいものだろうね、これほどきれいなものは。ガラス製品は他にもあったから全部回収した。
残ったのは、やたらデカい絵画、鎧たち、華美な装飾品がついたものだけだ。
「じゃ、もどろうか」
フラットの背に乗って広間に戻れば、貴族たちだろうか、偉そうなおじさんたちがたくさんいる。
「ただいま。ねえ、ブーゲリア。この人たちは貴族?」
「そうです。全員ではありません。まだ来てないのは、公爵が二人、侯爵が三人ですね」
ふうん、とフラットから降りた俺は男たちを見る。
公爵はどの人?
あの人です。
こそっとブーゲリアに教えてもらった。
すごく不機嫌そうだね。
「メルト、ノル。あの不機嫌そうな公爵を拘束して」
了解、と縄を手にした二人は近寄る。
「な、何をする! なぜ拘束するのだ。なぜ国王陛下が拘束されておるのだ!」
うるさいなぁ。
トコトコあるいてバルコニーに出れば、オニキスがこちらを見る。手招きすれば、小さくなってやってきた。
『主。どうしたのだ』
「あのね、この人、公爵らしいよ。だから王族関係者。今から拘束するけど、煩いんだよ」
ふむ、と頷いたオニキスが片手を振れば、メルトの手にあった縄がするりと抜けて公爵を拘束した。あっという間の早業だよ!
『ユリアロウズ国ほしさに、我が主の脅威を察知して亡き者と企ておったお前たちマントール国王族に対して、我は罰を与えるために参った。我の管理する迷宮を使い、悪行をなそうとしたことは許せぬ。故に、マントール国は主のものとなる。理解したか!』
うぬぬぬ、と唸る公爵とそれを呆れた顔でみる貴族たち。
その時、残りの貴族たちがやって来た。
当然のように公爵たちは拘束され、他のやつらは貴族の列に並ぶ。
「さて。お揃いみたいだから自己紹介しようかな。僕はナギ。ユリアロウズ国の冒険者だよ。まだ七歳だけど、三歳から冒険者です! さっきオニキスが行ったとおり、僕はいろんな所でいるはずのない高ランク魔物に襲われた。一度は死にかけたよ。脚を食われてさ。オニキスとはその原因の調査にいった迷宮で知り合った。オニキスは僕の眷属となりこの国に復讐するって。でも、王族とその遠戚のやつらだけにするつもりだよ、今は。じゃあ、これから鑑定するね」
ええ? と鑑定するとのか、と驚いてるよ。
どれどれ。
公爵は間違いなく王族関係者だね。あれ? 宰相もそうなんだ。お母さんが王族からお嫁に行ってる。
じゃあ、宰相もあっちだよと指させば、メルトが宰相を引きずって、王族コーナーに連れて行った。
読んでいただきありがとうございます。
簡単に掌握できちゃったようですね。
まあ、ナギの眷属たちがいれば、どこの国でも同じ運命でしょう。さて、この先はどうなるのでしょうか。
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